2018年11月の米中間選挙にむけて議論になる「仮想通貨の政治献金問題」

アメリカの中間選挙にはまだ早いのですが(2018年11月に行われる予定)、すでにこのときの政治献金での仮想通貨の取り扱いが議論の対象になっています。

仮想通貨での政治献金に上限を設けるべきかどうか、設けるとしたらいくらか、といった問題についてです。

18年になって中間選挙が意識され始めると、政治献金と仮想通貨を巡って多くの州の規制当局が様々な問い合わせに直面してきた。
その際、仮想通貨による献金が適切であるか否か、どのように規制すべきは、しばしば州政府の倫理機関が独断で決めてきた。
今年これまでに、仮想通貨による献金を禁止した州委員会もあれば、この問題に関して態度を決めかねている州委員会もある。

仮想通貨政治献金の現状:FECの見解に拘束力がないため各州の判断がバラバラ

2014年頃から仮想通貨が政治献金に用いられるようになりました。
その際、連邦選挙委員会(FEC)が仮想通貨による政治献金をどのように取り扱うべきか見解を発表したのですが、この見解に拘束力はありません。
かつ、仮想通貨による選挙資金の調達方法について具体的な指針が示されていないのです。

そのため、各州での取り扱いがバラバラになっています。

2017年10月、カンザス州では「過度に秘密主義で追跡不可」であるとして受け入れを拒否。
ウィスコンシン州では見解を求められたものの、いまだ発表していません。
ノースカロライナ州でも審議中。
サウスカロライナ州では、「州法で規定されている政治献金の中に仮想通貨はない」として却下しています。

ただ、唯一、コロラド州では、▼

水曜日にコロラド州州務長官事務所は「選挙と政治ファイナンスに関わる規則」の作業草案を公開した。注目すべき点は、新たに仮想通貨による献金についての草案に含まれていること。

と、容認姿勢を示しています。

FECの見解と政党それぞれの意見を政治家が”都合よく”解釈

2014年当時、ビットコインは1BTCあたり400ドル前後。
認知度もまだ低く、支払い手段ではなくどちらかというと「モノ」として認識されていました。

そのため、

FECはビットコインを「現物寄付」とみなし、選挙での受け入れが可能であると規定。ビットコインを商品やサービスを購入するための金銭ではなく、組織運営に必要な商品やサービスを提供する、寄付の一形態とみなしたのだ。

また、寄付の上限に関しても、

民主党員は上限100ドルを提唱し、共和党員は連邦基準の2700ドルを支持

「支持する寄付上限額が共和党のほうが高い」というのはいかにも、という感じではありますが…

FECの見解はあくまでも見解にすぎなかったため、アグレッシブな政治家は▼

政治家の中にはその後、共和党が支持した高い方の上限2700ドルを採用する者が現れることとなった
連邦選挙委員会は、ビットコインは即座にアメリカドルに変換され、贈り物のように現物出資として記録されることを求めています。

このようなコメントもありますが、あくまで「勧告」。
規制ではないため、どこまで政治家が守っているかも疑問です。

仮想通貨の政治献金の問題点

「デジタル通貨の寄付を認めることは非常に危険であり、誰が寄付したのかを隠すことができるのは、倫理的にみれば悪夢でしかない。」

ビットコインをはじめ、多くの仮想通貨は追跡可能です。
ただ、残念なのは「それが実際に誰なのか」が紐づけされないということ。
ウォレットのアドレスは分かるけど、誰が持ち主なのかがわからないのです。

また、これがZcashやMoneroなどのように匿名性が高いコインでの政治献金になれば、さらに「追跡困難」になります。

そうなると、

・犯罪団体からの寄付を受け付けかねない
・政治献金が一種のマネーロンダリングに悪用されるのではないか

といった懸念も出てくるかと思われます。

今後の動向

選挙運動資金に占める仮想通貨献金の割合がまだ控えめだとしても、一般大衆レベルでの採用が増えていることで、全体としては着実な増加傾向にある。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 13665 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。