アメリカの公務員に「仮想通貨取引の報告義務」

先日、アメリカの政府倫理局が自国の公務員に対し、「仮想通貨を持っているなら報告するように」と命令を下しました。
国土安全保障省、陸軍、司法省、退役軍人省などの機関で働く約200万人の公務員が対象です。

報告義務は、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)やブロックチェーン技術を使って配布されたトークンやコインなどのデジタル資産に適用される

報告すべき要件や内容は次の通り▼

報告期限日に1000ドル以上の仮想通貨を保有していた場合や報告期間中に仮想通貨を保有することで得た収入が200ドル以上になった場合
報告者は、仮想通貨の名前に加えて、取引所やプラットフォームを使っている場合はそれらの名前も合わせて報告する必要がある

韓国、ロシアでも公務員への仮想通貨規制が始まる

この現象はアメリカだけではありません。
韓国ではすでに始まり、ロシアでも検討されています。

韓国政府は、公務員が仮想通貨を保持、取引きすることを禁止すると発表した。
「公務員は公務員法の自制の義務に従わなければならない。仮想通貨取引きに関わった公務員は懲戒処分にする」と警告
ロシア国家院金融市場委員会のアナトリー・アクサコフ議長は、現在草稿段階にある同国仮想通貨法案が政府職員に自身の仮想通貨投資を申告するよう義務付けていると述べた
新しい法案が仮想通貨を資産として定義したならば「国家院の下院議員が所有するすべての資産(仮想通貨を含む)は申告されねばならない」

「仮想通貨≠通貨」だから「投資」そして「利益相反行為」になる可能性あり

なぜ、このような義務づけがされるのでしょうか?
アメリカ政府としては、仮想通貨はドルでも円でもない、つまり、

仮想通貨を『本物の』通貨や法定通貨」とみなしていない

のです。つまり、法定通貨でないものを保有しているということは「投資」などに当たります。

一般的に、公務員は民間の会社員よりも倫理規制が厳しくなっています。
国家行政に関与する以上、利益相反行為になる可能性があるからです。

利益相反行為とは

利益相反行為とは

利益相反行為とは、ある行為をすることで、一方の利益にはなるけれども、他方の利益を害することになることです。

「それの何が悪いの?」と思いたくなるところですが、、、

人は一度に2つの立場を担うことがあります。


たとえば、会社を経営しているなら、「取締役」として会社の執行機関と個人の2つの顔を持つことになります。

会社経営者としては、会社からの給与をいくらでも欲しいと思うもの。
しかし、金額によってはそれは会社の利益を害する行為であり、ひいては株主としての利益を害することになります。

他人の利益を図るべき立場にありながら自己の利益を図ることで他人に果たすべき義務や責任を果たさなくなるおそれが生じます。

公務員も「国の行政機関」「個人」としての2つの顔を持ちます。
仮想通貨に投資をしたあげく、利益は欲しいけど税金は払いたくない…としたら?

脱税行為をすることになりかねません。

このような個人の行為が国家、ひいては国民に対して利益相反行為になる可能性があるのです。

先ほどの韓国での公務員への仮想通貨取引禁止においても、次の事実が影響していると思われます▼

今年1月には金融監督院の高官が仮想通貨のインサイダー取引に関わり告訴されている

日本の公務員も仮想通貨取引禁止?

では、日本の公務員はどうなのでしょうか。

こちらは、国家公務員法103条と地方公務員法38条で副業禁止規定が設けられています。

が、これは主に「営利を目的とする民間企業を経営したり、あるいはその役員や顧問などになってはいけない」という趣旨がメインで、個人の投資に関しては特段明確な規定はないようです。

【公務員ができる副業】


・一定規模以下の不動産投資

・資産運用(預金、株式投資、投資信託、FX(外国為替証拠金取引)など)

・農林水産業

・任命権者の許可を得たケース

とはいえ、仮想通貨投資が利益相反行為(公務員としての果たすべき義務を果たさない行為)に該当するようになったら、改正しないとも限りません。
仮想通貨だけでなく、あらゆる投資や営利活動について言えることですが、、、

(ただ、その一方で公務員の副業解禁のニュースも流れてきているので、断言はしづらいです)

倫理意識は保持しつつ、投資を行っていく…という姿勢で臨まれるのがよいのかな、と感じます。

当サイトでは、売買に関してお勧めしているものではございません。資料としてご提供できる記事をお届けしております。ご自身でアクションを起こされる場合は、変更されているかもしれない情報を再度確認調査し、ご自身の判断での決断をお願いいたします。いかなる状況になろうとも、当サイトでは何ら責任をお取りすることはございませんことをご承知おきくださいますようお願いいたします。

【注意とお願い】無断転用・複写などされませんようお願いいたします。ご利用の場合は、当サイト名とURLのリンクを明記の上お願いいたします。

関連するまとめ

R3が倒産の危機”買収のウワサ”も|リップルとの訴訟問題も大きな鍵になるのか

2014年設立のR3(R3CEV LLC)は分散台帳技術を開発する企業で、世界の銀行や企業を束ねるR3Cev…

仮想通貨まとめ編集部の志水 / 9217 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。