サイバー犯罪の対策に取り組むアメリカの非営利団体アンチ・フィッシング・ワーキング・グループ(APWG)が、2017年以降の仮想通貨の盗難被害額の総額は12億ドル(日本円にして1213億円)相当であることを発表しました。

その一方、盗まれた仮想通貨の回収率は20%あるいはそれ以下だとのこと。

12億ドルという数字は、通報された被害と未通報の被害を合算したもの
昨今の盗難は”小規模POWアルトコイン”攻撃

昨今の盗難は”小規模POWアルトコイン”攻撃

ちなみに、昨今の盗難ケースでは、POWによる合意形成を行う小規模アルトコインを攻撃するケースが相次いでいます。

日本のモナコインを始め、ビットコインゴールドやヴァージコインなどが狙われ、資金が攻撃者の手元に渡ったとされています。

この他、フィッシングや詐欺、ランサムウェアやクリプトジャック…といった手口により、仮想通貨盗難の被害は相次いでいます▼

EUのデータ保護規制が仮想通貨の盗難被害を助長させる恐れも

さらに、APWGの会長は、EUの保護規制が仮想通貨関連の犯罪を助長するおそれがあると指摘しています。▼

新たな「EU一般データ保護規則」(GDPR、5月25日に施行された)は世界の法執行機関が仮想通貨の窃盗犯を発見する能力にマイナスの影響を与えるだろう
EU一般データ保護規則(GDPR)とは

EU一般データ保護規則(GDPR)とは

EU一般データ保護規則とは、端的にいうと、EU域内にある個人情報の域外持ち出しを原則禁止する、というものです。

EU加盟国などヨーロッパ31か国に住む人の名前やメールアドレスなどの個人情報を本人の同意なくEU域外に持ちだすと、年間売上額の4%か26億円のいずれかが課徴金として科されることになります。

GDPRはEU域内の全員の個人情報が対象です。

ということはどういうことか?

EU域内に住所をもっていれば、海外の取引所に攻撃をかけたり、あるいはフィッシング詐欺などを行ったりしても、海外から追跡される可能性が低くなるということでもあります。

つまり、「仮想通貨を泥棒したけりゃEU加盟国に引っ越せ」という状況を助長しかねないのです▼

GDPRはインターネットのセキュリティ全体にマイナスの影響を与え、意図せずサイバー犯罪者を手助けすることになる。GDPRは重要な情報の利用を制限することとなり、サイバー犯罪や仮想通貨の窃盗、フィッシング、ランサムウェア、マルウェア、詐欺やクリプトジャックの捜査を大きく妨げるだろう
感想

感想

EUのGDPRは、アメリカでのFacebook事件の再発を懸念してのことだとは思います。

が、法律はそれ自体が「善」なのではなく、ただの「道具」でしかありません。
この場合、流出事件により被害を受けるEUの善意の市民を守ると同時に、仮想通貨の詐欺や盗難といった犯罪を行う悪意のEU市民を不当に保護してしまうことになりかねないのです。

ということは、EUのスタンスが仮想通貨関連の犯罪を助長してしまうことになるのです。今年はじめ「仮想通貨への規制を強化すべきだ」と唱えたにもかかわらず。

法律はそれだけで万能なわけではないため、個別具体的に「誰を」「何を」保護するのかなどを細かく決めるのが本来のありかたです。
そして、その制定にも施行にも、人間の「良心」が欠かせないことはいうまでもありません。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。