規制は必ず”ネガティブ材料”なのか

規制は必ず”ネガティブ材料”なのか

”規制”と聞くと、多くの仮想通貨投資家にとっては

「価格下落の材料」
「自由に取引できなくなる」
「課税」

など、ネガティブな要素をもつものとして響くかもしれません。

「規制」というキーワードは必ずネガティブなものなのでしょうか。

少なくとも、取引所においてはそうではない可能性があります。

仮想通貨取引所の88%は「適正な規制は必要」

リトアニアの決済企業Mistertangoが仮想通貨取引所を対象に、業界での規制に関する意識調査を行いました。

なお、調査対象となった仮想通貨取引所はヨーロッパ、アジア、南米、オセアニアの24の仮想通貨取引所で、1日当たりの総取引額は1億米ドルを超えているところとなっています。

それによると、次のような事実が明らかになりました▼

仮想通貨取引所の88%は、適切な規制を求めている

ただし、規制であれば何でもいいわけではありません▼

仮想通貨取引所の17%は、過度な規制は望ましくなく、仮想通貨業界の将来に大きな影を落とす考えている
仮想通貨取引所の40%は、銀行が仮想通貨市場に対して寛容になれば、メインストリームへのさらなる進出が見込まれると考えている
仮想通貨取引所の55%は、既存の金融業界同様、仮想通貨ユーザーも本人確認(KYC)やアンチ資金洗浄(AML)の確認をされるべきだと考えている

なぜ規制を必要と考えるのか。

無法地帯であることは、ハッキングやマネーロンダリングのリスクを高めることになります。
これらの事象が起きれば、間違いなく取引所からユーザーは離れてゆき、価格は下落します。

しかし、適切な規制があれば、これらの事象を回避することができます。


つまり、「適正な規制」を望む声の裏側には、取引所が抱えている次の恐怖があるのです▼

仮想通貨取引所の30%は、最大の脅威は、市場の暴落であると考えている

規制は市場の成長を”促進”する

これについて、Mistertango社のビジネスマネージャーを務めるGabrielius Bilkštys氏は次のように解説しています▼

この業界は、適切な規制を渇望している
市場にとって、不透明性は大きな脅威だ

また、仮想通貨取引所CEX.IOのCEOを務めるOleksandr Lutskevych氏も、次のようにコメントしています▼

仮想通貨の関連企業は、規制された環境を好まないと考えられてきたが、その予想は実態と乖離していたことになる。
業界は、「適切な規制」が市場の成熟に繋がり、仮想通貨の不正利用に関与していないことを証明する優れた手段となることを知っている。

「イーサリアムは証券ではないのか?」というテーマについて米SECで議論になったことがありました。

結果、その非中央集権的な性質から、”証券ではない”という判断が下されることに。
そのとき、イーサリアムの価格が上昇トレンドを示しました▼

まとめ

「規制を逃れたことがプラス」と考えている人は今もいるかもしれませんが、、

「規制がない」という状態は”無法地帯”であることを指します。
AMLなどの観点からみると、これはきわめてリスキーな状態であることは皆さまもご存知の通りです。

ということは、国によっては、ある日突然の法改正で規制がかけれられるかもしれず、そのときになって十分な対応が行えないと、営業停止などに追い込まれる可能性があるということです。

事実、日本でNEM流出事件が発生し、金融庁における調査が行われる以前、”自主規制にお任せ”状態でした。

NEM流出事件以前にもしも金融庁が仮想通貨を金融商品と同等のものとみなし、きちんとした調査を定期的に行ったりしていれば、コインチェックのずさんな管理体制も早々に改められていたかもしれません。

また、ビットフライヤーにしても、行政処分以後「新規登録受付を停止する」などということもなかったかもしれません。

「規制がない」ということは、「無法地帯であることのリスク」だけでなく「規制がいきなりはじまったときのリスク」をも抱えることにつながります。

現実の経済や社会は、法律があるからこそ潤滑に物事が進んでいます。

契約ひとつにしても、当事者の合意だけでは不完全。なぜなら”裏切られるリスク”に常におびえながらビジネスを進めていかなくてはならないわけです。これでは経済は成長しません。

仮想通貨という市場をひとつの経済とみる場合、そこでの取引を潤滑に行い、かつ取引所としても運営を安定化させるには、第三者からの縛りである「ルール」が明確化していることが必要です。

規制は必ずしも取引を縛るものではありません。発展させる道具にもなりうるのです。

規制は仮想通貨市場の発展を阻害するものではなく、促進していくものである

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。