現金主義大国の日本で「キャッシュレス化促進」のなぜ

みずほフィナンシャルグループのデジタル通貨やファミペイの来年ローンチ、そしてソフトバンク×Yahoo!バックアップのペイペイがわずか10日間で100万人のユーザーを獲得し、500億円の決済額を記録したことなどが昨今、世間の関心の的となっています。

また、すでに行われたインフラ投資も功を奏し、国民の決済行動が徐々にキャッシュレスの方向に流れつつあります。

キャッシュレス決済の比率は10年前の2008年には11.9%だったものが2015年には18.4%となり、2016年は20%を超えた。
その後もQRコードを使ったスマホ決済などが急速に広がっており、キャッシュレス決済比率は着実に上昇している。

そして、気になるのが「なぜ今になって日本ははここまでして先行投資をするのか」ということです。

日本は世界に冠たる現金主義の国。
紙幣の偽造防止技術が世界トップランクにあることから、偽札トラブルに巻き込まれることなく、国民は安心して現金で決済することができています。

お隣の中国では、「偽札あって当たり前」、学校の集金ですら偽札チェッカーにかけないと安心できない状態になっています。
なおかつ、駅の券売機など現金決済のインフラが日本のそれに比べて非常に対応力が低いという側面があります。

こういった「現金への不安」が「スマホ決済」の後押しとなったわけです。

現金決済前提でシステム作りを行ってきた日本ですが、「キャッシュレス化」を”あえて今から”進めていかないと、今後行政や経済が進まなくなっていく恐れがあるのです。

企業のホンネ「コストダウン」「集客UP」そして「効率的なマーケティング」

各社が決済手段を広げる狙いは、支払いの利便性を高めて店舗の集客力を上げることにある

さきほどお伝えしたように、電子決済を選択する人は増えています。
ただ、もともと現金信仰を好む日本人。キャッシュレスを依然として好まない人も少なくありません。


事実、▼

日本経済新聞社が実施した「第7回ネットライフ1万人調査」によると、スマホ決済の利用経験がある人は15.4%

しかし、これまでのインバウンド消費の増加、そして、2020年の東京オリンピック開催、さらには入管法の改正により外国人労働者が大量にやってくる今後を考えると、彼らになじみのあるスマホ決済を導入しなければ集客が落ちるのは目に見えています。

この他、少子高齢化による「人手不足」が影響しています。

レジでお金を数えたり、おつりをやりとりしたりする時間をなくせる。

そして、各社がキャッシュレスを進めたい本当の狙いはコレ▼

独自のスマホ決済を通じて消費者一人ひとりの嗜好を分析
個人情報を登録するスマホ決済の普及でこれに「誰が」が加わり、より精緻な顧客分析ができるようになる。

流通・小売業界ではこれまでPOS(販売時点情報管理)データを使い、「いつ」「どこで」「何が」「どれだけ」売れたかを把握してきました。

ただ、これだけの情報で次の販売戦略を練ることができたのはバブルがはじけるまでのこと。

モノやサービスがあふれ、個人一人一人の嗜好が異なるようになった現在では、マクロ視点だけで効果的なマーケティングを行うことはできません。

「誰が」というミクロ視点が必要であり、それを実現するのが「キャッシュレスによって集めた個人情報」なのです。

政府・行政のホンネ「国民の情報を集めて課税の効率化を図りたい」

また、政府や中央官庁もキャッシュレス化を促進する姿勢を見せています。

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鈴木まゆ子 / 2175 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。