
ロシア、「既存税制で課税」仮想通貨法案が秋には議会を通過|”ホワイトリスト”を設けて規制を強化
ロシアではこの秋、仮想通貨の規制に関連する法案が議会を通過する見通しであることが明らかになりました。これによれば、仮想通貨課税は、既存の所得税率などが適用されるとのこと。一方、不正や詐欺を防ぐべく、ロシア国内の仮想通貨関連事業については”ホワイトリスト”が設けられました。
ロシア、仮想通貨課税には”既存の税法”を適用
ロシアの仮想通貨保有者とマイナーは、内国歳入法で規制されることになるもようだ。
ロシア下院金融市場委員会のアナトリー・アクサコフ委員長はイズベスチャ紙に対し、議員たちは秋の下院総会中にデジタル金融資産、すなわち仮想通貨に関する法案を通過させようとしていると話した
出典:ロシア、仮想通貨税13%、マイニングは登録制へ|プーチン大統領「7月までに仮想通貨を合法化」 | 仮想通貨まとめ
ただ、課税については、別途仮想通貨向けの税体系は設けられる予定はなく、▼
仮想通貨のマイニングと仮想通貨の流通は、ロシア税法の既存の条項にしたがって規制される
仮想通貨の流通に関与する個人は、個人所得税を支払い、法人は事業の種類に従って税金を支払わなければならなくなる
すべての仮想通貨の投資家や保有者、マイナーはすべての納税者に適用される共通のフレームワークによりロシア歳入庁により規制されることになる
All the cryptocurrency investors, holders and miners will be regulated under the Internal Revenue Code of Russia to have a common framework for all taxpayers.
もちろん、その後、別体系の課税システムが必要になれば、その都度検討すると言っています。が、現時点ではそのような様子はないとのこと。
ロシアの所得税とは
ロシアの所得税ではフラットタックス(均一税率)が適用されています。
一見「いいね!(・∀・)」と思うところですが、日本でいうところの扶養控除といったその人の状況に応じた控除システムが一切ないので、平等といえるかどうかは「うーん?」というところ。
居住者が受領する所得(給与やその他の雑収入など) 13%
居住者・非居住者にかかわらず連邦法115-FZ号に規定されている
「高度な専門性を有する者**」が受領する給与所得
13%
非居住者が受領する配当所得 15%
非居住者が受領する(配当や「高度な専門性を持つ外国人」が
受領する給与所得を除く)全ての課税所得
30%
高金利の預金利息(中銀リファイナンス・レート***+
5%を超えるルーブル預金の受取利息、9%を超える外貨預金の
受取利息)、特定の賞金、低金利のローン(中銀リファイナン
ス・レートの2/3以下のルーブル建てローンおよび9%以下の外
貨建てローンは その金利差額がみなし所得****となる)
35%
法人税なども含め、ロシアの税制についてはコチラ▼▼
出典:Tax Tables Japan_Dec 2017.indd - EY
ロシア、仮想通貨”ホワイトリスト”作成
これとは別に、ロシアの仮想通貨&ブロックチェーン協会(RACIB)は仮想通貨関連ビジネスについての”ホワイトリスト”を作成しました。
マイニング、投資ファンド、マーケティング、法務、トレーニング、およびICO等の分野の企業が含まれているとのこと。
目的は詐欺または不正企業による損失を防ぐこと。
RACIBによると、今年の初めからロシアの法人・個人は、詐欺や不当な企業が組織した仮想通貨関連の投資によって約2億7000万ルーブル(約4億8,500万円)を損ったという
不正なICOの追跡調査をすでに開始したRACIB。
今回のホワイトリスト入りの基準はおおよそ、次のようなもの▼
基準項目は、財務の持続可能性、経験と事業の評判、司法判断の欠如、ライセンスと証明書の入手(必要な場合)、そして税金や手数料の延滞が無い事
RACIBによると約30社の企業が審査中であり、現時点でホワイトリストに登録された企業は50社以上だとのこと。
ロシアでの仮想通貨関連事業の発展と不正の防止にこのホワイトリストが寄与することを、RACIBは期待しています。
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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 1631 view

税理士・ライター。
2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。
しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。
そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。
何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。
こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。
Twitter: mayu_suzu8
この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。
2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。
仮想通貨についてはマイニングを含め容認傾向にあるとされるロシア。
その一方、仮想通貨に関する規制がどうなるかについてはロシア国内だけでなく世界からも関心を集めていました。
法案については、さまざまな議論がなされ、特に課税についてはどうなるかに関心が集まっていました。