利確してなくても税務署にレポート出さないといけない場合も

利確してなくても税務署にレポート出さないといけない場合も

国税庁FAQをチェックして「利確していないから確定申告しなくていいし、税金を納めなくていいんだ!やったー!」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それでもご用心を。
実は、一定の所得要件や財産状況に当てはまる人は、税法によって定められた財産状況に関するレポートを提出しなければなりません。

参考:仮想通貨に関する確定申告の記事

仮想通貨の所在地判定|現況だと「国内財産」に該当か

仮想通貨の所在地判定についてですが、いまだに仮想通貨の定義が資金決済法にしかありません。
相続税法第10条をきっちり読むと、仮想通貨の所在地は第一項の各号のいずれにもあてはまるようには思えません。(データなので動産にあたらない、もちろん有価証券等でも預貯金でも貸付金債権でもない)


そのため、同法第10条第3項にしたがい、「仮想通貨の保有者の所在地」として判定するしかないのかな、と考えます。


ただ、あくまで個人的意見です。他の専門家の意見も参考にしてください。

根拠条文↓↓↓

第一〇条 次の各号に掲げる財産の所在については、当該各号に規定する場所による。
一 動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利については、その動産又は不動産の所在。ただし、船舶又は航空機については、船籍又は航空機の登録をした機関の所在
二 鉱業権若しくは粗鉱権又は採石権については、鉱区又は採石場の所在
三 漁業権又は入漁権については、漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画
四 金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金で政令で定めるものについては、その預金、貯金、積金又は寄託金の受入れをした営業所又は事業所の所在
五 保険金については、その保険(共済を含む。)の契約に係る保険会社等(保険業又は共済事業を行う者をいう。第五十九条第一項において同じ。)の本店又は主たる事務所(この法律の施行地に本店又は主たる事務所がない場合において、この法律の施行地に当該保険の契約に係る事務を行う営業所、事務所その他これらに準ずるものを有するときにあつては、当該営業所、事務所その他これらに準ずるもの。次号において同じ。)の所在
六 退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む。)については、当該給与を支払つた者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在
七 貸付金債権については、その債務者(債務者が二以上ある場合においては、主たる債務者とし、主たる債務者がないときは政令で定める一の債務者)の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在
八 社債(特別の法律により法人の発行する債券及び外国法人の発行する債券を含む。)若しくは株式、法人に対する出資又は政令で定める有価証券については、当該社債若しくは株式の発行法人、当該出資のされている法人又は当該有価証券に係る政令で定める法人の本店又は主たる事務所の所在
九 法人税法第二条第二十九号(定義)に規定する集団投資信託又は同条第二十九号の二に規定する法人課税信託に関する権利については、これらの信託の引受けをした営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在
十 特許権、実用新案権、意匠権若しくはこれらの実施権で登録されているもの、商標権又は回路配置利用権、育成者権若しくはこれらの利用権で登録されているものについては、その登録をした機関の所在
十一 著作権、出版権又は著作隣接権でこれらの権利の目的物が発行されているものについては、これを発行する営業所又は事業所の所在
十二 第七条の規定により贈与又は遺贈により取得したものとみなされる金銭については、そのみなされる基因となつた財産の種類に応じ、この条に規定する場所
十三 前各号に掲げる財産を除くほか、営業所又は事業所を有する者の当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の権利については、その営業所又は事業所の所在
3 第一項各号に掲げる財産及び前項に規定する財産以外の財産の所在については、当該財産の権利者であつた被相続人又は贈与をした者の住所の所在による。

出典:相続税法

注意1:財産債務調書

概要

概要

財産債務調書制度は、相応の収入と財産・債務がある人について、財産や債務の詳細について、確定申告書とともに税務署にレポートする制度です。
この調書についての財産は国内にあるか国外にあるかを問いません。

