
フィリピン政府、仮想通貨取引の抑止へ|ICO詐欺、コインチェック事件再発防止策として
フィリピン政府が先月末、仮想通貨抑止の方向に政策を転換する旨の発表を行いました。現在の世界的な規制の影響だけでなく、国内の詐欺的ICOへの懸念、さらにコインチェック事件による規制強化の必要性を感じてのことのようです。
フィリピンは、投資家を保護し詐欺リスクを軽減するため、仮想通貨取引を抑止することを決めた。
先週月曜日(1月29日)に開かれた記者会見で、フィリピンの市場規制当局は、仮想通貨の発行や登録をはじめ、取引の規制に向けたルールづくりに着手していることを明らかにした。新法は今年、最終化される見込みだ。
2017年にICO が芽を見せ始め、今こそ我々は行動する必要があります。我々は独自の規制を作り出したいと考えています。この新しい分野の投資家がどのように保護されているか、皆さんは細心の注意を払う必要があります。
背景に「コインチェック事件」「詐欺的ICO」の存在
これまで、仮想通貨取引に関しては容認傾向だったフィリピン。
それが一転したのは、これまで詐欺が横行していたICOの問題、そして先日のコインチェック事件があるものと見られます。
残念ながら、ICO の実行者がどこへともなく消えてしまうケースも数多くあります。我々は、そのようなことをフィリピンで起こさせたくはありません。(Aquino 氏)
無認可取引所の捜査継続、規制の対象も「詐欺防止」が主眼
フィリピンの ICO 規制は、仮想通貨市場のサイバーセキュリティ、利用される当局者や技術を含む発行体の適格性、投資家の金融リテラシーに言及したガイドラインが含まれる見込みだ。
企業規制当局は、依然として仮想通貨の公的販売を承認しておらず、免許を持たない販売者を捜査している。
これまで仮想通貨が容認傾向だったのはなぜ?
背景1:景気刺激策
過激な発言で注目を浴びているドゥテルテが大統領に就任後、今まで厳しかった国外企業の規制緩和や治安改善などの後押しによって国内経済は更に伸びています。
背景2:好奇心旺盛な国民性
ティッシュ配りの受け取り率が99%なほど、フィリピン人は好奇心旺盛な国民柄です。彼らから仮想通貨に関して聞かれる事も増えてきました。
日本はようやく最近になって仮想通貨にチャレンジする人が増えてきました。しかしその一方で「オワコン」「いずれ破滅する」といった悲観論も同じくらい(あるいはそれ以上に)多いです。同時に、やはり慎重派も多いのが日本。
しかし、フィリピンの国民性は「好奇心旺盛」。そのため、歴史の浅い仮想通貨やICOが活発化したとも言えます。
背景3:出稼ぎ送金に手数料の安い仮想通貨は便利
フィリピン人は国外で稼いで家族に給料を送金している人が多い
フィリピンの出稼ぎ民が一年間に送金する金額は3兆円を超えており、そのうち送金手数料は3500億円ほど取られていると言われており、以前からその手数料の高さが問題になっていました。
フィリピン人の海外出稼ぎ労働者による2016年11月の母国への送金額が前年同月比18.5%増の22億ドル(約2500億円)になったと発表した。米国の景気回復を受け、08年7月以来の最速ペースで伸びた。
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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 14990 view

税理士・ライター・心理セラピスト。
仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。
個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。
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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。
国内での新規ICOが活発で、仮想通貨取引も容認されていたかに見えたフィリピン。
その流れが一転、政府はフィリピン国内の仮想通貨規制強化の政策に転じました。
年内に法案がまとまる見込みです。