
日本のSBIがスイスのスマート紙幣「Tangem」に出資|「リアル紙幣の感覚でビットコインを扱える」物理的仮想通貨に将来性あり
日本でも仮想通貨事業を積極的に行うSBIグループ。同社はスイスでスマート紙幣「Tangem」を展開するスマートキャッシュ社に、1500万ドル(約16.4億円)を出資しました。「物理的な仮想通貨」「紙幣のように仮想通貨を扱えるコールドウォレット」として昨年から注目を集めるスマートキャッシュ社の事業は今後さらに拡大しそうです。
昨年5月にお伝えした「紙幣のような仮想通貨ウォレット」Tangem▼
出典:シンガポールTangem,”紙幣の”仮想通貨を発行へ|”キャッシュレス”の流れに逆行する試み、狙いは「手軽さ」「安全性」 | 仮想通貨まとめ
このTangemを開発したスマートキャッシュ社に日本のSBIグループが100%子会社の「SBIクリプトインベストメント」を通じて出資をしました。
出資金額は1500万ドル(約16.4億円)。
同社は今回の出資につき、次のように説明しています。
安価であることにより、仮想通貨を含むデジタルアセットの物理的な保管等の用途で使用が想定
こうしたウォレットの特徴が、SBIグループが推進するデジタルアセットの実需創出に向けた取り組みを加速しうる
非常に安価かつ手ごろな価格であるタンゲムのハードウェアウォレットは、デジタル資産とブロックチェーンの大量採用を促進するための重要なツール
ハードウェアウォレットTangemとは
昨年5月に開発されたTangemは「物理的な媒体を使って仮想通貨を手軽にかつ安全に使える」というコンセプトのもと開発されたコールドウォレットです。
Tangem Notesは、物理的に存在するハードウェアストレージ、「スマート紙幣(smart banknote)」のチップ内に、仮想通貨ビットコインでその価値を持っており、
0.01 BTC(約4,000円)および0.05 BTC(約2,000円)の額面で利用可能だ。
イメージとしては「Webmoney」「Amazonギフトカード」の仮想通貨版、といったところでしょうか。
いくら「スマホがウォレットになる」「ハードウェアウォレットにはLedger Nano SやTrezorがある」と言われても、扱い方にハードルを感じては仮想通貨そのものが普及しません。
しかし、2000~4000円レベル、つまり失ってもいい金額程度しか入らないウォレットだったらどうでしょう?
しかも、既存の電子決済と同じように使える。
「ちょっと仮想通貨に興味がある」だから「使ってみようかな」になるかもしれません。
カードを手渡すだけで、手数料なし、即時検証、デジタルトレースなしで、ブロックチェーン外の物理取引を実現したのが最大の特長
共同創設者Andrew Pantyukhinによれば、
内蔵されているのは、韓国最大手企業サムスンの「S3D350Aチップ」
NFC対応スマートフォンでスマート紙幣の情報を読み込むことで利用できる
SBIのデジタルアセットへの注力の理由は「マネロン防止」
これ以外にも、SBIはデジタルアセット部門、特にハードウェアウォレット事業に注力しています。
2018年8月には、台湾の仮想通貨ハードウェアウォレット企業「Coolbitx」の株を40%を取得
2018年12月21日には、運営する取引所SBIVCの利用者向けに「出金用ハードウォレット」を配布し、出金先をハードウォレットに限定する方針を発表
この背景には次の狙いがあります。
、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止」
仮想通貨業界の透明性の向上や安全性の確保に、今、アメリカの仮想通貨業界(特にGeminiなど)が血道をあげています。
その重要性が問われるのは日本も同じこと。
ハッキングリスクやマネーロンダリングが懸念されれば、いつまでも仮想通貨は普及しません。
SBIホールディングスの北尾社長はそこに目をつけたのかもしれません。
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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 7090 view

税理士・ライター。
2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。
しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。
そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。
何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。
こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。
Twitter: mayu_suzu8
この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。
2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。