「ブロックチェーンは管理コストの削減に使える!」と考えたロシア政府

ロシア政府内の反独占当局が現在、ブロックチェーン技術を基盤とした文書管理システムの実証実験を行っている

An anti-trust agency within the Russian government is testing a blockchain-based document management system.

このプロジェクトでは、デジタルエコシステムに加え、文書交換の際の相互間の質や信頼性、質の向上を実現するツールの開発に焦点を定めたものだ

Dubbed “Digital Ecosystem”, the project is aimed at developing tools that can “increase the speed, reliability and quality of interaction during document exchange”.

ロシア連邦独占禁止庁(FAS)はズベル貯蓄銀行と共に、このブロックチェーンを利用したツール開発に努めている。ズベル銀行曰く、このプロジェクトには、ロシア最大の航空会社エアロフロートも関与しているとのことだ。
ズベル銀行はすでにブロックチェーンの自社のコア業務への応用に積極的

ズベル銀行はすでにブロックチェーンの自社のコア業務への応用に積極的

ズベル銀行は、ブロックチェーン活用にもっとも積極的なロシアの金融機関のひとつです。

「この実証実験の狙いは、文書管理と交換にかかるコスト削減である」とFASの副長官のAndrey Tsarikovsky氏は述べています。彼はまた、次のようにもコメントしています。

ブロックチェーン活用といったちょっとしたアプローチによってコストは削減できる。というのも、データ処理センターは現実に必要ないし、データの保護装置も需要が低い。
特筆すべきは、ロシアという国が、官民ともに、こういったイノベーションをビジネスの流れをよりシンプルにするものとして着目する先進国のひとつだという点だ。

“This decentralising approach cuts costs because data processing centres are not required and the requirements for equipment protection are lowered. It is noteworthy that Russia is one of the first countries in the world where the state and market participants are looking at these innovations as a way to simplify business operations.”

「ブロックチェーンを行政システムに応用しようと考えるなんて、ロシアは偉大な国だ!」と言わんばかりのコメントですが…

ビットコインを含めた仮想通貨については、マネーロンダリングの怖れなどもあり、現在かなりの規制をかけています。ビットコイン関連のサイトにロシアからアクセスすることもできません。

ロシア政府は「ビットコイン反対」だけど「ブロックチェーンは歓迎」

ブロックチェーンの活用には積極的なロシア政府ですが、ビットコインを含めた仮想通貨については猛反対モードを崩していません。
「仮想通貨をルーブルに変えたら罰則を適用」が一時法案として提出されるほど、ビットコインには基本的に「NO」の姿勢を崩していません↓↓

1年以上、国家経済に関する立法機関であるロシア連邦の財務省は、繰り返し、政府が発行する通貨の代替物としてのビットコインの使用に反対してきた。たとえば、ちょうど先月、財務大臣代理のアレクセイ・モイセーエフ(Alexey Moiseev)は、暗号通貨をロシアの通貨であるルーブルに変換すると最大4年の刑で罰する法律の草案にとりかかっている、と語った。
これらの言明以外は、金融技術としてのビットコインについての政府機関の見解は不鮮明だ。モイセーエフは、「財務省はビットコインとその根底にある技術に異なる対処をしている。」と語った。

「われわれは、ブロックチェーン技術は、インターネットベースのさまざまなサービスの開発には非常に重要だと感じている」
「われわれは、電子商取引開発での、ブロックチェーン技術の潜在的な関連性を歓迎しており、それゆえ、ブロックチェーンは開発が許可されるべきだと思うが、しかし、ビットコインそれ自体は、特にビットコイン取引の実経済への実装は、現実の銀行システムには非常に危険だ」と結論付けた。
「われわれは、既存の銀行システムを使ったマネーロンダリングや金融テロリズムに対する保護システムを構築してきた金融システムでの潜在的な可能性のある開発に関して、非常に懸念している。われわれは、ビットコインのルーブルへの変換やその逆が自由にできるようになることで、これに穴が開くことを非常に恐れている」

