「仮想通貨=テロ資金」という世界の見方→規制強化

「仮想通貨=テロ資金」と見られる世界の潮流

「仮想通貨=テロ資金」と見られる世界の潮流

今年に入って一気に規制が強化された仮想通貨。
その背景には、マネーロンダリングを通じて仮想通貨がテロ組織の活動を活発化させていることへの懸念があります。

それは事実であると言っていいでしょう。
テロ組織は、仮想通貨+ダークウェブで資金調達を行い、活動の資金源を得ています。

ISなどは、「ビットコイン」のような暗号通貨を利用した送金システムも構築している。取引には従来とは異なる世界的金融システムが使われ、ユーザーは完全な匿名性を保てるのが特徴だ。
「暗号通貨と”ダークネット”を利用することで、今日のテロ組織はクリエイティブな方法で資金を集めたり金を儲けたりすることが可能なのです」

▼ダークウェブや仮想通貨に関する過去記事▼

欧州議会でもマネロン対策としての仮想通貨規制が議論に

欧州議会でもマネロン対策としての仮想通貨規制が議論に

また、欧州議会やG20でも、仮想通貨とマネーロンダリングの関係が議論の対象となっています。
具体的には、仮想通貨交換業やプラットフォーム提供者の当局への登録やKYCが課題です。

仮想通貨は要因の一つにすぎない

中には「仮想通貨さえ撲滅すればテロは撲滅する」的な意識さえ持っているかのように見える論者もいます。
現実には、仮想通貨は、テロ組織の活動の一要因でしかありません。
もしそうであれば、仮想通貨登場と同時にテロ組織が登場することになっていたでしょう。
実際には、現金や預金口座を使って「うまく」資金調達を行っていた過去がありました。
ということは、仮想通貨は「新たに登場した資金調達の選択肢」に過ぎないのです。

もっというと、テロ組織に資金を提供しているのは誰か、組織の資金調達の内訳はどうなっているかなどに本来は目を向けるべきです。
仮想通貨はあくまでも数ある選択肢の一つにすぎません。

視点①:テロ組織はどのようにして資金を調達しているか

テロ組織は、テクノロジーを駆使して、資金を得たり移転したりする方法を常に探っている。

ネットの登場で、我々の稼ぎ方は一気に変わりました。
それまで電話や対面などという物理的な距離の短縮が生まれないと商機は訪れなかったのが、インターネットの登場で「対面でなくても」「自宅にいても」稼げるようになったのです。

さらに、顔を知らなくてもどうにかなるわけですから、偽アカウントを作成することで、わざわざ海を渡らなくても容易に資金のやりとりができるようになりました。

ウォールストリート・ジャーナル紙の最近の報道によれば、「イーベイ」や「ペイパル」の偽アカウントを使って米国内の工作員に資金を送っていたISの国際的ネットワークが、FBIに摘発された。

さらに、You Tubeやオンライン通販、オークションなど、オンライン上でさまざまな稼ぎ方も登場しています。

ということは、これはテロ組織にも当てはまります。

テロ組織というダークなイメージそのままに資金調達する必要はありません。
「エンターテイメント」という誰もが惹かれる場面で、薄く広くテロ資金を稼げばいいのです。

「グーグル」や「ユーチューブ」は少し前から、テロ組織がプロパガンダ用のビデオを投稿するお気に入りのプラットフォームになっている。彼らの動画は人気が高く、宣伝効果や新たな支持者だけでなく、多額の広告収入ももたらしている。
現在のテロ組織は音楽や映画、オンラインゲームの海賊版、偽ブランドのアパレル製品、電子機器、時には偽薬や、コンサートやスポーツイベントの偽造チケットを売る例さえある

視点⓶:誰がテロ組織を支援しているのか

おおっぴらに大金が寄付される場合もある。

テロ組織が稼得するだけではありません。
豊富な資金力には「有力なパトロン」が背景にあります。
パトロンからの寄附があれば、稼得するのに時間を使うのではなく、テロ活動に時間を使うことができるのです。

資金提供者になるのは、慈善団体や企業、金融機関、裕福なビジネスマンで、近年は資金力のある政府や国家も含まれている。

「慈善活動だからマネーロンダリングなんてしない」は思いこみです。
そもそも、その慈善活動が「どういう視点で」「どのような内容だから慈善になるのか」という明確な定義づけをしないと、価値観が合わないままに「慈善=いいもの」という見落としが発生することになります。


イスラム世界でのNGO活動のひとつが幼児婚のあっせんです。
シリア人女性の幼児婚の仲介が行われています。
中には大家族を支えるために結婚するという少女も。
その後、第二、第三の結婚を繰り返し、最後は再び難民キャンプに戻るという女性も少なくありません。その時点ですでに身体も心もボロボロです。

イスラム世界ではもしかしたら「目の前の生活が一時的にラクになる」と言う意味で慈善なのかもしれません。
しかし、先進国の我々の視点からすれば到底慈善であるとは言いがたいでしょう。

中東イスラーム世界におけるNGOやムスリムによって運営されるNGO(これらはムスリム(イスラーム教徒)によって運営されているため通称「ムスリムNGO」と呼ばれる場合が多い)は、財政収支や活動資金の流れに不透明な部分が多いことも指摘される。
近年では、シリア内戦における反体制派やISに対して、ムスリムNGOが資金提供をしている可能性についても懸念が持たれている。

▼そして皮肉なことですが、マネーロンダリングを世界的に叫びながらも現実にはこのような背景があります▼

「成功するテロ組織の背後には必ず財政システムがあり、多くの場合それは国家である」
アメリカは、シリア、イラン、スーダン、北朝鮮をテロ支援国家に指定している(2017年11月現在)。

視点③:そもそものテロ活動の原因は何か

関連するまとめ

遂に開催されたG20! 世界統一で決める規制はなくなった!?

遂にG20が開催されます! 現状仮想通貨に対しては既存のルールをレビューするのみなどの話が飛び交っています…

仮想通貨ヲタク清水聖子 / 8599 view

関連するキーワード

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。