ICO中に金融庁から”お尋ね”が…

昨年から(実際にはそれ以前からあるけれど)ブームを迎えているICO.
仮想通貨価格低迷の今でもその熱は冷めそうにありません。

企業によっては面倒くさい株式市場での資金調達よりICOのほうが手っ取り早いよね、と検討しているところもあるかもしれません。

そんな場合は要注意。

次のような書面が金融庁から届くことだってあるのです。▼

「金融庁 監督局 総務課 仮想通貨モニタリングチーム【担当:〇〇】より
仮想通貨交換業は、登録を受けたものでなければできません。貴社が行っているICOは、これに違反しているおそれがあります。」
「つきましては、〇年〇月〇日までに書面によりご回答願います。なお、期限までに回答がなされない場合捜査当局への情報提供等、必要な措置を行うことがありますので、念のため申し添えます。」

仮想通貨は改正資金決済法に規定する支払い手段となっています(現段階ではね)。
そのため、管轄は、銀行・保険・投資などの「日本の金融システム」が円滑に回るよう、管理・監督をしている行政機関である金融庁になります。

なおかつ、仮想通貨は登録制度にもみられるように、厳格に法律により規定されています。
仮想通貨交換業者のずさんな経営実態の発覚に加え、ICOについては詐欺が横行しているという現状などを鑑みると、金融庁も厳しく取り締まらざるを得ないというところではないでしょうか。

金融庁からの「お尋ね」の対処法

では、どのように対処したらよいのでしょうか。
具体的には次の通り▼

ここではもっとも意識すべきポイントにのみ焦点を当てます。

最大のポイントは「そのトークンは仮想通貨?」

ICOにおいては、きちんと登記情報を提示している企業もあればメアドしかない企業もあります(そもそもそれ自体どうなんだろうという感じがしますけど)。

が、おおむね金融庁から聞かれる内容には次の共通点があります▼

1.貴社の概要(設立年月日、本店及び支店・関係会社・代理店の所在地、代表者及び役員等の氏名及び履歴、組織図、社員数、他の業務の状況等)

2.〇〇コインについて、次の事項を詳細に記載ください。
(1)目的、詳細スキーム、仕組み、概要、営業期間
(2)〇〇コインが交換可能な仮想通貨及び法定通貨
(3)市場流通量、流通総額、顧客/保有者数(月毎)、残高/販売額(月毎)。また価格設定及びその根拠
(4)利用者へ勧誘に使用している資料等一式、セミナーを実地している場合、日時・場所・参加者数
(5)販売時の本人確認の実施状況(実施の有無、方法)
(6)苦情の有無(有る場合は、その内容及び対応)
(7)利用者における購入インセンティブは何か。
(8)〇〇コイン保有者はどのようなことができるのか。

3.〇〇コインの仮想通貨取引所への上場計画等、今後の取り組みについて詳細に記載してください。

4.仮想通貨交換業の該当性についての貴社の認識その根拠、弁護士等への法令照会の内容及び見解を詳細に記載ください。

5.是正済みの場合には、その対応(仮想通貨交換業務の停止、利用者への返金等)について記載してください。また、仮想通貨を含む返金をおこなっている場合には、返金しことが確認できる書面を添付してください。

6.本件に係る担当者の連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)

そしてもっとも肝心なのが次の点▼

「4.仮想通貨交換業の該当性についての貴社の認識その根拠、弁護士等への法令照会の内容及び見解を詳細に記載ください。」という項目の中の、

「発行体のトークンが仮想通貨にあたるのか?」

という点

つまり、発行体トークンが仮想通貨に相当するのであれば、企業は、ICOを行うより先にまず金融庁に交換業者登録をせよ、ということになります。

仮想通貨」であるのに、無登録でトークンの「売買、交換」行為をしていると「違法だ!」とされて、ペナルティを受け入れなければなりません。

そのため、ICOを行う企業側としては、

・現状のトークンの性質の分析、検討
・金融庁への回答(というより論証)

にエネルギーを注がなくてはなりません。

つまり、▼

・自社発行のトークンが「仮想通貨」にあたらないこと
・したがってまた「仮想通貨交換業の登録」は不要なこと

をきちんと金融庁が納得すべく論証しなくてはなりません。

「仮想通貨」に該当するか否か、のポイントとは

改正資金決済法での仮想通貨の定義は次のようになっています▼

1.物を売ったり買ったり、サービスを受けるときに、代金の支払いのため、不特定多数の人に対して使うことができること

2.特定多数の人に対して、仮想通貨そのものを売ったり買ったりすることができるような財産的価値であること

3.パソコンなどに電子的方法で記録され、また、インターネットやパソコンを通じてその情報を移転することができるものであること

4.円やドルなどの法定通貨ではないこと

関連するまとめ

アイスランドのマイニング事情|採掘電力が家庭用電力を上回るも「寒冷地域だから問題なし…

マイニング企業が集積する国、アイスランド。金融危機で一時ひっ迫したこの国は、今や世界のマイニングセンターとな…

鈴木まゆ子 / 8841 view

関連するキーワード

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。