岡山県西粟倉村で日本初の地方創生ICOを決定

ベンチャーなどがプロダクトやサービスをローンチするための資金調達手段として注目を集めるICO。
注目を集めつつも、詐欺的案件も多いうえ、法的整備がされていないため疑問視する声も少なくありません。

そんな中、日本で初めて”地方創生”にICOを活用する決定がなされました。

岡山県西粟倉村は、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)の実施を決めた。
実施時期は未定だが、2021年度までの実現を目指す。国の交付金に頼らない新たな財源として活用する。
独自トークンを発行し、ETHで資金調達

独自トークンを発行し、ETHで資金調達

林業の六次産業化や、移住起業支援事業など、独自の地域活性化施策で地域活性化に励んできた西粟倉村。
こういった活動により持続可能な地域づくりを今後も自立して継続すべく、ICOに踏み切りました。

村で一般社団法人を設立した後、独自トークン「Nishi Awakura Coin(NAC)」を発行。投資家はイーサリアム(ETH)で購入。社団はその後、ETHを現金に換えて資金とする見通しです。

NAC保有者には投票権が付与され、村で事業を立ち上げようとするローカルベンチャーに投票し、事業構想に参画できる。
村内にはNACが実際に使える仕組みも整え、生活面を含めた独自の地域通貨経済圏を創り上げる計画だ。
”地域通貨に仮想通貨”はあったけど、”ICOにより仮想通貨で資金調達”の自治体は初めて

”地域通貨に仮想通貨”はあったけど、”ICOにより仮想通貨で資金調達”の自治体は初めて

これまで、地域通貨に仮想通貨技術を活用するケースはありました。
しかし、ICOで資金調達する自治体は今回日本ではじめてになります。

▼参考:地域通貨に”仮想通貨”活用▼

ふるさと納税は「パイの奪い合い」でしかない

現時点で、地方創生の手段としては国からの地方交付税とふるさと納税の2つです。
ただ、いずれも「税金」というパイの奪い合いでしかありません。

数年前からブームとなり、今や返礼品と節税効果を狙って過熱状態にあるふるさと納税は、東京都などといった自治体からは冷ややかな目で見られています。
同時に、自治体にとっても必ずしも「メリットばかり」とは言いがたい状態です。

ふるさと納税はある市町村から別の市町村へ税金を移動させる制度なので、何もしないと自分の税収が減ってしまうという問題もあります。
税収が減ってしまった自治体は大都市圏がほとんど

税収が減ってしまった自治体は大都市圏がほとんど

こうした都市は地方出身者が多く、また比較的財政が豊かでふるさと納税の返礼品を充実させなかった
寄付金受入額より税収の減少が多い自治体は日本全国で462自治体に上っていて全体の4分の1を占めています
特に流出の大きい自治体はこうした状況に不満を持っており、愛知県知事などはふるさと納税制度の見直しを要求
ふるさと納税で収入が増えてもコストでほとんど消えてしまう

ふるさと納税で収入が増えてもコストでほとんど消えてしまう

また、ふるさと納税で自治体の収入が増えても、潤すほどのメリットがあるとは言い切れません。
ふるさと納税による収入はここ数年で急増していますが、その分、自治体の負担も増えているのです。

【都城市ふるさと納税の内訳(2016年)】


59%・・・返礼品の調達費用(43億円)

16%・・・返礼品の送付にかかる費用(12億円)

3%・・・広報、決済、事務費用(2億円)

22%・・・手元に残るお金(16億円)
寄付金の内8割近くが肉やお酒など返礼品の関係費で消えてしまい、手元に残るお金は2割に過ぎない

返礼品はそもそも”おまけ””ノベルティ”程度の意義しかありません。
そしてふるさと納税は寄附金です。
なので、本来、返礼品は寄附を受けたからといって必ずしも用意しなくてはいけないものではないのです。

が、この返礼品の内容がふるさと納税のきっかけになっているのが現実です。

つまり、ふるさと納税は本来「地方自治体の創生や地方そのものの魅力発見」がテーマだったのですが、現実には返礼品と節税という”旨みだけ”による競争になってしまっているのです。

ふるさと納税をしている人の多くは「寄附先の自治体がどこにあるかイメージすらできない」のではないでしょうか。

地方創生におけるICOの意義とは

では、ふるさと納税におけるICOの意義はどのようなものでしょうか。

1つ目は、競争に陥らず、プロダクトやサービスなどICOの資金調達の目的そのものにより資金調達が実現すること、
2つ目は、税金を経由せず、投資家の純粋な資金によるものなので、パイの食い合いにならずに済むこと(税の食い合いは最終的には財政へのダメージにつながる)、
3つ目は、トークンと仮想通貨を経由した資金調達であるゆえ、迅速な資金調達が可能かつコストが低減できるという点です。

地方自治体がICO を活用するメリットとして、税収以外の財源を投資家から集めることで、先行投資による地方創生が可能になる。
また、ホワイトペーパーを世界中に公開することで、世界に地域の魅力を発信することができる。
さらに、投資家は地方自治体が発行するトークンを保持することになるため、継続的に地方自治体に興味を持ち、トークンエコノミーの形成に参加も可能。

関連するまとめ

金持ち父さん「仮想通貨が米ドルに取って代わる」|FRBの金融緩和策を”バブルの前兆”…

”金持ち父さん貧乏父さん”の著者として知られるロバート・キヨサキ氏が先日インタビューに答えました。その際、F…

鈴木まゆ子 / 1665 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。