ビットコインが実質的な主流通貨となっているイギリス属領のマン島

イギリス領マン島ではビットコインが日常生活に浸透している

イギリス領マン島ではビットコインが日常生活に浸透している

アイルランド、イングランドそしてスコットランドに囲まれた、面積572平方キロメートル、人口8万人の島・マン島では、日常生活においてビットコイン決済はもはや当たり前のものとなっています。
ビットコイン関連のスタートアップ企業はもちろんのこと、ビットコイン決済OKのパブやタクシー会社、そしてビットコイン製造会社が、この小さな島にひしめいているのです。

アイルランド島とグレートブリテン島を隔てているアイリッシュ海に浮かぶ小さな孤島、マン島では、政府が産業促進の一環として、e-gaming(オンライン・ゲーム)やギャンブルの発展に力を注いでおり、「ビットコインを世界の主流通貨に押し上げよう」と島全体が活発化している。
この島に住むニック・ウィリアムソン氏は、マン島に移住した後自身で企業ピシアを立ち上げました。同社は顧客が独自のブロックチェーンを構築、運用するためのソフトウエアを提供しています。

マン島ってどういうところ?

法的には微妙な位置にある自治権をもった地域

法的には微妙な位置にある自治権をもった地域

マン島は、グレートブリテン島とアイルランド島に挟まれたアイリッシュ海の上に浮かぶ島です。この地理から、よく「イギリスの一部」「イギリス連邦の一角」とみなされやすいのですが、実はイギリス連邦の加盟国ではありません。
ただ、シティからもほど近く、イギリス連邦の議会連合などにも参加しているため、実質的にイギリスの一部とみなされることが極めて多いです。

また、イギリスとアイルランドに挟まれているがゆえの複雑な歴史と、どちらにも属さない独自の文化をもっています。

マン島は危険なバイクレース「TTレース」で世界的に有名

マン島は危険なバイクレース「TTレース」で世界的に有名

マン島の公道を舞台に行われる「TTレース」は、世界でもっとも歴史のあるバイクレース、そして「死のレース」としても有名です。
マン島の主要産業はもともと観光と農業しかありませんでした。
どのように産業を振興し、8万人の人口を食べさせていくかというのはマン島にとって重要な命題なのです。

タックスヘイブンとしても有名

タックスヘイブンとしても有名

ロンドンから1時間半のマン島は、世界の中で最も古いオフショアとしての歴史を有しています。世界の金融の中心シティとのかかわりが深く、世界の金融の要を担ってきました。銀行や保険会社など数多くの金融機関がここに所在地を有しています。

金融の中心として名をはせてきたのは、マン島では税金がかからないから。非居住者は所得税、キャピタルゲインに係る税、そして相続税がかかりません。
そのため、世界中の投資家や資産家が、マン島の金融機関に資産を預け、運用しています。いずれの金融機関も、およそ数十兆円規模の資産を保有しています。

シティからもほど近く、そして世界の金融センターとしても名をはせるマン島。
そのマン島は、今、とても仮想通貨技術に注目し、これを島の振興につなげようとしています。

仮想通貨技術をフル活用!マン島政府の試みとは

「孤島のトレンド」から「世界への流通」を目指すマン島の住民は、ビットコインにまつわる様々な問題の解決に積極的な動きを見せている。

ビットコインによるギャンブル振興

英国王室属領国であるマン島の政府は、ビットコインなどの仮想通貨をギャンブルで利用できるようにルールを改定します。
政府におけるギャンブルの監督委員会であるGambling Supervision Commission(GSC)は、今現在現金でのみが対象となっているデポシットをビットコインを含む仮想通貨を対象にすべく、現在検討を行っているとのことです。
GSCの副最高責任者であるMark Rutherfordは、法的な整備を含めて、業界における決済手段においてビットコインやブロックチェーンなどのテクノロジーを活用することの障壁を最小限にできるようにしたいと話しています。

政府自らIoTに向けたブロックチェーンの実証実験を行う

グレートブリテン島とアイルランド島の間に浮かぶ島、マン島がブロックチェーンのIoT(モノをインターネット接続することで利便性を上げること)活用へ向けたプロトタイプをテストすることを8月8日発表した。

このプロジェクトはブロックチェーンのスタートアップCreditsがマン島と提携し、ブロックチェーン技術をIoTデバイスへ利用するテストを行うものだ。
冷蔵庫や車などにインターネットを接続する際に、どの個体とつなげるのかを確認すること、つまり個々の機器のアイデンティティの判別と管理の確実性は非常に重要だ。この確実性をブロックチェーンを利用することで高められないか、というのが実験の趣旨のようだ。
マン島はビットコインやブロックチェーン業界の黎明期といえる頃からこの技術の検討に対して活発に取り組んできた政府のひとつで、2年前にはデジタル通貨にフォーカスしたインキュベーターをローンチし、昨年5月には初の政府主導のブロックチェーン技術の実証実験にCreditsと組んで乗り出すことを明らかにしていた。

