新興国は、経済成長とともにフィンテック市場としてもまだまだ伸びしろが期待できる地域です。
特にベトナムはその中でももっともフィンテックが熱い国と言われています。
中でもモバイルバンキングビジネスが今、もっとも注目を浴びています。
そして、その事業参画企業の中に、仮想通貨スタートアップも含まれているのです。

モバイルバンキング市場著しいベトナム

携帯通信大手で国防省傘下のベトナム軍隊通信グループ(ベトテル=Viettel)は14日、携帯電話通信サービス提供12周年を記念して、新サービスのモバイルバンキング「バンクプラス(BankPlus)」を発表した。

このサービスは基本的に軍資本の通信会社と金融機関が提携して編み出されたもの。しかし、その内容は日本のモバイルバンキングとほぼ同じ内容を見せています↓↓↓↓↓↓↓↓

前身のサービスでは、利用者はすぐに口座を開設することができ、残高・取引履歴の照会、預入・引出しのほか、MBBのシステム「スマートリンク(Smartlink)」を介した送金、電子マネー、ポストペイド(後払い)式携帯電話料金やインターネット料金の精算、ベトテルのプリペイド(前払い)式携帯電話のチャージなどが可能
バンクプラスでは口座を開設することなく、チャージや各種料金の精算、電話番号による送金ができるだけでなく、インターネットバンキング口座を開設すれば定期預金や払い戻しなどのサービスも利用可能。登録から6か月間は利用料金が無料となっている。

国内の居住者だけでなく、外国人も口座開設がOK。
そんなモバイルバンキングサービスをベトナムの商業銀行が行っています。

ベトナムの大手銀行は観光客でもビザ(査証)を持っていれば、簡単に口座開設ができます。TECHCOMBANKは2016年11月よりシステムが変わり、ビザが必要になりましたが、それ以前は無査証で開設可能でした。銀行によって、開設要件は異なりますが概ね簡単です。
TECHCOMBANKのインターネットバンクの特徴は、開設通貨分の口座残高が確認できる事と、ベトナム国内銀行間のベトナムドン送金が可能である事です。

今年6月にはホーチミンでフィンテックカンファレンスが開催

ベトナム・ホーチミン市にて、6月15日とから16日の2日間に渡って開催される「BlockFin Asia 2016」は、アジア最大級かつベトナム初となるフィンテック×ブロックチェーンのカンファレンスです。
ブロックチェーンについて語られる大規模なカンファレンスはベトナム初の試みです。ベトナムを含む東南アジアでは、スマートフォンの普及率は年々高まる一方で、シンガポールなどの一部の地域を除いて、クレジットカードの普及率が10%未満と低い特徴があります。

モバイルバンキングの伸びが著しい背景とは

そもそもATMがアテにならないベトナム

2014年の時点ですでにモバイル市場の成長の兆しはありました↓↓↓↓↓

ベトナムのインターネット普及率が上昇し、スマートフォン利用者が急速に増加している中、商業銀行はこの数年、モバイルバンキングサービスの開発を強化する傾向にある。
また、商業銀行だけでなく、海外金融機関やeコマース(電子商取引)企業、通信企業も同市場に相次いで参入していることから、競争が激しさを増している。
銀行と言えば、一度ATMのカードが使えなくなり、交換するということをしたことがありました。
ベトナムの銀行ATMは反応が遅く、一度に引き出せる金額も200万ドン(1万円程度)に設定されているものが多く、非常に使い勝手が悪いです。

ATM機能がそもそも期待されていないベトナムの銀行。
それを象徴するかのように、次のような特徴があります↓↓

3. 通帳は発行されない

TECHCOMBANKにかぎらず、ベトナムの銀行の普通預金口座には通帳はありません。

また口座番号の確認は紙のカードかネットバンクで確認、というシステムになっています。日本にはない特徴で面白いですね。

ベトナムの銀行は通帳が無く、キャッシュカードとインターネットバンキングのみが発行されます。
ベトナムにおけるバンキングの課題はバンキングサービスの普及であり、FinTechの目的はスマートフォンなどのモバイルデバイスを用いたモバイルバンキングとモバイルペイメントの普及・拡大にある。

