現金決済率が高い日本…キャッシュレス化は難しい?

「現金大好き」国民として知られる日本人。
偽札率の低さ(というより日本の紙幣の偽造防止技術がやたらと高い)のもあり、日本人の現金信仰率は非常に高いことで知られています。

日本の個人消費における決済手段の割合の推移

日本の個人消費における決済手段の割合の推移

青いグラフは2011年、赤いグラフは2015年のもの。
4年で少しは現金決済率が減ったものの、依然として現金志向であることがわかります。

しかしその一方、SuicaやLINEペイや楽天ペイなどといったキャッシュレスの決済手段も広がってきています。
Suicaは10年以上も前に導入された電子決済。

なのになぜ、こんなにも使用率が低いのでしょうか。

キャッシュレスが進まない最大の理由は「恐怖心」

経産省の報告書には、キャッシュレス社会への賛否の理由を聞いた博報堂生活総合研究所の意識調査の結果が記載されています。これによれば、

キャッシュレスに反対する理由のトップは「浪費しそうだから」、次いで「お金の感覚が麻痺しそうだから」という答えが続いた

しかし、そうは言いながらも、ソフトバンクとYahooが出資した合弁会社のスマホ決済アプリPayPayはわずか10日間で100万人ユーザーを集め、500億円の決済額を記録しました。▼

こういった現象を見ると、「浪費しそう」「お金の感覚がマヒしそう」というストッパーは戦略次第で案外カンタンに外れるのではないか、と感じます。

キャッシュレス化を進めるなら「感覚」に訴えよ

「浪費しそう」「感覚が麻痺しそう」だから「現金で」というスタンスは、オトナになった人間が「理性」で無理やりコントロールしているにすぎません。
つまり「自然」ではないわけです。

そして理性は大脳新皮質がつかさどります。
大脳新皮質はいわば「新しい脳」。
合理的で分析的な思考や、言語機能を担います。
いわゆる下等生物では小さく、高等生物は大きい傾向があります。

「浪費をしてはいけない」といったストップはここでかけているわけです。

しかし、人間の行動のほとんどをつかさどるのは「脳幹」「大脳辺縁系」です。
瞬きする、呼吸する、そしてある現象に自動的に反応する、喜怒哀楽を行う…という行為は理性でなかなか食い止められるものではありません。

そして、人間を含めた動物の行動のほとんどは「快」「不快」で選択されます。

こういった「感覚」「感情」に訴えるところに直接アクセスし、「キャッシュレス=快」という感覚が得られれば、人間の消費や決済に関する行動は変わっていく可能性が大いにあるのです。

対策①オトク感を一気に植え付ける

ペイペイでは、LINEの10倍のオトク感がありました。
同じ20%ボーナスバックキャンペーンであっても、LINEでは25000円までの決済額だったのに対し、ペイペイは10倍の25万円まででした。
絶対額にすれば5千円が5万円になったわけです。

5万円となるとちょっとしたPCなどデバイスが買えます。
絶対値に換算し、「これでどれくらい得するか」を人間は皮膚感覚で検討するわけです。

こういった「圧倒的なオトク感」があると、人は「そんなに得するならやってみようかな(いやならやめればいいし)」と考えます。

対策②繰り返す

ただ、①の対策も「1回限り」では意味がありません。
キャッシュレスをなぜするかといえば、企業側の都合でいうと「顧客それぞれの消費行動を知りたい」わけです。

となると、1回限りでキャッシュレスを終わらせてほしいのではなく、繰り返し使ってもらわないとデータが取れません。

期間を置いて繰り返し「お得キャンペーン」を行うと「ここではしょっちゅうセールやポイントバックを行うし、持っておいた方が得」と感じるようになります。

対策③恐怖感を薄くする

最後の砦が「恐怖感」です。

もともと生真面目で借金率が低い日本人。
浪費をしないで済むのは「現金」を通じて体感覚でいくら使ったかがすぐその場でわかるからです。

ちなみに、かの田中角栄も、部下など身近な人にお金を渡すときは送金ではなく現金を選んでいたとのこと。

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すずきまゆこ

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。