「仮想通貨”だから”犯罪で利用される」

これがこれまでの通説でした。

犯罪やマネロンのインデックスとさえ言われる仮想通貨。
しかし、ここ最近になりその通説がくつがえされようとしています。

米国国土安全保障省(DHS)の傘下の移民税関執行局(ICE)の国内事業補佐のマシュー・アレン氏は、米国上院の国際麻薬統制委員会の公聴会で、仮想通貨と犯罪の最近の関係について次のように述べました。

「仮想通貨取引は追跡可能なので当局にとって犯罪者は捕まえやすくなる」

単に仮想通貨取引→犯罪、だけでなく、犯罪→仮想通貨取引といった逆の探査も可能だとのこと。

薬物の米国上陸の追跡の方法の一つは仮想通貨だ

one of the ways drugs were trafficked into the US was through digital currency.

不正行為に使われるのは(主に)ビットコインやモネロ、そして他の仮想通貨だ

Bitcoin and Monero, among others, used for illicit activities.

ビットコインは2013年ダークウェブで隆盛を誇った闇のマーケットプレイス「シルクロード」での主流通貨でした。

モネロは匿名性の高さで有名。昨今、クリプトジャックなどでマイニングの対象とされているのはモネロです。

仮想通貨⇔法定通貨の段階で犯罪がバレやすい

「仮想通貨は犯罪の手段」とする通説の理由の一つとしてP2Pでの送金が可能である点がよく挙げられます。
銀行などを介さず、当事者同士で決済が可能であるため、犯罪が助長されるというもの。

この点に関し、アレン氏は次のように述べています。

この分野における違法なP2P交換業者は、匿名の顧客に対し高額な価格をチャージします。違法業者は市場価格よりも高く売るか、安く買うかのどちらかなのです。

This category of illicit P2P exchangers charges a premium price for customer anonymity. They either sell above market value or buy below market value.

また、法定通貨と仮想通貨の交換の時点で、不正な仮想通貨取引が追跡される可能性が高くなるとしています。というのも、▼

これらの違法交換所では脆弱性が生じやすく、結果、犯罪が法執行機関などにバレてしまうのだ

these exchanges create vulnerability and exposes criminals to law enforcement methods.

サーベイランス(調査・監視)、聞き取りなどによる伝統的な調査方法を利用した上で金融・ブロックチェーン分析と連携すれば、犯罪者を混乱させることができる

加えて、麻薬捜査官が仮想通貨取引に詳しくなることなどが、麻薬取引の抑制につながると述べています。

麻薬捜査官の訓練、国内外のパートナーとの協力が薬物取引の撲滅にも貢献している

犯罪と仮想通貨の現状

「武器取引などでも仮想通貨が使われる、だから抑制すべきだ」

というのが今年初め、仮想通貨規制強化主張派の理由でした。

しかし、現実には、仮想通貨はテロリストにとって使い勝手があまりよくなく、高額取引には今でも現金が用いられるとのこと。

日本では、匿名性の仮想通貨とマネロンの関係を懸念してか、ホワイトリストからはモネロやジーキャッシュ、ダッシュなどといった匿名性の高い仮想通貨は排除されています。

しかし、それは本当に正解なのか。
規制”外”となった存在はなくなるのではなく地下に潜るだけです。
それは1920年代のアメリカの禁酒法を見ればわかること。

マネロンの抑制や犯罪の防止を考えるなら、逆に仮想通貨取引所などで”あえて”取り扱わせ、規制や管理をきちっと行った上で、いざというときにその取引所での取引を分析したほうが犯罪抑制につながるのかもしれません。

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鈴木まゆ子 / 1143 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。