仮想通貨の「時価評価」計上、今年4~6月決算から上場企業に強制適用

仮想通貨の新会計基準が、今年の4~6月の決算から上場企業に強制適用されます。

これまで保有仮想通貨の評価に関しては会計基準があいまいでした。
今後、仮想通貨の時価評価を四半期ごとに厳密に行わなくてはなりません。

新基準では仮想通貨を取得した際の計上方法は変わらないが、四半期末ごとにその時点の時価に従って、仮想通貨の計上価格を変えることが定められた。
前期末に比べて仮想通貨の交換レートが上がれば資産を増やして差額を利益として計上し、レートが下がれば資産を減らして差額を費用として計上する。

従来の会計基準では、棚卸し資産の評価に関する会計基準を仮想通貨評価に適用するケースが多かったようです。
つまり、

1.企業が仮想通貨を取得したら、まず取得時の原価で貸借対照表に簿価計上する

2.決算期末時点の評価額から製造原価や販売経費を引いた「正味売却価額」が簿価を下回った場合に、その正味売却価額まで簿価を切り下げ、差額は費用として損益計算書に計上する。


棚卸資産の場合、物理的な劣化(破損など)、経済的な劣化(時代の流れにより型式などで価値評価が下がる)、需給バランスの崩れなどにより価値が下がることがあります。
この考え方を仮想通貨にも適用しますが、原則「簿価評価」ということです。

これが新会計基準では、儒教バランスや劣化など一切考慮せず、四半期ごとに市場価格と簿価(Or前回評価額)との差額である「評価益」「評価損」どちらも計上することになります。

適用対象となる主な上場企業

■仮想通貨取引所事業

「コインチェック」を運営するマネックスグループ<8698>

子会社が「BITPoint」を運営するリミックスポイント<3825>

「フィスコ仮想通貨取引所」を運営するフィスコ<3807>

「BTCBOX」を運営するBTCボックスと資本業務提携した夢真HD<2362>

マーチャントバンカーズ<3121>

■マイニング事業

GMOインターネット<9449>、ファステップス<2338>、セレス<3696>など

これ以外にも、LINE<3938>、ヤフー<4689>などが仮想通貨事業に参入する模様です。

発生しうるリスク

仮想通貨取引所での市場価格など、一般的に仮想通貨に「時価」があることは誰もが認識しているところです。
ただ、「個人」では時価評価されるのに「法人」では簿価評価…というのでは一貫性がありません。
今回の新会計基準の適用で、そのルールが一つになり、ある意味「透明化」されたことになります。

ただし、ルールがあくまでも透明化されただけであって、企業会計もが本当に透明化したかどうかまでは断言できません。

と、言うのも▼

「新会計基準が適用されると、企業の貸借対照表のボラティリティー(変動率)が高まることになりそうだ」
問題は、仮想通貨の値動きが通常の有価証券より激しいことだ。

そのため、次のような問題が発生する可能性があります。

問題1:ファンダメンタルズ(基礎的条件)がアテにならない

例えば、資産をどれだけ有効活用しているかを示すROA。計算の分母となる総資産と、分子になる利益が四半期ごとに大きく変動すると、どこまでが企業の経営努力で、どこからが仮想通貨の時価評価の結果なのかがみえづらくなる。

株式を通じて企業を投資する際、ROA、ROEなど企業の財務諸表から算出される基礎的条件(ファンダメンタルズ)が参考材料として用いられます。

ROAは、次の算式で計算されます。

ROA=純利益÷総資産(株主資本+負債)

純利益とは、営業損益、営業外損益、特別損益などすべての損益を検討した後の最終的な損益の部分です。
個別具体的に営業損益や営業外損益を示すわけではありません。

そのため、仮に営業部分でがんばって利益を出したとしても仮想通貨損失により純損失になった場合、ROAの数値は下がります。
逆に営業部分がいいかげんでも仮想通貨で莫大な利益が出ていればROAの数値はあがります。

ということはつまり▼

問題2:営業努力がボラティリティの高さで正しく評価しにくい

「不透明な会計」になるおそれ

「不透明な会計」になるおそれ

「企業のまっとうな努力が仮想通貨の時価評価でわかりにくくなる」ということです。

一言でいうのはカンタンですが、影響は甚大です。

企業が売上を立てるべく努力したところで仮想通貨の時価評価で左右されるわけですから、

・経営陣や従業員がまっとうに努力しようとしなくなる
・投資自体が仮想通貨の時価に振り回される

おそれを意味します。

「仮想通貨は投機だ」と言われることが多いのですが、時価評価を強制適用することで、企業への直接投資だけでなく、企業努力自体もギャンブルになる可能性が高くなるおそれがあります。

まとめ

時価会計は世界の大きな流れだが、制度変更に伴う財務の「ノイズ」をどう判断するか、投資家は頭を悩ませそうだ。

実際に動いてみないと結果が分かりません。
上記の可能性はあくまでも予測にしかすぎません。

ただ、もし、時価評価で既存の指標があてにならず、かつ、企業経営や市場に影響する用である場合、仮想通貨事業を営む会社については別途指標を検討する必要が出てくるかもしれません。

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出典:http://line.me

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鈴木まゆ子 / 717 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。