仮想通貨「非中央集権」時代は終わったのか

「仮想通貨」そしてその基盤技術である「ブロックチェーン」のそもそもの概念は「非中央主権」でした。

中央集権的な既存の国家や企業といったシステムに金融が依存することへのリスク懸念が背景にあったものとみられます。

誰もが同時に監視を行い、インセンティブをあえて入れ込むことで悪意ある改ざんを許さない___これにより、非中央集権的な金融システムが成り立つと考えたのです。

しかし、仮想通貨の世界もユーザーがこの10年で急増。
仮想通貨の概念もごく一部の人だけのものではなく、地球全体で共有するほどの大きなものとなりました。

もう「非中央集権的」な時代は終わったのかもしれません。

Binance、昨年11月に利用規約改定

世界最大手の仮想通貨取引所バイナンス(Binance)は米国の経済制裁を考慮し、利用規約を改定。
その結果、米国の経済制裁の対象となる国の居住民は同取引所のサービスを受けられなくなっています。

最新のBinance利用規約の一部には次のように書かれています。

「Binanceとそのサービスのいずれかにアクセスして使用することは、、あなたの居住国あるいは地域が国連安全保障理事会やOFACなどの貿易制裁または経済制裁のリストに含まれていないことを認め、宣言することになります。」

The latest Binance terms of use read, in part, “By accessing and using Binance and any of its services, you acknowledge and declare that you are not on any trade or economic sanctions lists, such as the UN Security Council Sanctions list or OFAC.”

これらの制裁の対象になるのであれば、基本的に、経済制裁等の対象国の資産を凍結し、個人または州への資金移転を削減し、同様に禁輸リストに載っている人々へのサービスを停止します。

These sanctions typically freeze assets of targeted countries, curtail financial transfers to individuals or states as well as suspend services to those on the embargo list.

ジンバブエ居住民、バイナンスの口座凍結

ジンバブエの居住民はバイナンスのサービスを使えなくなっています。

仮想通貨売買をBinanceに依存していた多くのジンバブエ人は現在困窮しています。制裁措置のため、ジンバブエ人からの新しい口座登録を受け付ける世界的な取引所はごくわずかしかないからです。

Many Zimbabweans who relied on Binance to buy and sell cryptocurrency are now in the lurch as only a handful of other global exchanges accept new account reg
istrations from Zimbabweans due to sanctions

今年1月4日、 William Chuiというジンバブエ人のブローカーは次のように嘆いていました。

「私は今夜(Binanceで)取引を行おうとしたときに恐ろしいメッセージを受けました」

“I just got the dreaded message when I tried to do a trade [on Binance] this evening,”

彼が保有していたのはバイナンスの独自トークンであるバイナンスコインBNBとカルダノ(ADA)。

私が保有していた仮想通貨のほとんどが精算されていたんです。でもこういったトークンを私はどこで保管したらいいんでしょう?

“Liquidated most of what I had and was keeping elsewhere. But where do I store these tokens?”

コールドウォレットで補完できるのはBTCやETHなどごく一部の仮想通貨に限られます。

この他、ジンバブエの一都市であるハラレに住む36歳の女性は、リップルとステラで少額投資を行っていたのですが、禁止措置にすら気づかなかったといいます。

「私は自分のアカウントではもう何もできず、撤退すらできないことに気付いた」

“I have just realized that I cannot do anything on my account anymore, not even a withdrawal,”

なお、以前は地元にも仮想通貨取引所がありましたが昨年5月の仮想通貨禁止令で運営ができなくなりました。

そして、ジンバブエユーザーを締め出しているのはBinanceだけでなく、他の取引所も同様の様子。

そのため、ジンバブエの仮想通貨ユーザーはアンダーグラウンドなものとなっています。
Whatsappのようなソーシャルメディアプラットフォームや新たなピアツーピア取引で維持されているとのこと。

バイナンスは「米国」の顔色を伺ったか

ただ、このような扱いを受けているのはジンバブエ国民だけではありません。

昨年11月の改定時、利用制限された国はほかにもありました。

イラン、ベラルーシ、セルビア、ボスニア、ミャンマーおよびその他の制限された管轄区域のBinanceユーザーは、世界的な取引所が解約の通知を送った後、1ヶ月間遮断されたと伝えられています

Binance users in Iran, Belarus, Serbia, Bosnia, Myanmar and other restricted jurisdictions have reportedly been cut off for a month now after the global exchange sent a notice of termination.

特に影響を受けたのはイラン国民▼

KYCプロセスでイランパスポートを提供した人々のアカウントを凍結した

この背景には、同取引所ユーザーに占めるアメリカ国民の割合への配慮があるものとみられます。

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鈴木まゆ子 / 1793 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。