欧州委員会、仮想通貨を「禁止も無視もしない」

思い返せば、今年初めの仮想通貨の価格下落に大きく影響したのはヨーロッパの首脳たちが一斉に「仮想通貨への規制強化すべし」と声をあげたことにありました。

これまで一貫して「仮想通貨はダメ、ブロックチェーンはOK」の姿勢を維持してきた欧州委員会でした。

しかし最近、この動きが急激に変わりつつあります▼

欧州議会が仮想通貨に対し、議員たちは禁止も無視もしないと述べ、今後しばらく存在すると予測していることを欧州議会が新たに提出した報告書にて述べられている。
金融問題委員会の委託による報告書「Virtual currencies and central banks monetary policy(仮想通貨と中央銀行政策)」には、仮想通貨を支持する意見が数多く含まれている。
主に取り上げられている仮想通貨はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)の3種類。

背景には「中央銀行の脅威にはならない」議論結果

なぜ急に?と思いたくなるところですが、、、欧州議会は仮想通貨のAMLに関する論点だけでなく、既存の法定通貨にとっての脅威になるかどうかについて研究や議論を重ねてきました。

そしてその結果、次の結論に至りました▼

そのように結論付けた理由は2つ▼

法定通貨の時価総額が2017年末時点で約14兆ドルであるのに対し、仮想通貨の時価総額が2018年4月時点で3,000億ドルに過ぎない
仮想通貨が決済手段として広範には受け入れられておらず、その役割は貨幣の三つの機能のうち「価値の保存」に限定されている

仮想通貨は支払手段としての側面がもともとの構想でした。そしてP2Pという国や組織を通さない相対取引な決済手段であることから、一部アナーキストたちには受け入れられてきました。
このことから法定通貨への対抗手段になるのではないか、という懸念が少なからずあったのです。

しかし、現実には市場取引で問題視されているのがボラティリティの高さ。
そして価格変動が激しいものを人は決済手段として使おうとしません。仮に機能があって利便性があるとしても昨日10円、今日100円となるものは安心して使えないのです。

また、この状態は、価値保存手段としての効能は期待されているかもしれないが決済手段としての信用は得ていないということを表しています。

そのため、ユーロやドル、円といった主要通貨の脅威とはなりにくいのです。

例外:ジンバブエやベネズエラのように「邦貨が信用を失った国」で仮想通貨が代替する

ハイパーインフレーションや金融危機、政治的混乱、戦争などにより、法定通貨が不安定な国においては、仮想通貨が代替的役割を果たす可能性がある

ただし、例外もあります。

それは、すでにお伝えしたように、ベネズエラやジンバブエのように「ハイパーインフレで苦しむ国の場合」は、ボラティリティがあろうがなんだろうが、信用できる決済手段ならそれを使うということ。

この場合において、仮想通貨は法定通貨に代替する決済手段として用いられます。

仮想通貨は「比較的安全で、透明で、速い」プライベートマネーの現代版

そして欧州委員会のレポートでは、仮想通貨の位置づけを次のように述べています。

技術的特性のおかげで、仮想通貨のグローバルな取引ネットワークは、比較的安全で、透明性がありスピードが速い
仮想通貨をプライベートマネーの現代的な形と説明

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。