ブロックチェーンの”特許”戦争、激化|首位の中国を他企業が追いかける現状…「特許ゴロ」激増への懸念も | 仮想通貨まとめ

2012年以降激化する「ブロックチェーンの特許戦争」

ブロックチェーンの話題で必ず出てくるキーワードが「特許」。

ブロックチェーンの活用の際、多くの企業は活用だけでなく特許の取得も検討します。

これまでも、世界的な小売業や金融業、IT企業がブロックチェーン関連の特許の申請や取得を行ってきました。

特許の取得で最多となっているのが中国。
2017年、特許取得の数で首位を占めたのがアリババと中国人民銀行でした。

中国イーコマース大手のアリババが昨年、世界のブロックチェーン関連の特許出願・取得ランキングで世界一だった
世界で一番多くのブロックチェーン関連特許を有するのは中国人民銀行

ちなみに、bitcoinpatentreport.comによるデータによれば、国際的な企業別のブロックチェーン特許申請の大部分は、EITC(nChainに改名予定)、バンクオブアメリカ、アリババ、コインプラグ及びIBMにより行われているとのこと。

EITCは、ビットコインの発明者であるサトシナカモト氏を名乗る偽物で、業界で物議を醸している人物である、グレイブ・ライト氏の関連会社です。

しかし、その状況で他企業も黙ってはいないようです。先月末の時点では、バンク・オブ・アメリカと英バークレイズ、そしてマスターカードの大手企業の3社がブロックチェーン関連特許の取得を申請しているということが明らかになりました。

2012年から始まった「ブロックチェーン特許戦争」。
状況は年々激化しています。

2017年は仮想通貨ブームに乗じてさらにブロックチェーンがホットスポットと化しました。
2018年はこれまで以上に特許戦争が激化するのではないか、と言われています。

ブロックチェーンが現在最も話題の技術として、幅広く認知されるようになった
事実、フォーチュン誌の情報源によれば、来年のブロックチェーン関連特許及び申請数は、全体で「約1245件と予測されている」。

特許申請する割には1年後生存率が8%しかないブロックチェーン

しかし、激化するのは特許申請だけで、ブロックチェーン産業そのものが交流しているとはいいがたいようです。

16年に2万6000件以上のオープンソース ブロックチェーン プロジェクトが開始されたものの、17年にもまだ活動しているプロジェクトは、その内のたった8%だった

また、申請したけれども実際に取得したかどうかという結果についても不明瞭なようで、▼

14年に米最高裁判所が、抽象的で新規性のないアイデアを扱うソフトウェアアプリは、既存の法律に基づき特許を受けることはできないとの判決を下した。

これは、後述する「特許ゴロ」の失敗によるものです。

しかし、それにもかかわらず、ブロックチェーン関連の特許申請は今後も増えることが予想されます。

ブロックチェーン関連特許は「とりあえず申請することが大事」

なぜここまでブロックチェーン分野での特許申請が激化するのか?

そもそも、ブロックチェーンの哲学それ自体がオープンソースであったはずです。しかしながら、現在は▼

潜在的な特許戦争を防ぐことのできたオープンソースモデルは、業界内であまり目立たなくなっている

そして、「ひとまず特許を申請しておくことが大事だ」と考える企業が増加している模様です。

バンク・オブ・アメリカのキャサリン・ベサント最高執行兼技術責任者はブロックチェーン関連特許の取得に関して、次のように表現しています▼

ブロックチェーン関連特許を持つことは、「どのように商業利用できるのかまだ分からない段階でも、自らの場所を確保しておくために非常に重要」

これは、マジメに今後の商業ベースでの実用化を検討している企業によるコメントです。

しかし中には、「とりあえず特許を取得して、それをネタに不正利用した企業に対して金をゆすり取ろう」という悪質なケースも目立ちます。

懸念される「特許ゴロ」の増加

たとえば、前述の自称「サトシ・ナカモト」氏の関連会社EITC。

同社では、実際に使用する意図を持たずに特許を掻き集め、代わりに、事業で類似の技術が必要となるかもしれない企業に対し、巨額の特許料を要求しようとしていると言われています。

米デジタルコマース協議会でブロックチェーン知的所有権評議会共同議長を務めるマーク・カウフマン氏は、この自称「サトシ・ナカモト」氏を次のように評しています。

「彼の戦術と活動は全て、特許主張団体、又は軽蔑を込めて特許ゴロと呼ばれる者の証である。彼の会社が持っている製品を、私は1つも知らない」

特許ゴロと化しているのはEITCだけではありません。

起業家のエリック・スパンゲンベルグ氏は、90年代に技術特許に意義を申し立て、90年代に100万ドル(約1億1100万円)で購入した技術特許を1億5000万ドルに変えました。

それによりシリコンバレーでは彼は軽蔑されているのですが、2017年、「ブロックチェーン、人工知能、及び予測分析を適用して特許を改善」するためとして、IPweという会社を設立。ブロックチェーン分野の特許ビジネスへの関与を始めました。

「はみ出し者のゴロ、マニア、おたくの集団がどのようにしてここに来たかは興味深いことだが、我々はそのような者たちに打ち勝ち、利益を上げようとしている」

このスパンゲンベルグ氏を「うまいことやってきた」とするボストン大学法学校技術政策調査イニシアチブのエコノミスト兼事務局長であるジェームス・ベッセン氏は、ブロックチェーン分野の特許戦争の現状と特許ゴロが横行する背景について、次のように語っています。

 「ブロックチェーンのような新しい分野には、誰もが参入したがる。特許があまり存在しないからだ。また、元となるものもオープンソースだった」

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鈴木まゆ子 / 2899 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。