2010年、一気にIT関連企業が続出

新興国のベトナムでは、2010年にインテルがホーチミン市(旧サイゴン)に10億ドルを投資して半導体工場を作ったのをきっかけとして、IT関連企業が次々に誕生した。
アメリカやベルギー、フィンランドなどの国からも支援が行われ、ニューヨークの大手金融機関やシリコンバレーの企業からのベトナムへのIT関連の投資が増えている。
その中の1つとして、アメリカの投資銀行のゴールドマンサックスは、ベトナムのFinTechのスタートアップ企業で2014年創業のサイゴンベースのモバイルペイメント・ソリューションのMoMoに対して投資を行っている。

そして今、ベトナムのIT分野での成長は著しいものがあります。
なぜでしょうか。

理由は、少子高齢化している日本と違い、若年層が非常に多いことにあります。特に20代は人口占有率トップです

まずベトナムは日本人によく似た、非常に勤勉な国民性を持っています。特にベトナム北部ではその傾向が顕著で、終業後に語学や技術の勉強をする人々が多いことが特徴です。

IT分野の技術者は、日進月歩する技術についていったり他分野の知識を必要とされたりするため、自己学習は必須となります。日常的に向学心をもってスキルアップに励むベトナムのエンジニアは、低コストで高品質のシステムを開発するにあたり人気を集めているのです。

スマートフォンの普及が急激に進んだベトナム

過去では、ベトナム人にとってスマホはなんといっても贅沢なもので、市場にあるものはほとんどアメリカや日本から持ってきて、販売するものです。
でも今はそのイメージが変わりました。今の市場には、安い値段から高い値段までのあらゆる値段で豊富なスマホの種類が販売されています。
特に中国からの各種スマホはだんだん増えて続けています。

ベトナムは中国と同じ共産圏。
また国境を挟んで中国と接しています。
文化・経済の両面で中国の影響を受けやすい位置にいるベトナム。
中国の経済成長のあと、ベトナムにその余波が来るし、中国でスマホが流行れば、遅れてベトナムでも普及する…というのは自然な流れと言えます。

過去の調査結果だと、2012年末の頃に、ベトナムでのスマホ利用者は約人口の2割をしており、2012年から2013年までの1年間が経つとスマホとタブレットの成長率は266%もあげました。これからも潜在的な市場であると考えられています。
2015年時点で、都市部におけるスマートフォン利用率は40%に達しています(都市人口割合は34%)。ベトナムの人口は9,000万人程度なので、都市部に住む3,000万人のうち、およそ1,220万人がスマートフォンを利用していると考えられます。

ベトナムの若者の月収は5万円程度と、決して高くありません。
なぜ高価なスマホがこれほどにも普及するのでしょうか?
理由は3つあります。

ひとつは、ベトナムでのSNSブーム。SNSには「今すぐ、ここで」の発信が必須です。SNS依存症な人も出てきています。
もう一つは、格安SIMによる利用が可能で、固定利用料などがかかりません。また通話料も日本に比べて300~500円ときわめて安く設定されています。
最後に、無料Wi-Fiの設備があちこちで行われていること。

このように「初期投資にはお金がかかるけど維持にはお金がかからない」システムが、スマホの普及に拍車をかけているのです。

モバイル、IT、若手、フィンテック…ときたら、仮想通貨も期待可能性大

これまで、ベトナムでのフィンテック、とくにモバイルバンキングの成長の著しさとその背景について考えてきました。
さまざまな要素は、もうひとつの可能性をも生み出します。
そう、仮想通貨市場の拡大です。

