イランの独自仮想通貨開発に米国「制裁法案」提出

米国からの経済制裁に苦しむイラン。
他国と同じく、米国の影響を受けないための経済圏を確立するため、独自仮想通貨の開発に着手しています。

このイランの様子に戦々恐々としているのが米国。

アメリカの共和党議員であるマイク・ギャラガー氏は昨年12月17日、イランの金融機関とイランが国家として発行する独自の仮想通貨に対して新たな経済制裁をかける法案を提出しました。

マネーロンダリングとテロ資金供与対策として出された法案「HR 7321」は、別名「違法なイラン金融のシステムを止めよう法案」
とりわけイランのデジタル通貨を使った取引やディール、資金調達を禁じ、
イランのデジタル通貨を販売、供給、保持、送金をした外国人に対して制裁を加える狙い
制裁内容は口座凍結、ビザ発行禁止等が想定されている。

かなり手厳しい内容となっていますが、なぜここまでして米国はイランの独自仮想通貨に警戒心を強めているのでしょうか?

実はイランの脅威は今に始まったことではないのです。

最大の脅威は「イランによるサイバー攻撃」

大手米メディアのウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8月、次のように報じました。

サイバーセキュリティー専門家の話として、イランで開発されたとみられる身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)=末尾に用語解説=が過去2年間で少なくとも新たに5種類、発見されている
その中には、イラン政府の支援を受けたハッカーによって作られたと疑われるものも含まれる

さらに、昨年11月末、米国の検察当局は、次のイラン人たちを起訴▼

米国内の病院や公共機関など200カ所以上のコンピューターに侵入してランサムウェアを埋め込み、ビットコインでの支払いを要求したなどとして、イラン在住とみられるイラン人の男2人

こういったイランによるサイバー犯罪は、2010年、米国とイスラエルが共同で同国のウラン濃縮施設をサイバー攻撃で破壊した事件をきっかけに急増しました。

米国の軍事施設や航空業界へのサイバー攻撃が増えている他、SNSによる偽情報拡散などのスキルも向上しているとのこと。

なお、こういったサイバー攻撃により2015年以降、アメリカが受けた被害総額は、

計600万ドル(約6億7000万円)に上り、全体の経済損失は3000万ドルに達した

マイニングと仮想通貨窃取で「イランが経済力をつける恐れ」

また、WSJ記事内で、専門家は次のように語っています。

「マイニングと仮想通貨の窃取は、金欠国家にとって金を得る(うってつけの)手段だ」

”仮想通貨”でイランが経済力をつけては、これまでの米国の経済制裁は意味をなさなくなります。
もしかしたら軍事的な脅威もさらに広がるかもしれません。

だからこそ、米国は警戒心を強めているのです。

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鈴木まゆ子 / 2648 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。