度重なる詐欺ICOに警戒心を強めている米SEC。
先日、”あえて”ニセモノ詐欺ICOサイトをオープンしました。

このサイトの目的は投資家への警告と教育です。

水曜日、米SECの投資家教育啓蒙部門がニセモノのICOサイトを公開しました。このサイトには、9ページに及ぶホワイトペーパー、怪しげな創業者一団、そして過激なセレブの「オススメ」などがカンペキに備わっています

On Wednesday, the Securities and Exchange Commission’s Office of Investor Education and Advocacy launched a mock initial coin offering (ICO) website, complete with a nine-page whitepaper, a suspicious set of founders, and overzealous celebrity endorsements.

当局は「Howey Coin」を立上げ(Howey Testということですけど)、これにつき、コイントレーディングの利益のマジックと旅行業界からの驚異的かつ保障されたリターンが備わった最新かつ唯一のコインです、とうたっています

The agency billed ”HoweyCoin” – an ode to the Howey Test – as ”the newest and only coin offering that captures the magic of coin trading profits AND the excitement and guaranteed returns of the travel industry.”

こちらがSECが作成したニセモノICOウェブサイト。

魅力的なコピーを連ねていますが、実際に「Token Sale!」をクリックすると、投資教育のページに飛ぶ仕組みになっています。

われわれは、暗号通貨やICOなどのデジタル資産を含む不正行為を投資家に警告するため、教育ツールとして、偽のHoweyCoins.comサイトを作成しました。

”We created the bogus HoweyCoins.com site as an educational tool to alert investors to possible fraud involving digital assets like crypto-currencies and coin offerings.”

よくある詐欺の手口を巧妙に使ったウェブサイトに「あえて」引っかからせることで、詐欺防止教育につなげようという試みです。
工夫が凝らされていて、「よく研究しているなぁ」というのが誰においても正直な一言かもしれませんね(もっとも、このあたりは”いたちごっこ”でもあるのですが)

ICOの詐欺率は90%

マジメなICOもあるのですが、、、それを見抜くのが困難なほど、いい加減なICOが圧倒的に多いのが現実です。

米サティス・グループがICO関連企業や仮想通貨情報サイトコインマーケットキャップから入手した情報を分析した結果は、およそ次のようになっています▼

・81%は詐欺
・6%は資金調達が完了する前に事業を中止
・5%は資金を調達しても、仮想通貨の取引開始に至らなかった
・4.4%は資金調達後、仮想通貨の取引を開始
・ プロジェクトとして成功するのは1.9%
・ 将来有望なプロジェクトは1.8%

さらに、SECは詐欺によくある手口として次のようなものに警告を発しています。

・ 投資家は自ら調査を行う必要がある。ブログやソーシャルネットワーキング・サイト、企業のウェブサイトに掲載されている情報には不正確なものも含まれるほか、意図的に誤解を招く記述をしているものもある点に注意が必要だ。

・ ICOなど新しいテクノロジーに関連するものを含め、株の購入などに関する勧誘には特に注意すること。

・ ICO関連の詐欺である可能性が高い以下の警告サインに注意すること。

(1)株式を上場している企業が「SECの規則に従った」ICOを行うと主張する一方で、ICOが準拠する証券取引法についての具体的な説明がなされていない場合。

(2)株式を上場している企業がICOを通じて資本調達を行う、またはICO関連事業に参入すると発表する一方で、曖昧または理にかなわない説明をしている場合、または不明確な技術的・法的な専門用語を使って説明している場合。

全てのICOに関する結論:主張の内容に注意すること。一晩で大金持ちになれることは、ほとんどない。可能性があるのは、その逆になることだ。

こちらでも「ICO詐欺」については過去、このような注意を呼びかけました▼

「ICO禁止」「証券に区分すべき」の意見

このようなリサーチや相談件数を見て、米SECでは「ICOを禁止すべきだ」「証券として法規制の対象とべきだ」という意見が出ています。

ヒンマン氏は、ジェイ・クレイトンSEC委員長による、大部分のICOは有価証券とみなすべきであるとの発言にならう立場をとった。
SECはトークンの発行元と協議し、それらのICOが規制対象であるのか、有価証券としての要件を満たさないのかを検証したい

また、米SEC委員のブラッド・シェーマン氏は、IPOはOKだけどICOはアウト、「雇用創出につながらないし、経済からお金を奪うものだ」としています。

「ICOは現実の経済から資金を持ち去り、投資してリスクをとりたいと人々に思わせる。また、リスクをとるその能力を使うな、職を求めている人に働き口を提供しようとするその血気を役立てるな、ましてや数千人が働ける工場なんて建てるもんじゃない、そこにじっとしてICOの中で取引しろ、と言うのだ」
「ペテン師や詐欺師はいつも脱中央集権型の新事業を好んできたものだ」。

個人的には「大分偏見に満ちている感じがするな」と感じます。
必ずしもこれまでのIPOがすべて雇用創出につながってきたわけではありません。
また、一方、ICOの99%が仮にゴミクズだったとしても、Etheriumのように機能的なIトークンが生まれ、そこで雇用や次のビジネス創出につながることもあります。

「規制にはバランスをとるべき」の声も

同じSECでも違う意見を持つ人もいます。
委員の一人のヘスター・パース氏は次のように「個別検討すべし」としています。

パース氏は「この分野の未発達な性質を考慮すれば、ICOを一面的に指定することには注意すべきであると考えています」と語った。彼女はその代わりに規制当局が「1つ1つのICOの状況と事実を評価する」ことを提案した。
パース氏は規制がイノベーションに影響してしまう可能性についても述べ、例えばトークンを証券と分類してしまうことでイノベーションに境界を作ってしまうと主張した。
「時間が経つにつれ、ICOがますます証券や証券発行に似ていきます。本来起こるかもしれなかった証券の枠組みの中に収まらないイノベーションが開花しなくなってしまうかもしれません」

まとめ

米SECの委員パース氏はまた、次のように述べています▼

パース氏はSECがICO発行者とほとんど法執行部を通して意思疎通をしてきたことに後悔の念を示し、SECは「法執行の権力」でリードするべきではないと注意を促した。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 5839 view

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。