「仮想通貨は”通貨”ではなく”資産”」

という見解がここ最近、あちこちで散見されます。

7月に閉会したG20では、議論の中で「仮想通貨は資産だ」という意見が多数であったほか、昨日公表された金融庁の中間とりまとめの中でも「仮想通貨(暗号資産)」という併記が見られました。

さまざまな国の首脳も「仮想通貨は”資産”だ」と発言しています。

ただ、「その資産としての価値すら疑わしい」とするのが、以前から仮想通貨に対して手厳しいBIS(国際決済銀行)の関係者です。

国際決済銀行(BIS)「仮想通貨は通貨のフリをしているだけ」

各国の中銀関係者らが集う国際決済銀行(BIS)の研究部門トップを務めるヒュン・ソン・シン氏は8日、ブルームバーグとのインタビューの中で、ビットコインとその他の仮想通貨は本当の通貨のフリをしているだけだと述べた。

この発言は仮想通貨のボラティリティ云々により通貨としての機能が認められないというものではありません。

仮想通貨のシステム的な問題から、「本来的な価値はない」としています。

シン氏は仮想通貨について次のように言及▼

仮想通貨やトークンとは「記録保持装置」であり、多数の人に受け入れられて初めて価値が増大していくものであって、実質的には価値がない
ビットコインのマイナー(仮想通貨の新規発行や取引承認に必要となる計算作業を行う任意の参加者)は取引を検証するインセンティブが2つある。
マイナーは報酬として新規発行されたビットコインを取得し、またユーザーが支払う取引手数料も得られる。

このシステムがうまく働くのは初期~中期の話。

ただ、ビットコインのマイニングにも上限があります。

この上限に達した時、仮想通貨のシステムを維持できなくなるのではないか、という懸念について言及しているのです。

もし将来的にビットコインのネットワークの容量が増えれば、今ビットコインの課題となっている「容量不足」の問題は解消されて取引手数料もゼロになるため、マイナーはブロックを検証するインセンティブを失うことになる
この場合、ビットコインのネットワークを維持することが難しくなる。

この発言は、主要仮想通貨である「ビットコイン」についてのみの言及です。

ビットコインは、皆様もご存知のとおり、POWというオープンブロックチェーンでの承認作業により維持されています。

シン氏は、この点についても考慮し「他の仮想通貨なら解決可能かもしれないが」とコメントしています。

ハードフォークやマイナーの”悪意”についても言及

さらに、ハードフォークによる過去の取引の無効化や、マイナーによる”悪意”による影響についても言及▼

帳簿係であるマイナーは横のつながりがあるので、理論的にはグループを結成してハードフォーク(分裂)に合意することは可能だと指摘。

そうなったら、以前の「部門」で行われた決済は無効になるため、ブロックチェーン上で行われた取引が100%有効になることはなく、大きな災いをもたらしうる

規模が比較的小さく、かつ、攻撃するのにそれほど費用のかからない仮想通貨に関しては、マイナーの”悪意”による51%攻撃などがすでに行われています▼

まとめ

BISは以前から仮想通貨に対し、厳しい見解を崩しません。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。