ハイパーインフレのベネズエラ、仮想通貨や外貨の取引に「課税」へ

米国の経済制裁により、ハイパーインフレに苦しむベネズエラ。
「2018年末には100万パーセントのインフレ率に」とIMF(国際通貨基金)から指摘されましたが、すでにその割合を超えたインフレ率となっています。
同国大統領のマドゥロ氏は、この状況を改善すべく、法定通貨と連動する独自仮想通貨ペトロの普及を促していますが、一向に成功する気配が見えません。

その一方、”民間”仮想通貨は市民権を得つつあります。
小売店や飲食店では決済手段として受け入れるところも増加。

特に、仮想通貨ダッシュ(DASH)は決済スピードの速さから、決済手段として人気を得ています。

その結果といっていいでしょうか。

ベネズエラ政府は、7日付の官報で仮想通貨と外貨の取引に対して課税する新たな法令を発表しました。

官報第6420号に掲載された新たな法令第3719号には、仮想通貨を含む新たな課税ルールの枠組みが説明されている。
仮想通貨で取引を行った場合には、仮想通貨によって納税するよう義務付け

ただ、不思議なことですが、仮想通貨取引や外貨取引に関する申告後の納税については、同国法定通貨のボリバル・ソベラノではなく、

取引で使用した通貨で所得を申告し、税金を納めることが義務付けられる

また、税率を含めたこれらの納税に関する詳細なルールについては、いまだ不透明です。

しかし、

発表された法令には、ベネズエラの税務管理を行う国家税関徴税統合庁(SENIAT)が近日中に、仮想通貨税・外貨税の申告方法と支払方法を説明したガイドラインを提供する旨が記されている
地方銀行部門の監督を行う金融機関監督庁(SUDEBAN)が、同国の銀行およびその他金融機関が新たな法令を遵守できるよう規制の枠組みを作成する予定

つまり、

規制の枠組みはまだ完全に規定されていないにも関わらず、官報で掲載された法令は既に発効しており、同法令に違反した場合の罰則も発表

コインテレグラフの記事だけを読むと

「税率すら曖昧な規制をとりあえず公布して申告納税を義務付けるけど、わからないからと言って申告納税しなかったらペナルティ(=空気読め)」

みたいな状態かと思われます
(というか、同国の「公布日」「施行日」の法令上の扱いがどうなっているかわからないので、そうとも言い切れませんが、、、単に交付しただけであって、施行日はまだずっと後かもしれませんし)

もしこれが事実であれば、法治国家でも何でもありませんし、法律は独裁の道具にしかなっていないことになります。

ベネズエラインフレ率は169万%に…米圧力の中、大統領は二期目に突入

そんなベネズエラはさらに苦境に追い込まれています。

南米ベネズエラの議会は9日、2018年12月の物価上昇率が年率169万8488%だったと発表
依然として物資や外貨不足により、物価上昇が止まらない

そして、この状況はよりひどくなる、とIMFは予測▼

国際通貨基金(IMF)は19年中にインフレ率が年率1000万%に達すると予測している。

そして8日、アメリカ政府は、ベネズエラ政府の元高官らが違法な為替取引で裏金を捻出していたとして、これらのスキームを封じる追加経済制裁を発動しました。

しかし10日、マドゥロ大統領は二期目に突入。2025年までが任期となっています。

これに対し、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、米国が正当性を認めず、政権へ最大限に圧力をかけていくと述べました。

米国はベネズエラの独裁者、ニコラス・マドゥロの権力への違法な主張を認めない。
2018年5月の彼の『選挙』は世界的に自由ではなく、公正でも信頼のおけるものでもない

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鈴木まゆ子 / 721 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。