10月から仮想通貨取引所の監視強化_金融庁

めまぐるしく成長・変化する仮想通貨市場。
この1年間の急激な変化をただごとではないとにらんだ金融庁が、このたび、10月以降監視を強化する旨を発表しました。

 金融庁は10月から、仮想通貨取引所の監視に乗り出す。司令塔となる「仮想通貨モニタリング長」ポストを設け30人規模の専門チームを設置し、現在、登録業者の審査を進めている。

仮想通貨を円やドルに準ずる支払手段として資金決済法の導入や取引所の登録制がすでに導入されています。この資金決済法改正以前からすでに運営されている取引所に対しても9月末までに登録するよう促しているのが現状です。

ただ、それでも、投資環境を整備できるとは言い切れません。

そのため、資本金状況や債務超過状況のチェックだけでなく、悪質な業者がいないかどうかのリスクベースの確認も行われる模様です
(日経サイトの有料記事から一部抜粋)

具体的な対策は?

1:取引所の登録催促及び資本状況などの管理

価格変動リスクをきちんと説明できるか、顧客から預かったお金と自社の持つ仮想通貨を分けて管理できるかなどを調べ、基準に達しない取引所は登録対象から外す。国が安全性をチェックする体制を整え、利用者が不利益を被らないようにする。

ただし、取引所内でのブロックチェーンを使った取引内容をどう管理するか、どう見るかについてはまだ定まっていません。さらに複数の業界団体が存在すること、そして業界自体が目まぐるしく変化しやすいことから、自主規制で迅速に対応することはハードルが高そうです(一部、日経サイト有料記事から抜粋)

2:仮想通貨にまつわる会計ルールの議論

現状の会計ルールでは、仮想通貨の取り扱いに関する明確な規定がなく、企業や会計士の判断に委ねられている状況である。主流となっているのが、仮想通貨の保有者は貸借対照表の「棚卸資産」に、発行者は「負債」に計上する方法である。

しかし、本源的価値がゼロである仮想通貨を「棚卸資産」に計上するべきではないという意見もあり、外貨建て資産と同様の扱いを行うべきだという見方もある。また、このようにルールが明確で無い為に、簿外処理を行っている企業も多い。

会計ルールが定まっていないため、会計側としては「とりあえず間違いのない最低限の処理」を行うしかありません。
しかし、これは危険極まりないもの。
なぜかというと、時価であるべきものを簿価処理してしまい、ある日突然多額の損失が表面化し、事業主を危機に陥らせる可能性もなくはないからです。

支払手段としての法的位置はさだまったものの、いまだに会計ルール上、取扱いが定まっていない仮想通貨。
このため、先日国税庁タックスアンサーで雑所得という見解発表がなされるまで、「譲渡所得か?事業所得か?雑所得か?」という議論が冷めやらなかったのは、皆様ご存知のとおりです。
会計ルールが定まれば、こういった議論に終止符が打たれ、その後の処理が進むことになるでしょう。

そしてその議論はすでに行われている模様です。

ASBJはまず仮想通貨の評価額算出方法のルール作りを話し合い、取引量の多い仮想通貨を時価評価する案が示された。企業の持つ仮想通貨の正確な価値を図る事に繋がる。
一方で取引量の少ない仮想通貨に関しては、取得原価基準に基づいて減損の要否を検討すべきとした。取引量の少ない仮想通貨の時価評価は難しく、時価のブレも大きくなる事に配慮した格好だが、取引量での区分は妥当では無いとする意見もある
仮想通貨取引所が顧客から預かる仮想通貨については、現金同様に貸借対象表上の「資産」に計上するとともに、同額の「負債」も計上すべきとの考えも示している。
ASBJは会計ルールの草案を9月までにまとめる考えを示しており、草案公開後は2カ月以上の期間を設けて意見を募るという。まだ時間は掛かる事となるが、企業価値を正確に掴む事の出来る、明確なルール整備が待たれる。

3:ICOへの対応

金融庁はICOへの対応に苦慮

金融庁はICOへの対応に苦慮

金融庁にとって、もっとも困難なのは「ICO」の存在なのかもしれません。
従来、資金調達は、国が管理する通貨によるものしかありませんでした。

しかし、ビットコインを含む仮想通貨は国の管理から離れ、P2Pを利用した一般人同士の管理下に置かれるものです。

国家の手の出しようのない「お金」による資金調達のありかたに、金融庁もどう対応したらいいのか、頭を悩ませているようです。

独自の仮想通貨を発行して資金を集める「新規仮想通貨公開(ICO)」をするには、この定義に当てはまるかどうか、金融庁が判断する。(日経新聞有料記事より)

この定義というのは「不特定の者に代価の弁済に利用でき、法定通貨と相互交換できる」「電子的に記録され、移転できる」「法定通貨ではない」という点です。

ただ、この定義に当てはまったとしても、ICOが適正かどうかを判断する材料とはなりえません。なぜかというと、あくまでも「支払手段としての仮想通貨」について改正法は定義しただけであって、ICOの判断基準まで示したものではないからです。

そのため「どこまで許容したらいいのか分からない」「詐欺まがいのICOも発生しかねない」とピリピリしている様子です。

世界では中国人民銀行(中央銀行)がICOの全面禁止を発表した。英国の金融行為監督機構(FCA)も「非常に高いリスクがある」と警告を発した。米国やシンガポールの金融当局は仮想通貨の投機や資金調達の手段としての側面に目を向け、有価証券との線引きを明確にするルールづくりを急ぐ。(日経新聞有料サイトより一部抜粋)

まとめ

行政の完全管理下にはない「仮想通貨」の難しさと行政の役割とは

行政の完全管理下にはない「仮想通貨」の難しさと行政の役割とは

仮想通貨はそもそも「明確な管理者不在の通貨システム」です。P2Pというシステムを活用し、取引にかかわる者同士の相互チェックによりなりたっています。
通常の円やドルと異なり、国家の管理下にはない。
だからこそ、動きやその確からしさを正確に、かつ逐次監視していくことには困難が伴うでしょう。

しかし、それでも行政は「民間人の保護」「財産権の保護」という役割を担います。

柔軟に制度を見直せる下地を整える。
悪質な業者にはためらわず撤退を命じる。

このためには、行政当局が民間との連携を固め、同時に、真摯に仮想通貨という存在と向き合い、学んでゆき、そしてその市場を育てていく姿勢が大事になるのではないかと思われます。

逆に、仮想通貨を取り扱う側も、行政に対して疑いの目を持つのではなく、適切な対応をし、保護を受けることができれば、その市場の世間からの信用もより高まり、仮想通貨取引がより活発化することにつながるでしょう。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 16216 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。