EUの一般データ保護規則(GDPR)スタート

EUの一般データ保護規則、いわゆるGDPRへの緊張感が高まっています。

Facebook事件などにより個人情報の流出にシビアになっている風潮の中、数年前からEU内で実行に向けて歩みが固められてきた個人情報規制の厳格化が現実のものになったからです。

各企業はペナルティの大きさに戦々恐々としています。

EU一般データ保護規則(GEPR)とは

GDPRは、企業に顧客の個人情報の慎重な取り扱いを求める広範な一連の規則で、遵守しない組織は責任を問われる。
GDPRの下では、個人データの収集は具体的かつ合法的な目的のために行われなければならない。
個人データは正確なものでなければならず、不正アクセスや不慮の損失、破壊、損害から保護される必要がある。

細かい規定についてはこちら▼

そして、GDPRに違反した場合、高いペナルティが情報を管理している企業に課せられることになります▼

前年度の全世界売上高の4%もしくは2000万ユーロ(1ユーロ125円とすると25億円)のどちらか高い方が制裁金として課される。(「全世界売上高」というのはEU内の子会社がGDPRを違反した場合、グループ連結で制裁が課されることを意味する。)

GDPRのメリット、デメリット

GDPRにはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

GDPRのメリットとは

個人データ漏洩の懸念が下がる

個人データ漏洩の懸念が下がる

この制度のそもそもの目的である「個人情報流出」が避けられる、リスクが低下する、というのがまず大きいかと思われます。
規制が厳しくなるということは、その分だけどの企業も管理に厳しくなるということ。
社内メールの私的利用により顧客の情報流出の懸念もあります。
そういった「ささいな」ことによる流出や悪用を防ぐことで効果を発揮するかもしれません。

GDPRのデメリットとは

ムダが増える

ムダが増える

個人情報の管理を「より厳格に」行わなくてはならないため、管理コストがムダにかかることになります。
個人情報の移転そのものにもいちいち本人確認が必要なため、手間が増えます。

こういった個人情報の厳格化により、新たな産業が増える___つまり、雇用創出につながる、という声もありますが、企業としてはコストは減らしたいものです。
また、新たな産業が生まれたとしてもEUの風向き次第でいくらでも変わるので、自律的かつ安定的な産業とはいいがたいでしょう。

詐欺がふえる

詐欺がふえる

新たな産業の創出につながるかも、は、「新たな詐欺が増えるかも」でもあります。
日本のマイナンバー制度が創設された時期をふりかえっていただきたいのですが、このときも、新たな産業(というか会計ソフト企業や管理システム系の企業を中心に需要が増えた)が創出された一方、マイナンバーを手口にした詐欺も増えました。

「GDPRにより、〇〇をしなくてはいけなくなったので…」といった詐欺的な営業やフィッシング詐欺、あるいはGDPRを逆手にとった個人情報泥棒なども出てくる可能性があります。

さらに、次のGDPRの縛りにより、▼

EEA(欧州経済領域)の域内から域外(第三国)への個人データの移転は原則として禁止
例えば、日本のように欧州委員会によって、適切な個人情報保護制度を有していると認められていない国への情報移転は、

本人同意を得る
拘束的企業準則(binding corporate rules)を策定する
標準契約条項(SCC:Standard Contractual Clauses)を締結する

のいずれかの要件を満たしに行く必要がある。

となっています。

EUがサイバー犯罪の温床・隠れ蓑になる可能性

EUがサイバー犯罪の温床・隠れ蓑になる可能性

つまり、いかなる個人情報も守られるのであれば、サイバー犯罪にかかわる人間にとっては絶好の隠れ蓑になります。
ばれず、またばれても個人情報の持ち出されようがないので、取り締まられることがなくなるからです。

しかし、その一方、彼らの中にはダークウェブで個人情報を高く売買するものも。

GDPRの発動により、追跡可能なものがそうでなくなるおそれがあります。

参考記事▼

▼ダークウェブについてはこちら▼

GDPRとブロックチェーンは敵同士?

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鈴木まゆ子 / 1023 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。