「金融庁、仮想通貨による出資も金商法の対象に」産経新聞が報道

金融庁は、金融商品を手掛ける事業者が、現金ではなく仮想通貨で出資を募った場合も、金融商品取引法(金商法)の規制対象とする方針を固めた
体的には金商法を改正することや、関連法令を見直すことなどを検討

仮想通貨という存在が登場し、普及して以来、新たな資金調達方法がこの世に誕生しました。

ICO(イニシャル・コイン・オファリング)、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)等々…。

仮想通貨は”通貨”という名称を持っているものの、法定通貨ではないため、規制の対象から外れていました(※)

※厳密には、「小切手」「受取手形」「有価証券」による出資も集団投資スキームとして規制対象に該当します。この限定列挙の中に「仮想通貨」はなかったのです。

この仮想通貨による資金調達方法について、平成29年10月の時点で金融庁は次のような見解を発表していました。

仮想通貨で出資を募った場合でも「金商法の規制対象となると考えられる」

しかし、その「見解」に拘束力はありません。
法治主義の日本では、規制等は原則として法律に基づいて行われるからです(行政官の”過度な”裁量権の濫用の問題は事実ありますが、ここでは省略)

法的な裏付けがないままでは刑事裁判での公判維持が難しくなる

そのため、法改正に一歩踏み出した形になりました。

なお、金融庁での研究会では「ICOの全面禁止は見送り」という方向で流れています。

”金銭ではない”仮想通貨による出資は詐欺の温床でもあった

規制対象ではないため「法律の細かい要件を気にしなくていい」「時間を短縮できる」「調達資金に上限なし」などさまざまなメリットがありました。

その結果、ICOがブームに。

ただその一方、「ICOは詐欺が9割」と言われる事態が発生したのも事実です。

そして、昨年発生したSENER(セナ―)詐欺。
本案件は、集団投資スキームに該当し、金融商品取引法違反の疑いで逮捕になりました。しかし、立件できるのは「現金による出資」1割程度のみ。
残りは仮想通貨による出資であったため、立件は困難です。

今回の改正により、SENERのような詐欺も含め、これまで問題視されていたICO詐欺なども激減するかもしれません。

懸念は「ICO」不況

ただ、その一方で懸念もあります。それは「ICO不況」。

法律の縛りを気にせず、新たなプロダクトやサービスのための資金を調達できる手段として、若いプロモーターから好まれていました。

しかし、今後金商法の対象となれば、法務コストなどもかかることになるため、プロダクト開発へのハードルがぐっと高くなります。

そして、イーサリアム(ETH)やTelegramのTON、EOSなどをはじめ、世に名の知れているトークンやプラットフォームはICOがあったからこそ生まれたものでもあります。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 14783 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。