インド、中央銀行による仮想通貨取引禁止令の実行が目前に

今年から一気に仮想通貨の規制が強まりました。
とはいえ、最近になって、その規制が徐々に緩和したり、あるいは”適切に”規制を調整していこうという国もちらほら出てきました。

しかし、日本とインドはその気配が見えず。
特にインドは、仮想通貨の取引を自国から全面的に排除しようという姿勢を頑なに保持しています。

インドでは、中央銀行であるインド準備銀行により、銀行が一切の仮想通貨関連事業との取引から手を引くよう国内の各金融機関に対し発令しています▼

インド準備銀行によって規制されている事業体が仮想通貨を扱うことを禁止し、仮想通貨を扱ういかなる個人や事業体に対してサービスを提供することを禁止することを決定した。本決定は直ちに効力を発揮する。

サービスとは、口座の維持、登録、取引、決済、清算、バーチャルトークンへのローン付与、抵当としてのバーチャルトークン受け入れ、仮想通貨取引所の口座開設、仮想通貨の売買に関連する口座への送受金を含む

このインド中銀による仮想通貨締め出しの姿勢に国内の投資家たちが一斉に反発、一時期署名活動にまで発展しました▼

インドの中央銀行が(4月)5日、金融機関に対し、仮想通貨に関連する個人・法人との取引を停止するよう求める決定をしたことを受け、署名収集サイトのChange.orgで請願活動が行われている。請願書公開の4月5日から現在までに、1万7000人以上が署名した。

これは単純に国内での仮想通貨取引がしにくくなるというだけでなく、ブロックチェーンや仮想通貨という”事業”を縮小させることで国内の人材雇用が滞り、失業率が高まることへの懸念も影響しています。

そして中銀の命令に納得しない一部の投資家はこの命令について訴訟を提起しました。

インド最高裁、中央銀行の「仮想通貨取引禁止令」を支持

しかし、インド最高裁は投資家たちからの訴えを退け、インド中央銀行の仮想通貨取引禁止令を支持する姿勢を示しました▼

インド最高裁判所は、インド準備銀行(RBI)の銀行に対する仮想通貨関連事業との取引禁止令により影響を受けた取引所への暫定救済措置を与えないことを決定した
インド最高裁は今回も再び、すべての銀行に対し3か月以内に仮想通貨取引所および仮想通貨投資家との既存の関係を断つよう命じた、7月6日に発効する予定のRBIの4月6日付通達の差し止めを拒否した。

大手仮想通貨取引所Zebpay、ルピーの出入金の凍結を発表

そしてインド国内最大手の仮想通貨取引所Zebpayは、この一連の流れを受け、ルピーによる出入金を禁止。暫定的な救済措置さえも認められない強力な命令には従うしかない、と判断した模様。

「銀行が再び我々に許可を出すまでゼブペイのアプリで、インドルピーの預金と引き出しをすることを停止した」

ただ、ここで禁止されているのは法定通貨と仮想通貨のペア(交換)です。
そのためBTC←→ETHなど、仮想通貨同士のペアはOKなのです。

とはいえ、仮想通貨取引の柔軟さは「法定通貨が使えるかどうか」がカギです。
仮想通貨が登場したとはいえ、現実の生活の軸は法定通貨にあります。

Binanceが法定通貨とのペアを始めるというニュースが話題を呼んだのも、取引がより柔軟になることへの期待が背景にあります。

まとめ

こういったことから、今後、インドでの仮想通貨市場ではOTC(相対)取引、そして分散型取引所(DEX)の存在感が増していくのでは、という予測がたてられています。

ただし、その一方、「オープンに仮想通貨の取引が行えない」ことはある種の危険をはらみます。

仮想通貨の需要があるのは、インドだけでなく世界各国の動きを見ても明らかです。
そしてその需要は単独で存在するのではありません。
現時点ですでに目の前にある、あるいは、いずれ確実に来るであろう「国家の危機」「個人の自由のはく奪」を誰もが感じているからこそ、需要がなくならないのです。

こういったことから、仮想通貨の取引を狭めていくことは、詐欺などを含めた犯罪をより引き起こしやすい状態を生み出します。
そして、被害にあっても泣き寝入りせざるを得ません。

インドがもっとも排除したいであろうブラックなマネーは、消えたように見えて、実は水面下に潜った状態で市場を拡大させていくに過ぎないのです。

そして、もうひとつ。
今回インドの仮想通貨取引禁止に関しては、「十分な調査が行われた」とは決して言えない状況です。
十分な調査も分析もされていない状態での「禁止」は、賢明な判断と言えるでしょうか。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 14304 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。