ロシアの地方の村が独自仮想通貨で自立へ

あまり目立った話題にはならないけど、地道に活用が浸透している”地域通貨”。
今回はロシアでの小さな村でのお話。

一人の農家の男性が、地域経済の自立と活性化を目指すべく、仮想”地域”通貨を立ち上げました。

シュリャプニコフさんは昨年、国内外の投資家から50万ドル(約5390万円)の初期投資を受け、仮想通貨を立ち上げた。村の名前にちなんで「Kolion(コリオン)」と名付けた

シュリャプニコフさんによれば、このコリオンは村や周辺地域との生活や仕事でのモノ・サービスのやりとりに浸透しつつあるとのこと。
現在のところ、コリオンの利用者は約100人で、大半が貧困地域で野菜や乳製品の売買に使用されている模様。

シュリャプニコフさんは、コリオンを最終的には除雪やごみ撤去なども含めた公共サービスの手段にすることを目指しているそうです。

 「この辺ではあまりルーブルは見ない。ここにはわれわれ独自の国があり、独自の通貨がある。われわれは自力でかなりうまくやっている」

「既存の金融と手を切りたい」

彼自身、このような経済的な自立は、銀行の連合とロシアのルーブルに対する2桁にも及ぶ金利に対して対抗するために引き起こしたとしている

なぜ「ルーブル」でないのか。

それは、貧しい地域ならではの理由があります。

ロシアでは、銀行などから邦貨を借りた場合、高い利息を付けて返さなくてはなりません。
裕福な層も少なくない都市部ならまだしも、貧しい層の多い地方では、利息すら生活の負担になります。
だからといってお金なしで生活するわけにいきません。

ロシアの銀行は小さな町や村への進出率を上げようと取り組んでおり、郵便サービス機関もそうした格差を埋めようと2016年に銀行を開設している。
しかし、ほとんどの小売銀行では10%を超える高い金利を課している。

さらに、ロシアはEUなどから経済制裁を受けています。
今はよくても状況次第では苦境にさらされるのは明らか。
被害は都市よりも地方のほうが深刻になるでしょう。

しかし仮想”地域”通貨があれば、地域の中での経済さえ回っていれば、そういった”お国の都合”の影響をそれほど心配しなくてもすみます。

コリオンは”採掘(マイニング)”ではなく”耕作”で作られる

ちなみに、仮想通貨は通常「マイニング」で新たな取引が承認されたり、マイナーにマイニング報酬が配られたりします。

コリオンはちょっと違う模様。農家ならではの呼称があります▼

『コリオン』はマイニングされておらず、法定通貨とも結びついていない。代わりに、耕作(plowing)と呼ばれる方法にて獲得することができるという。さらにコリオンは、他の仮想通貨を通して購入することも可能だ。

融資で浸透した仮想”地域”通貨コリオン

コリオンの普及も、融資システムによるものでした。
ただし、その融資スタイルは独特で、▼

意欲的な農家にシュリャプニコフさんがふ卵器とひよこ50羽を提供する。ひよこはニワトリに育ち、いずれ卵を産む。
農家はニワトリが産んだ卵の半分を融資の返済としてシュリャプニコフさんに返し、残りの半分は好きなように売ることができる。
だが1つだけ条件がある。取引をコリオンで行うことだ。

「仮想通貨だからこそ成功した」地域通貨コリオンの歴史

ただ、最初から順調だったわけではありません。
「俺の資金で地域通貨を作るんだ!」と宣言したシュリャプニコフさん。

最初、普通に紙などでの紙幣を作成しました。

しかし、2015年、ロシア当局からストップがかかります。

仮想通貨のコリオンとは異なり、紙のコリオンはポテト1キログラムと関連付けられていた。

この実験に現地当局が目をつけ、後に現地検察がロシアの憲法秩序を乱しかねないとしてコリオンの使用を禁じた。

そしてここ最近注目されるようになってきた仮想通貨。
ロシア当局も、自身の思惑があってか、国内での仮想通貨取引やマイニングについては容認傾向にあります。

コリオンについてもしかり。
当局は仮想通貨の仕組みを理解しようとシュリャプニコフさんの「実験」を慎重に見守っている模様です。

 「だから仮想通貨を始めるチャンスに飛びついた。規制がないことはチャンスで、私はそれをつかんだんだ」

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。