IBMの予測に反して実用化が進まないブロックチェーン

「2017年には銀行の15%がブロックチェーンを活用する」としたIBMレポート

「2017年には銀行の15%がブロックチェーンを活用する」としたIBMレポート

2016年くらいまで「今後1~2年でブロックチェーンが一気に広まる」と言われていました。

2016年後半に出されたIBMレポートでも▼

IBMが最近(2016年9月)発表した報告書によると、ブロックチェーン技術は2017年に大銀行の15%が導入する予定です。

IBM’s recently released report suggests the Blockchain technology will be implemented by 15% of big banks by as early as 2017.

「ブロックチェーン技術を早期に採用することには多くの利点があります」とIBM銀行および金融市場のグローバルインダストリーゼネラルマネージャであるLikhit Wagle氏は述べています。

”There are many advantages to being an early adopter of the Blockchain technology,” said Likhit Wagle, Global Industry General Manager, IBM Banking and Financial Markets.

「最初に着手した人が、ビジネススタンダードを設定し、ブロックチェーン技術を将来において採用する者が使用する新しいモデルを作成します。また、これらの早期採用者は、起こりうる混乱に備え、新たな競争相手との競合においてより有利な立場をとることができます。

”To start, first movers are setting business standards and creating new models that will be used by future adopters of Blockchain technology. We also discover that these early adopters are better at anticipation of disruption, fighting off new competitors along the way.”

この他、調査会社のガートナーも2017年はブロックチェーンが爆発的に広がると予測▼

ブロックチェーンの「ハイプサイクル」は2017年に爆発的な勢いで始まる見込みです。
ブロックチェーン技術の研究に多額の投資を行ってきた企業などが、その具体的な実用化と投資に対するリターンを要求すると予想されるから

しかし、2年近くが経とうとしている今、どうでしょうか。

金融業界・非金融業界問わず、実証実験はあちこちでなされるものの、実用化までに至るのはごくわずか。

ブロックチェーンプロジェクトの92%は1年半経ったあと潰れているという報告も出ています。

また、ブロックチェーンでは、実用化よりもどちらかというと「特許戦争」の様相が濃くなっています。

中国が世界一のブロックチェーン特許取得数を誇る他、アメリカなどがこれに追随しています。

同時に、特許ゴロを含めたパテント・トロールが懸念されています。

ブロックチェーンの実用化が進まない”なぜ”

なぜ思ったようにブロックチェーンの実用化が進まないのか。

その背景には、環境・人など、さまざまな要因があるようです。

環境面の問題

まず最初に「ブロックチェーンがなくてもそれほど困っていない」という現状があります。
特に先進国です。

金融というインフラにおいては銀行が中央集権的に役割を果たしています。
不動産登記において、日本ならば、法務局に行けば登記状況がどうなっているかを簡単に調べることができます。
法治国家であるゆえんです。

法務局にいけば誰でも確認できる。現状は問題なく運営されていますよね。そのような環境では、ブロックチェーン技術が急速に普及することは考えにくいです。

そのため、法治国家ではなく人治国家である国___そのほとんどが途上国ではあるのですが____において、コストの少ないブロックチェーンによる金融・不動産といったインフラ整備が期待されています。

まずは不動産の権利やその管理が確立されていない国などでブロックチェーン技術が使われていくはずです。きっと、大いに役に立つでしょう。

定義の問題

ブロックチェーン技術という言葉の定義も決まっていません
今は同じような特徴を持っているけど、それぞれ違う技術がブロックチェーン技術とひとまとめで呼ばれている。
これを世界共通のものに統一していくだけで、5〜6年はかかる

つまり、いくつかあるブロックチェーンの技術のデファクトスタンダード化に5~6年かかるということになります。

法律の問題

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。