スイス、官民をあげて「世界のクリプトバレー」を目指す現状

「世界のクリプトバレーを目指す」としたスイス。
同国は金融の先進国として知られています。

ブロックチェーン、そして仮想通貨の有用性に目をつけ、これを同国の産業と位置づけたスイス当局。
今、スイスは「世界のフィンテック・ブロックチェーンの集積地」となりつつあります。

グローバル展開する欧州のフィンテック企業の推定10%がチューリッヒを中心としたスイスに拠点を置き、ツークのような小さな街までもが「クリプトバレー」と呼ばれる仮想通貨やブロックチェーン系スタートアップの集積地になっている。

今年10月、CVベンチャーキャピタルが調査を行ったところ、次のような結果に▼

スイスの仮想通貨版シリコンバレーと称される「クリプトバレー」の企業数が過去1年でおよそ2倍の約600社に増加し、企業の評価額が440億ドル(約4.9兆円)に達している
CVに掲載された上位50社のうち5社は、スイス・ツーク市に位置するクリプトバレーに拠点があるか、クリプトバレー発祥の企業
上位50社にはマイニング大手のビットメインやカルダノ、Dfinity、イーサリアム、ザポ(Xapo)が入っている。

民間企業の集積だけがクリプトバレーとしての証左ではありません。
ツーク州ではブロックチェーンを選挙システムに活用▼

背景には官民あげてのクリプトバレー育成作戦

なぜこのように小さな国であるスイスがクリプトバレーとしての地位を築いたのか。

その背景には、いくつかの要素があります。

クリプトバレーの要素①ICOガイドラインの制定

カナダやスイスは、暗号通貨を用いた事業の資金調達を早くから認めている。
スイス金融市場監督庁(FINMA)は18年2月、ICOのガイドラインを国際的にも極めて早いタイミングで制定した。

クリプトバレーの要素②若い人材が豊富

平均年収と生活水準が高く、税率や失業率の低いスイスでは、大学を卒業した後に国内に留まる若者が多い。
スイスのフィンテックのスタートアップ各社は、高い報酬を出して優秀な人材を獲得しようとしている。

平均年収、生活水準、税率や失業率…

これらの要素を見ると「日本には無理」と言いたくなります。
いずれの要素もスイスには劣るからです。
今後、海外からの安い労働力の大量流入や増税、少子高齢化や経済格差を考えるとむしろ優秀なエンジニアが海外に流出していくことが予想されます(英語ができる人材ならなおさらです)。

クリプトバレーの要素③資金調達の規制が緩い

スイスの資金調達に関する法規制がヨーロッパの他国と比べて緩いことも、スタートアップにとって有利だ。
エンジェル投資家やVCのネットワークが拡大するにつれて、初期段階のスタートアップに対する投資は増えている。
Startupticker.chとSwiss Private Equity & Corporate Finance Association (SECA)の調査によると、2017年は総額9億3800万スイスフラン(約1058億円)がスイスのスタートアップ175社に投資された。

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鈴木まゆ子 / 1208 view

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。