国税庁タックスアンサー「NEM被害の損害賠償は『課税』」

国税庁タックスアンサー「NEM被害の損害賠償は『課税』」

国税庁のタックスアンサーでコインチェック事件での被害について支払われた損害賠償については「課税」という見解が発表されました▼

国税庁HP「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」



 仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けました。

 この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっています。

 この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当しますか。

「これってNEM流出事件以外の何物でもないよね」という質問ですね。。

国税庁回答「損害賠償金は雑所得の収入として計上すべき」

一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされています。
顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます。
したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります。

ここでは「雑所得」としていますが、仮にその売買の規模が事業規模であり、事業所得として仮想通貨売買を申告している場合には、損害賠償金は「事業所得上の収入」にあたります。

▼ちなみに、このあたりの予測はすでについていました▼

考え方のポイント:その損害賠償金が「所得のモトとなる収入に代わる性質をもつかどうか」

ポイントとしては、「その損害賠償金が得るべき収入の代わりになるものかどうか」になります。

得るべき収入とは、所得税の10種類に区分される所得のモトとなる収入のこと。
10種類の所得とは、給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得、雑所得などなどです。

▼交通事故の例で見ると分かりやすいかもしれません▼

■単純に「交通事故に遭って身体も心も被害を受けたので賠償金を払ってもらった」

交通事故などのために、被害者が次のような治療費、慰謝料、損害賠償金などを受け取ったときは、これらの損害賠償金等は非課税となります。

ただし、この事故で医療費が増え、その結果医療費控除の適用を受けることとなった場合には、その交通事故に関する医療費の総額から損害賠償金などを差し引かなくてはあんりません。

■事業関連の資産に被害を受けた、あるいは損害賠償が事業の休業補償になった

(1) 商品の配送中の事故で使いものにならなくなった商品について損害賠償金などを受け取ったケース

 棚卸資産の損害に対する損害賠償金などは、収入金額に代わる性質を持つものであり、非課税とはならず、事業所得の収入金額となります。
(2) 車両が店舗に飛び込んで損害を受けた場合で、その店舗の補修期間中に仮店舗を賃借するときの賃借料の補償として損害賠償金などを受け取ったケース

 この損害賠償金などは、必要経費に算入される金額を補てんするためのものであり、非課税とはならず、事業所得の収入金額となります。
「損害の対象となった資産がなんであるか」「賠償の結果どうなったか」がカギ

「損害の対象となった資産がなんであるか」「賠償の結果どうなったか」がカギ

生活資産に損害を受けた場合、損害賠償金は非課税。
でも、事業用資産に損害をうけたり、あるいは賠償を受けた結果、それが事業の経費の補填になったり事業主の売上の補填につながった場合には、売上や雑収入などのように計上して、所得税の課税対象になります。

単に「損害賠償」としてみるのではなく、「その賠償の結果、受け取った相手にとってどのような効果をもたらしたか」を見ます。

NEMはもともと「事業所得」「雑所得」の計算上の棚卸資産です。税法上、「生活資産」とはみなされていません。
事業所得も雑所得も、営利目的によって発生する所得。

その営利目的によって発生した所得が盗難されて受け取った賠償金は、本来売ったときに得るであろう売却代金の代わりになるもの。
したがって、賠償金は所得税の課税対象になる___と考えます。

損害賠償を課税対象としないことによる課税上の「不都合」

これを書いても、「搾取だ!」「残酷だ!」という声があるかもしれませんね。

課税所得を生み出す資産が滅失した場合の補償金を非課税としてしまうと、課税の公平を欠くという問題が生じます。
だから所得税法上は「非課税としない」というのもあります。

たとえば、NEMを1NEM=50円で買い、10NEM持っていたとします。
コインチェック事件で全部のNEMがなくなってしまった今回のケースの場合、タックスアンサーに従うと1NEM=88.549円で補償されたので、約885円が収入となります。

そのため、所得額は885円-500円=335円です。

もし、ここで非課税としたらどうなるでしょうか?

賠償金は非課税なので、0円-500円=▲500円(マイナス500円)。

このNEMしかないなら雑所得は0円になります。

ただ、NEMしか売買していない人はかなりの少数派でしょう。

多くの場合、ビットコインなど他の仮想通貨も売買しているはずです。

他の仮想通貨で利益が出ている場合、

「NEMの補償金のおかげで完全に損失だけを被っているわけではないにもかかわらず」

NEMの被害者に限って、過度に雑所得や事業所得が圧縮されたりします。場合によっては、事業所得で赤字を出して損益通算で所得を圧縮したり、あるいは損失の繰越で翌年などでも所得額を減らしたりできるかもしれません。


NEMの被害者はオトクかもしれませんが、そうでない人にとっては「NEM被害者は補償金もらって損と言うほどではないのに、得ばかりしてずるい!」ということになります。

最後に

最後に

所得に係る収入の代わりになる可能性あり…と見られる賠償金でも、事情によって非課税とされることがあります。
ただし、それはその事件の内容全体を概観して「やむを得ない」と認められる場合のみかと思われます。

もし、今回の案件ならば、コインチェックが補償などを自分から言いださず、被害者が訴訟を行い、裁判の結果、賠償金が出たけどその賠償金で弁護士費用を賄って手元にほとんど残らなかった。。。というケースです。
ただ、それでも、全体を総合的に見て判断ということになります。断定はできません。

損害賠償については「日常生活品など、そもそも使ってても所得が生まれようがない」ものくらいでなければ、非課税にならないと思っておいた方がよいかもしれません。
非課税が当たり前なのではなく、課税が当たり前なのです。

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出典:http://line.me

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鈴木まゆ子 / 3801 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。