シカゴ・オプション取引所(以下、CBOE)でビットコインのETF導入を検討していることが明らかとなりました。ヨーロッパでは既に仮想通貨の価格と連動した投資信託の商品が導入されているケースも見受けられます。

「仮想通貨投資はやってみたい、でもあの価格変動が怖い」という人にはこういうカタチの投資も向いているのかもしれません。

CBOE(シカゴ・オプション取引所)がビットコイン(BTC)のETF(上場投資信託)の導入を想定していることが分かりました。
CBOEでは2017年内、もしくは2018年初期にはビットコイン先物の提供を目指しています。先日はCMEグループがビットコイン先物の計画を発表したことから、ビットコイン価格は一気に上昇しました。9日16時現在では約84万円ほどを推移しています。

この価格の上昇には、皆様もご存知の通り、懸念が続いていたSegWit2X(B2X)によるビットコイン分裂が回避されたことにあります。これにより安心感が広がりました。先物取引やETFの導入が検討されるようになったのは、こういった安心感の広がりも背景にあるかと思われます。

CBOEの社長は次のようなコメントを出しています。

ビットコインの先物市場が構築されれば、時間の経過とともにETFを導入することも想定しています。私たちは、多くの方がこの分野に注目していることを奨励しています。」

参考知識:ETF、ETNそして先物取引について

■ETFとは■

ETFを日本語で表現すれば、「上場投資信託」となります。

投資信託:

一般から広く資金を集め、特定の投資対象を売買します。ETFの場合は、売買で積極的に利益を狙いに行くのではなく、特定の指数などに連動して価格が動くように設計されます。今回の場合でいえば、ビットコイン価格に連動します。

上場:

上場しているということは、公開株式と同様、自由に売買できることを意味します。上場していない投資信託の場合、いつでも自由に売買できるというわけではありません。上場のメリットはとても大きいです。

■ETNとは■

ETFは、投資対象の現物を拠出して投資信託を作ります。ETNの場合は、発行体が債券を発行します。その債券の価格が投資対象の価格に連動するように設計されています。

現物の保有が難しい投資対象でも取引できるようになるメリットと同時に、発行体が経営破たんする場合のリスクがあります。

■先物取引とは■

ビットコインの先物取引は現物取引ではなく、信用取引でもなく、「契約」の取引です。
ビットコインの先物取引では、証拠金を預入れ、差金決済によりビットコインを売買するという意味では信用取引に似ていますが、先物取引には「限月(げんげつ)」というシステムがあり、満期日が決められています。
満期日までであれば反対売買による差金決済を行うことで建玉(ポジション)を解消することができます。

満期日までに反対売買による差金決済を行わなかった場合、建玉は満期日に決定するSQ(清算値)で自動的に差金決済されます。

仮想通貨の金融商品を販売するメリットは?

仮想通貨は24時間取引も少額投資もOK…金融商品にするメリットあるの?

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ここで気になるのが「なんでわざわざそんなものを作るの?」ということです。
仮想通貨の価格変動は確かに激しいのですが、24時間取引OKだし、また数千円からの少額投資だって可能です。
株式じゃあるまいし、わざわざそんなもの作らなくたって…と思う人もいるでしょう。

しかし、登場間もない仮想通貨だからこそ、やる意義があったりします。

メリット1:より多くの人に認知してもらえる

ビットコインという名前は聞いたことがあるけれど、特に興味がないという場合、インターネットなどでいくらビットコインの情報を提供しても、全く届かないでしょう。しかし、ETFになれば、公開株式と同様に取引可能になります。

すなわち、少なくとも株式等を取引する人にとって、ビットコインは「良く分からない取引対象」ではなく、具体的な投資の選択肢になります。

言い方を変えると「株式や投資信託など、既存の金融商品に投資している層」を取り込みたい、ということが言えるでしょう。
急な高騰で認知が広まったと言っても、ほんの一部です。
そしてまだまだ「危ない」という誤解をしている人も少なくありません。

そういった不安を和らげ、より親しみを持ってもらうためにも、金融商品にして取引のハードルを下げるという意味があります。

メリット2:安心感

ビットコインの普及にとって障害となるのは何でしょうか。いくつかあるでしょうが、「良く分からないという怪しさ」もあるでしょう。今まで存在しなかったものですから、怪しいと思うのは当然かもしれません。

しかし、証券取引委員会が認めたとなれば、話は別です。「良く分からない怪しいもの」から、「投資対象として考えてみよう」に格上げされるでしょう。

仮想通貨取引所がいくら「安全を担保しています」といっても、その取引所そのものの歴史が浅ければ、やはり警戒する人は警戒します。

しかし、証券取引委員会(日本ならば取引所グループなど)がOKを出せば「あ、安全なんだな」という認識に一転します。

人間の心理としては「何を言うか」より「誰が言うか」が大事なのです。

さらに、証券会社ならではの安心感もあります。
先ほども述べましたが、仮想通貨の取引所は歴史がきわめて浅いのです。
「利益が得られるかも」と思いつつ、それでも二の足を踏むのは人間の性(さが)です。

しかし、歴史ある証券会社の口座で売買ができるとなれば、そこで安心感を得られるでしょう。
不安が強い人ほど、実質ではなく形式を重視していたりします。

メリット3:税制

ETFの売買の場合、他のETF売買や株式投資と同じ税制を使えると期待できます(国によって異なるでしょうが)。一方、ビットコインを直接売買する場合、株式投資の損益と通算したり、有利な税制を使ったりするのは難しいかもしれません。

税制が大きく異なるならば、ETFで買うかビットコインの現物を買うかというのは、極めて大きな違いです。

日本でイメージすると「NISA」「子ども版NISA」、分離課税20%のような優遇税制のイメージですね。
タックスアンサーで「ビットコインは雑所得」と発表されたとき、ため息をもらした方も相当いるかと思います。
税金がどうなるかは投資家としては重要項目です。

ビットコイン現物ではメリットが低い、というのはアメリカも同様のようです。

メリット4:大規模投資家をターゲットにできる

この他、機関投資家など小口ではなく大口の投資家から大量の資本を投下してもらえるというメリットもあります。
機関投資家はクライアントから資金を預かって投資しています。
リスクを取らないとリターンはないことは知りつつも、それでも「一つのカゴに複数のタマゴは入れない」は鉄則です。
価格変動の激しいものは、確かに魅力的ではありますが、それだけでは投資対象として検討しにくい側面があります。


しかし、安心材料が広がれば、機関投資家も積極的に検討します。
現に、「ビットコインは詐欺」発言をしたCEOのいるJPモルガンも、ビットコインのETNに投資をしていたとのことでした。

つまり、クライアントへの利益還元を考えるならば、仮想通貨の金融商品はあらまほしきものなのです。

早めに金融商品化を検討していたヨーロッパ、後手後手のアメリカと日本

そして既に、ヨーロッパでは、仮想通貨ETNの導入検討が始まっていたようです↓↓

デンマークのプライベート銀行、SaxoBankはビットコインETNの提供を開始する。
SaxoBankは顧客によるビットコインに対する関心が高まっていることから、今回ETNの導入に踏み切った。顧客は米ドルに対するビットコインの値動きを追跡するよう設計された2つのETNを利用できる。
1つは「Bitcoin Tracke One」と呼ばれるスウェーデン・クロナで取引される。
もう1つは「Bitcoin Tracker EURO」でこちらはユーロで取引される。
どちらのETNもXBT Provider ABによって発行され、Nasdaq OMX(Stockholm)で取引される。

この他、イーサリアムETNも上場する模様です。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 3086 view

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。