駐車違反の違反金滞納で仮想通貨を”初”差押え、兵庫県警

先日11日、駐車違反をした車の所有者に科せられる放置違反金をめぐって、兵庫県警交通指導課が違反金の支払い督促に応じなかった兵庫県内の男性(59歳)から、「ビットコイン」などの仮想通貨約3800円分を差し押さえたということが明らかになりました。

なお、この仮想通貨は業者に預けていたものだとしています。

この男性は1年半にわたって繰り返し駐車違反を行い、違反キップをさんざん切られていました。
違反金と延滞金は総額で99,700円に上るといいます。

しかし一度も支払いに応じなかったとのこと。

県警は資産の差し押さえに乗り出したが、預金などがほとんどなかったため、男が業者に預けていたビットコインなど2種類の仮想通貨計3807円分を差し押さえたという。

なお、この「仮想通貨差押え」について、県警は次のように判断したことがきっかけだった模様です▼

昨年4月の資金決済法の改正で仮想通貨が正式に財産と位置づけられたことを踏まえ、県警は差し押さえ対象と判断

参考:国税徴収法上の差押となる対象財産の要件

ちなみに、国税徴収法上、差し押さえの対象となる財産は次のように要件が定められています。

財産が国税徴収法施行地内にあること
財産が滞納者に帰属していること
財産が金銭的価値を有すること
財産が譲渡又は取立てができるものであること
財産が差押禁止財産でないこと

差押禁止財産にも2種類あります。一つは一般の差し押さえ禁止財産。滞納者の生活に絶対必要なものは差押アウトです。
もう一つは条件付き差押財産。給与の差し押さえについては、最低生活費程度を残しておかなくてはならない、とされています。

また、差押えする財産にも優先順位があります。一言でいうと「面倒くさくなく換価(現金に変えること)できること」が判断基準です。
預金や貯金ほどでないにしても、財産的価値があり、かつ、他の財産に比べて現金化しやすいとみられたのが今回の仮想通貨差押につながるのかもしれません。

仮想通貨は「差押困難」と言われていたのに。。。

これまで、仮想通貨は差押が難しいといわれていました。
その理由は次の通り▼

交換会社は「ウォレットは当社で管理していない。技術上、二重払いの危険があり、返還できない」と主張
交換会社側ではウォレットの凍結はできず、交換会社が被害金を代わりに支払った場合、業者側から回収できずに損失を被る恐れがあることなどを理由に対応を見送った

ただ、この「差押できません」バージョンは、あくまでも「民事」の話。
民事での差押や換価は国税などの場合と異なり、一定の手続きを踏まないといけないため、時間がかかりますし強制力は落ちるものと思われます。


冒頭にお伝えした違反金滞納に関する差押は「国VS民間」の話。
一般に、国税などについては、国税徴収法などにより、裁判所の手続きなどを省略し、すみやかに督促・差押・換価することが認められています。
(違反金については国税とはいいがたいけど、、、)

かつ、ニュースでは「業者に預けていた仮想通貨」とあります。
ということは、交換会社のウォレットに預けていたことも考えられます。

民事と刑事で交換会社が違う対応を見せた、というふうに解釈することも可能かもしれません。

そして、NEM流出事件後、コインチェックはユーザーのNEMや匿名性の高い仮想通貨を「強制換価」し、ユーザーに返金しました▼

こういったことを考えると、「ハードウェアウォレットに秘密鍵を預けてある&滞納者が口を割らない」「仮想通貨取引を海外の取引所で行う」などの場合以外では、差押も換価もそれほど難しくない、と考えてよいのかもしれません。

感想

感想

今回の仮想通貨差押の一件はほんの始まりに過ぎないものと思われます。
仮想通貨の認知度が高まり、今後さまざまな規制がされること(日本の取引所に仮想通貨が集約されるような規制)により、差押え対象として見られていくことになるのではないでしょうか。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。