仮想通貨ETFをめぐって、「市場は楽観論」「金融の専門家は悲観論」というように意見が2つに分かれているかのように感じます。
(もっとも、もし認可が下りた場合の効果については両者は見解が一致していますが)。

しかし、これまで仮想通貨ETFはGeminiなどが申請を行ってきましたが、いずれも却下されてきました。

なぜ却下されたか?

もちろん「投資家保護」のためなのですが、”なんとなく”それだけを意識しているわけではありません。

SECは4つの要素にわけてチェックしている模様です。

SECの仮想通貨ETFに関する判断基準

レターを書いたのは米国証券取引委員会(SEC)で運用会社の監督をしているダリア・ブラス氏。
全米投資会社協会(ICI)と全米資産運用協会(Asset Management Group)の二つの業界団体に対し「ファンドのイノベーションと仮想通貨関連商品」という題で送りました。
ここに、米SECのETFに対する見解が書かれています。

ETFの判断要素の4つのベースを1940年投資会社法に置きつつも、同レターでは「米SECも1940年法もイノベーションは大歓迎」としています。

ETFの基準①:値洗い(Valuation)

投信およびETFは、純資産(NAV)を計算するため、毎日、それが保有する銘柄の価格を確かめないといけない。
それが確定できないと、投信の場合、デイリーのパフォーマンスの計算が不正確になるし、ETFの場合、APと呼ばれる業者が、現物とETFとの間の乖離を鞘取りすることができなくなる。
しかし仮想通貨の取引はフラグメント化されており、どの値段を使うべきか?が確定しにくい。

フラグメントとは「分断」の意味。つまり、仮想通貨といっても一概に価格基準が一つではありません。種類ごとに異なりますし、またビットコイン一つとっても取引所ごとに価格が異なったりもします。

そういう状況だと、次のような不都合が生じます▼

フラグメント化した仮想通貨では、


・どの値段を使うべきかという指標の選定が難しい
・フォークが起きた時、それを投資信託やETFの評価額にどう反映すべきかが不明
・エアドロップ(トークンの無償配布)というイベントが起きた時、投資信託やETFの受益者がどれだけ受け取れるかが不透明
・ビットコイン先物の清算価格決定の際、現物市場の故意の操作をどう防ぐかが不明

このあたりがクリアにならないとETF化は難しい模様です。

ETFの基準②:流動性(Liquidity)

流動性に関する新ルール(rule 22e-4)では、ファンドが流動性確保のためリスク管理プログラムを実施することが義務付けられている。
そこではファンドが組み込む投資対象のうち流動性に欠けるものは15%以上組み込んではいけないことが規定されている。

仮想通貨の市場規模は他の金融商品に比べて非常に小さく、▼

結果、流動性が高く価格変動の激しい市場となっています(ここ最近のBTCの価格変動を見るだけでもわかりますが)

こういったことから、「そもそも流動性の低いビットコインをETF化できるのか」という問題があります。

ETFの基準③:カストディー(管理・保管)

1940年投資会社法ではファンドは顧客資産をカストディアンに預けることで護ることが規定されている。
仮想通貨に投資するファンドは、どうやってカストディアンを設定するのか? 

ただ、こちらに関しては、Coinbaseがすでにカストディサービスを開始▼

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鈴木まゆ子 / 1290 view

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。