リーマンショックで危機を迎えたアイスランドは”世界のマイニングセンター”へ

北欧の小国、アイスランド。
金融と不動産がGDPに占める割合が26%に達していたこの国は2008年のリーマンショックの余波を受け、一時財政危機に。

しかし2013年以降、他のEU諸国よりも経済成長の伸びを見せています。

そして、現在、もう一つの顔”世界のマイニングセンター”という役割をも担おうとしているのです。

ビットコインのマイニングがアイスランドで盛んなのは、エネルギーが安価に手に入り、高速の光ファイバー網を使ったインターネット接続が可能なためだ。
アイスランドの寒冷な気候も、設備をオーバーヒートさせないために重要な役割を果たしている。マイニング・ハードウエアは大量の熱を発する。だが、アイスランドの年間を通じて涼しい気候が温度調整にかかるコストを抑えてくれる。

マイニング機器は稼働につれてヒートアップしていきます。
通常は、マイニング機器だけでなく、その冷却装置も必要なのですが、アイスランドはもともと気候が寒冷であるため、その必要がありません。

ゆえに、電力・装置の両面で安価にすみます。

同国内には、ジェネシス・マイニング社というマイニングの大手企業があります。
クラウドマイニングなどのビジネスを行い、アイスランドをはじめ、世界各地に拠点を持っています。

アイスランド最大の仮想通貨マイニング企業の1つ、ジェネシス・マイニング(Genesis Mining)は、国内に3つのマイニング施設を立ち上げ、2016年にはCEOのマルコ・ストレング(Marco Streng)氏が、同社は国内で最も多くの電力を消費するユーザーの1つになるだろうとの見方を示した。

今年2月に「マイニング消費電力が家庭消費電力を上回る」予測

ただし、次のようなことがすでに今年2月に予測されています▼

ビットコインのマイニングに使用されるエネルギー量は「飛躍的に成長」しており、2018年には国内の一般家庭が使用するよりも多くのエネルギーがそのデータセンターで消費されるだろう
国内の大半の一般家庭が年間700ギガワット時(GWh)を消費する一方、ビットコインのマイニングに使われる電力量は現在、年間840ギガワット時(GWh)前後が見込まれている

似たような懸念は他の地域でも生じており、カナダ・ケベック州では一時的に既存のマイニング企業に対して電力供給を取りやめていました。
そして現在、新規のマイニング認可を停止しています▼

ただ、その問題はアイスランドにとっては杞憂ですみそうです。なぜなら、▼

コンピュータを稼働させるというだけでも膨大なエネルギーが必要です。しかしアイスランドの場合は、エネルギーが地熱からほぼ無限に供給されています。

Just the process of running the computers also requires loads of energy. Iceland, however, has an almost limitless supply of energy under its soil.

この小国アイスランドでは、地熱発電所が数多くあり、天然の超高温地熱水からの蒸気を使ってタービンに電力を供給し、莫大な安価なエネルギーを作り出しています。

The small country boasts a number of geothermal power plants that use the steam from naturally super-hot geothermal water to power turbines to create huge amounts of cheap energy.

つまり、再生可能エネルギーから100%エネルギー供給を享受できる国のアイスランドにとって、仮想通貨マイニングは大した問題にはならないのです。

What this means is that, so far, the cryptocurrency mines aren’t creating many problems for Iceland, a country that draws 100% of its energy supply from renewable sources.

アイスランド政府「マイニングには課税すべき」

ただ、それであっても国としては放置できない問題があります。それは「マイニング課税」です。

「通常であれば、アイスランドで価値を生み出す企業は政府に一定の税金を納めている」
我々は彼らがそうすべきかどうか、自らに問うべきなのかもしれない」

この発言はアイスランドの海賊党議員スマリ・マッカーシー(Smari McCarthy)氏によるもの。
ただ、海賊党はこの2月時点で63議席中6議席しか占めていません。
そのため、彼一人の発言が同国の税制に与える影響は小さいといえます。

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鈴木まゆ子 / 1149 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。