欧州議会「中央銀行独自仮想通貨は破壊的な影響の可能性」

先日、民間の仮想通貨について容認姿勢を見せた欧州議会。

その一方、中央銀行の発行する独自仮想通貨については「破壊的な影響をあたえうる」として、悲観的な見方を示すようになりました。

▼参考:欧州委員会の民間仮想通貨への容認の記事▼

「中央銀行が発行する独自仮想通貨の影響は破壊的」という見解が示されたのは、欧州議会の経済金融委員会が6月26日に公表した報告書。
これは、中央銀行が発行する仮想通貨(CBDC)が金融システムに与える影響についての分析結果を示したものです。
欧州議会に助言を行う独キール世界経済研究所のメンバーが執筆しました。

この報告書の中では次のようにCBDCについて言及されています▼

CBDCの登場により市民がデジタル形式で自身の資金を管理できるようになることで、CBDCが資金の管理手段として主流な「銀行預金」に置き代わる
商業銀行は、預金に代わって信頼できる資金調達手段を考え出す必要性に迫られ、金融システムの不安定性をもたらす原因となり得る準備銀行制度に代わる仕組みが構築される

一見ネガティブな見方がされているかのようなCBDC。

しかし、欧州議会は本報告書において次のように結論付けています▼

「CBDCは必ずしも悪い変化をもたらすのではなく、より安定した金融システムの実現につながるかもしれない」

破壊、というと一般的にネガティブな響きが伴います。

が、破壊があるからこそ、制度や技術などの革新や普及が行われるという側面もあります。
欧州議会の報告書のいうところの”破壊”とは、もしかしたら、今後のキャッシュレス(といいつつ、たぶん実体としては”レスキャッシュ”)時代という方向性にむけた「創造的破壊」という意味なのかもしれません。

キャッシュレス化が進むと、社会が民間企業発行の貨幣や特定の決済技術に依存する状況に対応するため、CBDC導入の検討に対する要請が高まるだろう

元日銀審議委員・白井氏が示す「CBDCのメリット・デメリット」とは

元日銀の審議委員である白井さゆり氏は、中央銀行の独自仮想通貨についてのメリット・デメリットについて次のように述べています。

メリット

中銀が365日24時間利用可能な利便性・安全性と低コストを兼ね備えた口座を発行
中銀のバランスシートが拡大するので歳入(貨幣発行益)が増え、マイナス金利も幅広い対象に適用できるので金融緩和効果も高まる
システムダウンによる資金決済停止やデータ改ざんのリスクの低下といった効果
より多くの金融機関にも発行できれば、金融資本市場が効率的で低コストとなり経済活性化も期待できる

これ以外にも、国際間でのスピーディかつ確実な決済などが期待できます。コストダウンは紙幣や通貨の発行にかかるコストを削減できるという点です。

また、一定の管理者を定めれば、POW以外の承認方法でシステム管理を行うことも可能です。総当たり戦でない管理システムならば、懸念事項であるエネルギーコストの問題も軽くなります。

デメリット

コンピューターシステムなどの初期費用やサイバー攻撃・テロ防止などの技術的問題、金融システムへの打撃が懸念される
民間銀行から中銀へ預金が流出すると民間金融業務の採算がとれなくなり、銀行危機を深刻化させる懸念がある。
課題はハッキングなどセキュリティー対策で、運用開始後に問題が露呈すれば中銀の信認が揺らぎかねない
分散型台帳技術の利点を生かそうとすると、匿名でも競争相手と決済情報を共有することへの抵抗感がある

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。