すでに2013年、ベトナムではビットコインのスタートアップが登場していました。

世界的にどんどん広まりつつあるビットコイン。ベトナムではどうなんだろう?と思っていたら、どうやら取引所を運営している会社があるようでBitcoin Vietnamという会社で2013年12月設立のようです

そして2014年、ベトナムでは国内初の仮想通貨取引所が開設されたのでした

ビットコインベトナム (Bitcoin Vietnam)は25日、仮想通貨「ビットコイン」取引所を運営するイスラエルの「Bit2C」社と共同で、4月末にもベトナムで「ビットコインオンライン取引所(VBTC)」を開設すると発表した。

 これはベトナム初のビットコインオンライン取引所となる。これにより、ベトナムの顧客が安全で信頼性の高いビットコイン取引市場にアクセスできるようになり、ビットコイン取引の発展・普及に寄与するものと期待されている。

ビットコインベトナムは、2016年1月、こんなふうな状況になっています↓

登録ユーザー数はすでに1万3000人ほどおり、その内アクティブなのは10%ほど、ほとんど全てが現地の人のようです。

普及しそうな理由のもうひとつ・・・国民が銀行を信用していない

ベトナムはまず現金中心の社会です。基本的に都市の中心街を除いてローカルのお店でクレジットカードで支払いが出来る場所はありません。全て現金です。
銀行について特に面白いと思ったのは、現地の人たちはどうやら全般的に銀行を信頼していないということです。話を聞いたところ、銀行に預けて投資した自分のお金が、何かしらの理由をつけられて結局そのまま溶けて全てなくなってしまったりすることもざらなようで、メディアに訴えても誰も取り扱ってくれないとかなので、結局それぞれ金や不動産、土地などに自主的に投資するのが一般的なようです。

でも、そのわりにはアバウトなところもあるようで。。。日本の口座凍結とは正反対な感じです

全体的にアバウトな国なので、銀行、通信とかも含めてKYC(本人確認)が適当で、本人確認とかしなくても、「あー、もうやっちまえ!」って感じでお金を預けたり、引き出したりできちゃうそうです。あと、日本では銀行がビットコイン企業の口座を凍結したりなどの問題(嫌がらせ?)があったりもしましたが、ベトナムの銀行はそんなの全然気にしないとのこと。

そして、その国民性をちゃんと理解しているスタートアップは、銀行口座がなくても仮想通貨取引OKなシステムを構築しています。

日本の交換所、取引所では銀行口座を持っていることが必須ですが、Bitcoin Vietnamでは銀行口座がなくてもビットコインを購入できるようになっており、銀行の窓口で個人情報を証明して、現金の受取、デポジットなどをしている人が多いようです

ただ、ベトナムでも課題がありまして、現金主義な分、仮想通貨の口座に残高を残しておくのはイヤなのだそうです。さっさと取引を引き上げてしまうのだとか。
「現金以外のものは信用しない」風潮は中国も強いのですが、ベトナムもその影響をうけています。共産圏の国はおおむねこのような感じでしょうか。

まとめ・・・ベトナムの仮想通貨市場と中国の仮想通貨市場は似ている

ベトナムのスマホ普及率、若者の多さ、そしてITの浸透、モバイルバンキングの成長などから、仮想通貨についても今後ベトナムは注目してよい地域だと言えます。
もしかしたら、ベトナム人CEOが作ったスタートアップ企業が新たな仮想通貨を開発し、それが世界で注目を浴びることにもなるかもしれません。

ただ、ベトナムは中国と同じ共産圏の国です。
1990年代後半から経済成長をモットーに、市場開放を進めてきました。
しかし、軍の統制は相変わらず厳しく、第三者の介入を要しない仮想通貨についても、取り締まりをいつ強化するとも限りません。

しかし…締め付けが厳しければ厳しいほど、より自由を求めるのが人間です。
それは中国でもベトナムでも表れています。

国の動向を見ながらベトナムでの仮想通貨市場の今後を静かに見守りたいものです。

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仮想通貨まとめ編集部 / 2362 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。