また、島の住人とともに、公的データにブロックチェーンを応用するための字っしょ実験をも行っています。ゆくゆくは、登記や登録などといった行政システムにブロックチェーンを導入する意図があるものと思われます。

この島に住むニック・ウィリアムソン氏はピシアのソフトウエアの実効性を証明するために、作成した島内のデジタル通貨企業の登録簿をブロックチェーンで保管する試験プロジェクトを計画しています。
これが実現できれば、マン島政府は公的データへブロックチェーン技術を適用する世界初の政府になります。

安全性を確保すべく、ビットコインの法的規制を強化

マン島政府は仮想通貨に関する明確な規制の設立が、ビットコインを利用した犯罪の防止だけではなく、通貨としての価値の引き上げにも役立つとして、ビットコインのマネー・ローンダリング対策法案を打ち出した。
マン島経済省でe-gaming開発に携わった後、10月にe-gaming会社、Equiom Groupを立ち上げたピーター・グリーンヒルCEOは、「Designated Businesses Bill」と呼ばれる法案を議会に提出。これによって仮想通貨取引が、公的な取引監査制度などで認定されている資産取引と同等と見なされるようになる。

マン島がビットコインやブロックチェーン技術に執着するワケ

世界的に歴史を持つ金融の中心であるマン島。金融や観光産業による収入もあるでしょうし、普通に考えれば、ビットコインにそれほど執着する必要はなさそうに見えます。
なぜ、マン島はこれほど仮想通貨技術の導入にやっきになっているのでしょうか。

それは、自治権をもち、独自の文化や通貨を持っていながらも、結局はイギリスその他の経済大国の目線を無視できないマン島ならではの事情が関係しているからです↓↓

世界の税務当局がタックスヘイブンの取り締まりを強化

ここ数年話題となっている米アップルやスターバックスの租税回避スキームの発覚、そしてパナマ文書問題などに見られるように、今、世界中がタックスヘイブンにシビアな目を向けています。
そのタックスヘイブンの多くは、イギリスやフランス、アメリカなどのかつての植民地や属領です。
「知らぬ存ぜぬ」で済ませ、お茶を濁したかったこれら先進国も、年々強まる租税回避に対する世界的な批判をかわし切ることができなくなり、その属領や加盟国に対し、取り締まりを強化するようになりました。

既に島内総生産の20%以上を電子商取引が占めているマン島がデジタル通貨を積極的に導入している背景として、ジャージー島と同じ運命をたどることは避けたいというマン島政府の考えがあります。
同じ王室保護領であるジャージー島は、イギリスが租税回避戦略の取り締まりを進めているせいで9年までに1億2500万ポンドの予算不足に陥る可能性があります。
マン島もこの理由からイギリスをはじめとする各国から厳しい視線が寄せられており、これまで経済成長を成し遂げた同島は、さらなる経済の活性化を目指しています。

こういった背景から、マン島もこれまでのようにタックスヘイブンスキームによる収益に頼り切れなくなりました。
だからといって、既存産業の農業や観光業だけに依存するのはあまりにも危険です。
だからこそ、自国の強みとしてビットコインやブロックチェーン技術の活用にチカラを入れ、それを軸に外資の誘致を行おうとしているのです。

世界の投資家や資産家にとってもマン島は「ビットコインのハブ」

金融系起業家にとって、この島には大きく3つの魅力、

イギリスとつながる3本の光ファイバーによる極めて強力な回線容量
潤沢な電力供給
法人税、資産益税、配当税は無課税、個人所得税も最高で税率20%(イギリスの最高税率の半分以下)
があるとされています。

ビットコインがタックスヘイブンの手段にも

マン島ではキャピタルゲイン税が無く、ビットコイン関係の企業も歓迎しているようです。マン島は今後ビットコイン取引を中心にしてタックス・ヘイヴンになる可能性が有ります。
イギリスの特別領域ですので、世界的な金融市場を持つイギリスに近い利点が有り、必要な企業や人材も集めやすいでしょう。

マン島などのオフショアが活用されるのには、租税回避以外にもう一つ、理由があります。それは「資産隠し」です。

ヨーロッパでは度重なる戦争や革命などにより、国の興亡が頻発していました。
そして、記憶に新しいのが第二次世界大戦時におけるナチスによる財産没収です。この痛手から、ヨーロッパの富裕層はいまだに立ち直っていません。

「いつ国が倒れるか分からない」
「いつ財産が没収されるか分からない」
「ならば、多少なりとも、財産を隠せる場所や手段を活用して、信用ならない国家政府から資産を守ろう」


そういった心情を背景に、ビットコインをはじめとする仮想通貨が活用される可能性は極めて高いといえます。
なぜなら、銀行などの第三者の目には分かりにくいから。そして、現金化しない限り、現時点では永久に各国政府や税務当局の把握の手から逃れられるからです。

タックスヘイブンとしての機能を持つオフショアが、仮想通貨技術についても強いとなるならば、資産家はこれからも資産をそういった地域に預けようとするでしょう。
世界の金融センターとして、そしてオフショアとしての歴史の長いマン島は、なおさら資産の預け先の有力候補になるに違いありません。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。