なお、提出しない場合の罰則規定も設けられています。

提出義務者

提出義務があるかないかの判定についてです。
次の(1)と(2)の両方を満たした人は、財産債務調書を提出しなくてはなりません。

(1)所得額基準
 その年分の総所得金額及び山林所得金額並びに申告分離課税の所得の合計額が2,000万円を超えること。
合計額の算定対象の所得は

合計額の算定対象の所得は

必ず加算される所得としては

・総所得金額
・山林所得金額
・不動産の譲渡所得金額
・先物取引に係る雑所得の金額


申告することを選択した場合に加算される所得は

・上場株式等の配当所得金額
・一般株式等、上場株式等の譲渡所得等の金額

となっています。

 
・申告分離課税の所得については、特別控除後の金額

・純損失の繰越控除や雑損失の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額

・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額
留意点

申告不要を選択した特定口座(源泉徴収選択口座)内における所得金額は加算する必要はありませんが、申告することを選択した場合には、その金額は加算対象になります。

退職所得金額については、たとえ、確定申告をした場合であっても、加算の対象にはなりません。
(2)財産額基準
 その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有すること。
(注) 国外転出特例対象財産とは、有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引をいいます。

財産額基準では、「資産-負債」という純資産価額ではなく、「資産」だけ、つまり総資産額で見ます。
また、価額というのは時価です。仮想通貨も含め時価のあるものは12月31日時点の時価が財産価額になります。

留意点
所得額基準とは異なり、申告不要を選択できる特定口座(源泉徴収選択口座)や非課税口座(NISA)内の有価証券などの価額も財産額基準の合計額に含まれます。
財産額基準の3億円又は1億円は、国内財産及び国外財産の合計額によります。

提出義務判定の有無は次のように考えます↓↓↓

ア)国内財産(2億5,000万円)+ 国外財産(5,001万円)
→「財産債務調書」及び「国外財産調書」の提出義務者となります。
この場合、国外財産については、「財産債務調書」への個別具体的な記載は不要です。

イ)国内財産(2億6,000万円)+ 国外財産(4,000万円)
→「国外財産調書」の提出は不要ですが、「財産債務調書」の提出義務者となります。
この場合は、国外財産についても「財産債務調書」への個別具体的な記載が必要です。
判定フローチャートで判定

判定フローチャートで判定

このフローチャートを使うと判定がしやすいかと思います。
ざっくりとしたイメージでは

「普段から所得2000万円あって、なおかつ仮想通貨その他もろもろの財産が3億円はある人」
「普段から所得2000万円以上あって、なおかつ国外転出時課税制度にひっかかりそうな人」

という感じでしょうか。

なお、財産には仮想通貨だけでなく、有価証券等の金融資産や土地建物といった不動産、そして預貯金など諸々を含みます。

提出期限及び提出先

(1)提出期限

その年の翌年の3月15日までに、提出する必要があります。
年の中途で個人が死亡した場合、その死亡した年分の財産債務調書は提出する必要はありません。

(2)提出先

所得税の納税地の所轄税務署長

罰則

調書制度になって以降、罰則規定アリ

調書制度になって以降、罰則規定アリ

この制度が始まる以前、「財産及び債務の明細書」という制度がありました。
この調書の未提出については罰則規定がなかったため、未提出で済ませようとする人も少なくありませんでした。

しかし、本制度については、罰則規定が設けられています(逆に本制度を遵守した場合は軽減措置が講じられています)

具体的な罰則は、財産債務調書が未提出または提出した財産債務調書に記載がない財産や債務について所得税の申告漏れが生じた場合に発生する。
過少申告加算税や無申告加算税、重加算税といった加算税等に、更に5%が上乗せされる。
逆に、財産債務調書に記載がある財産や債務について所得税や相続税の申告漏れが生じた場合は、加算税等が5%軽減される。

注意2:国外財産調書

個人の海外資産についても申告義務アリ

個人の海外資産についても申告義務アリ

また、調書が義務付けられているのは総財産3億円以上の人だけではありません。
国外に財産がある人についても調書の提出が義務付けられています。

ただ、現状の税法からだと、仮想通貨の所在地は海外取引所で取引していたとしても国内財産として判定される可能性が高いです。
そのため、保有の仮想通貨が12月31日時点時価が5000万円超になったとしても、要件には該当しないように感じます。

ただ、繰り返しになりますが、あくまでも個人的意見です。
正確な判断に関しては、他の専門家の意見も参考にしてくださいね。

参考までに、国外財産調書制度のリンクを貼っておきます↓↓↓

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。