ビットコインは、銀行などの第三者が介入しないシステムです。ということは、記録が第三者に開示されないため、政府や行政の把握が困難になります。もともと社会主義国であり、自由化したとはいえいまだにその風潮が拭えないロシア。「把握できないものは排除したい」という意図が働くのはやむをえないと言えます。

「仮想通貨はアウトでブロックチェーンは欲しい?何そのご都合主義!」

と思わずツッコミを入れたくなりますが、実は、ブロックチェーンをやらざるを得ないロシアの事情があります。それは財政難です。

なぜブロックチェーン?やらざるを得ないロシアのフトコロ事情とは

ロシア財政収支の推移

ロシア財政収支の推移

現在、ロシア経済は右肩下がり状態です。また、浮き沈みが激しく、先の予想がしにくい状態でもあります。ロシアの基軸通貨であるルーブルの変動もご覧の通り、乱高下しています。決して安定しているとは言い難いのです。

ロシア財政収支(対GDP比)の推移

ロシア財政収支(対GDP比)の推移

対GDP比で見ると、財政収支の乱高下の激しさが際立ちます。

対GDP比とは財政収支がその国のGDPから相対的に見て、
どれくらいのインパクトがあるかを表します。
100万円の借金ひとつにしても、年収300万円の人がするものと、
年収5000万円の人がするものでは収入に対するインパクトの大きさが違いますよね。


つまり、ロシア経済の国民の生活への影響も乱高下が激しい、ということです。

ロシア基礎的財政収支の推移

ロシア基礎的財政収支の推移

基礎的財政収支とは、財政収支に対し、純利払い費を除いたものです。
プライマリーバランスともいわれます。
当年の必要経費を税収等でどれだけ賄えるのかを表しています。

これを見ると、借金の利息を現在の税収で賄うことが不可能なことがわかります。

ロシア経済は2008年リーマンショックによる金融危機の影響を受けて以来、大きく落ち込んでいます。
2011年前後は原油価格の上昇、当時の大統領メドヴェージェフによる経済の多角化の提案などがありましたが、基本的に石油や天然ガスの輸出に依存する構造は変わっていません。かつ、その輸出額も縮小傾向にあります。

「予備基金」ならびに「国民福祉基金」に蓄積された国家準備金を危機対策に用いることでかろうじて破綻せずにいられるのが現状です。

なお、現在、ロシアの成長分野は、軍需産業とIT産業となっています。
とくにIT産業はニッチ産業関連が中心です。

その影響により、財政難のロシアが、ブロックチェーンのコストパフォーマンスの良さと改ざん性の低さ、システムの強さに目をつけ、活用に着手したとしても何ら不思議はありません。

なお、ビットコインに対する姿勢ですが、一時強硬姿勢を取ったものの、その後軟化傾向にあります↓↓

今年8月、ロシアにて仮想通貨取引所が開設

ロシア当局がビットコインの使用に罰則を与える案を撤回した数日後、同国の首都モスクワではじめて仮想通貨取引所が開設されることが明らかになった。
今年の初めCCNは、ロシアが仮想通貨の禁止令を提案し、同国財務副大臣がビットコインに罰則を課す草稿をロシア国家院において通過させようとしていると報道していた。
しかし7月には、ロシアの仮想通貨に対する強硬姿勢は緩和され、同国においてビットコインの購入を許可するという修正が加えられた。

「仮想通貨NO!」と叫んでいたのは、仮想通貨が国家主義的・全体主義的なロシアの経済や財政に自由の風を吹き込まれ、政治のコントロールの利かないものになることを怖れてゆえのことかもしれません。

ということは、仮想通貨が政府や行政にとって有用性が認められれば、あっけなく受け入れるということでもあります。

これからロシアが仮想通貨に対し、どのような態度を取っていくかは分かりませんが、ロシア政府の態度も経済収支の推移と同様、変動しやすいもの。
一刻一刻の変化を注視してゆきたいものです。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 8054 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。