2019年度税制改正に「仮想通貨取引に関する課税逃れ防止強化策」導入か

年末になり、仮想通貨関連の話題の一つとして注目されているのが「仮想通貨に関する課税」。

財務省そして国税庁は、仮想通貨取引に関する申告漏れが多いとみて、課税強化を図る方針を次々と打ち出しています。

そして12月になり、政府税制調査会等で内容の討議が急がれているのが「2019年度(平成31年度)税制改正」。

ここで財務省から提示された仮想通貨取引に関する課税逃れ防止策の導入案が浮上しています。

悪質な申告漏れが疑われる場合、仮想通貨交換業者に取引した個人の情報を照会できる仕組みを整える案などが浮上している

具体的には次の3つです。

対策案①情報公開制度の導入

国税当局が、仮想通貨取引所に対して「住所・氏名やマイナンバーなどの個人情報」を照会できる仕組み

具体的には、

まずは税務当局側の調査で「この種類の取引をしている人は申告漏れが多い」と特定。
そのうえで誰が税金を払っていないか不明な場合に限り、仮想通貨交換業者などに取引者の氏名など基本情報を提供するよう要請する

具体的には「氏名、住所、マイナンバー」といった個人情報に絡むものが情報公開の対象となる模様です。

この案の背景には、海外で同様の情報公開制度が既に開始されていることにあります。

米国では「匿名召喚状」、ドイツでは「一括情報要請」として制度化。
低税率国・非課税国を利用した課税回避策を防止するため、税務当局の調査能力を補強する手段の一つとして活用されています。

ただ、情報公開制度の導入は、個人情報の保護の侵害への批判を伴うもの。
さらに、税務当局が情報公開請求を乱発することにより、仮想通貨取引それ自体を冷え込ませる懸念もあります。

そこで、次のような提案が専門家からなされています▼

「交換業者が不服を申し立てられる仕組みの検討が必要だ」

対策案②源泉徴収制度の導入

取引で得た所得にかかる税を仮想通貨交換業者などが源泉徴収する

この源泉徴収案は、取引のほとんどが証券取引用の特定口座や一部のクラウドファンディングで類似の制度があるため「技術的には可能」とみる人が多いのが現状です。

ただ仮想通貨ユーザーの方ならお分かりの通り、仮想通貨はそれぞれ独自の単位(BTC、ETH、XRPなど)で取引されています。

そのため、次のような懸念がJVCEA(日本仮想通貨交換業協会)の幹部から表明されています。

仮想通貨の価値を円換算して算出することが難しい

自動計算のシステムがあるならまだ別ですが、売買の都度源泉徴収となると、取引所側に事務負担が過度にかかる恐れがあります。

対策案③法定調書制度の導入

そして、国税にとっての最大の悩みは「誰がどれだけの仮想通貨を持っているかが把握しにくい」ことです。

仮想通貨は証券や外貨と異なり、銀行の口座を通すことなく送金や決済をすることが可能です。
そのため、海外に逃がそうとすればいくらでも当局や銀行の目を介さずに逃がすことができてしまいます。

この事態を懸念し、調書制度の導入が検討されているわけです。

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鈴木まゆ子 / 3286 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。