イラン独自仮想通貨の実証実験の準備整う

イラン独自の仮想通貨の実証実験の準備が整ったとのがイラン政府の発表により明らかになりました。ブロックチェーンを基盤とする仮想通貨のモデルを検討し、承認がされて実験がなされれば、国内の金融機関への提供が行われる見込みです。

▼ただし、詳細は不明瞭で▼

最終的に一般市民が利用できるものになるのか、郵便銀行(同銀行の51%の株式を政府が保有している)が発行するのか、あるいは他の政府機関や金融機関が発行するのかについては明らかにしていない。

まだ構想段階で、「具体的なことはなにも決まっていない」という段階でしかありません。

先月下旬、イラン中央銀行「国内での仮想通貨全面禁止」

先月23日、イラン中央銀行により、国内における民間仮想通貨の取引の全面禁止が発表されました。
独自仮想通貨構想が発表されたのはこの直後のことです。

民間仮想通貨禁止令は、独自仮想通貨への一歩の布石と見て取れます。

ただ、この決定には、いくつか疑問点があります。というのも、決定から発表まで「かなりの」タイムラグがあるからです▼

決定が取られたのは昨年末だが、文書が公開されたのは昨日の夕方だ。決定は、仮想通貨が「マネーロンダリングやテロリズムへの資金援助」に使われる可能性があるためだと説明された。
「民間仮想通貨禁止」に温度差?

「民間仮想通貨禁止」に温度差?

また、政府と中央銀行の間の民間仮想通貨へのスタンスにも温度差がありそうです。
イランのジャロミ情報通信技術大臣は、民間仮想通貨禁止令の後の29日、次のようなコメントをしています▼

「銀行によるビットコインなどの仮想通貨の使用を禁止するという中央銀行の指令は、国内発展のためのデジタル通貨の使用が禁止されたり制限されることを意味しない」

さらに、仮想通貨禁止令の理由としては「マネーロンダリングの防止」が言われています。
ただし、これは、一般的に我々がイメージするものとはちょっと異なる模様▼

この禁止はイラン国民が自らの資産をインフレから守るべく海外にフライトさせようとするのを避けるためのものだということは明らかだ

”It seems obvious that this ban is to avoid the continued capital flight by Iranian citizens trying to protect their wealth from inflation.”

「マネーロンダリング(から守る)」という言葉はイランの中央政府当局者の描く目的という文脈からすれば、次のような意味になる:

「イラン国民に彼らの持ち金を公平なマーケットレートで交換させることを防止する」

“[protecting] against money laundering,” as Iranian authorities have outlined their goal, in this case virtually means ”preventing citizens from exchanging their money at a fair market rate.”

背景には「政情不安定」「経済制裁」「インフレ」

インフレ、失業、腐敗、そして長年にわたる制裁により、エリート層が私腹を肥やしがちな「影の金融システム」が生まれ、中間層や貧困層は年々置き去りにされている。

仮想通貨を経由した国内の資本流出の背景にはイランの政情不安定にあります。

アメリカを含めた外交状況や核兵器の問題などを巡り、イランの国際的な立場は緊迫状態が続いています。
強硬姿勢を緩めた後も、経済制裁は続き、国内のインフレ率は15%~30%の間を上下しています。

イランのインフレ率

イランのインフレ率

参考:日本のインフレ率

参考:日本のインフレ率

日本も「また値上がりだ」「やっていけない」という声が聞こえますが、数字にすると0~3%の間です。イランよりもはるかに価格が安定していることがわかります。

イランに対する制裁は2015年に行われた西洋諸国との核取引以前ほど重くはないですが、それでも国の大部分はVisa、Mastercard、そしてPayPalなどの大手国際決済ネットワークからは遮断されています。
現在、イランの失業率は12%となっている(若年層に限れば20%を超える)。
昨年12月~今年1月、インフレと給料未払いで抗議行動発生

昨年12月~今年1月、インフレと給料未払いで抗議行動発生

イラン国内では2017年12月末から2018年1月にかけ、死傷者を伴う反政府抗議デモが相次ぎました。賃金未払いとインフレに対する抗議と発生したデモでした。
発生した地域は主に国内の貧しい地域でした。

抗議行動の参加者たちは、物価上昇と補助金削減によって自分たちの購買力が低下したと考えている。
「なぜ政府は、イラクやシリア、レバノンに国費を投じ、自国民のために使わないのか」
国への不信感が仮想通貨での資産隠しにつながる

国への不信感が仮想通貨での資産隠しにつながる

国が外交や防衛にばかり国費を使い、自国内に回そうとしないのならば、当然国民は疲弊します。
その不満は必ずどこかで爆発します。

人によってはデモと言うカタチで爆発させるかもしれません。
別の人は、「国が信用できないなら」と資産を仮想通貨に変え、いざなにかあっても守れるようにと海外に逃します。
仮想通貨は邦貨と違い、組織などの管理を必要としない匿名性の高い資産だからです。

国のありようが自分の生存や生活を脅かす状況になれば、人は中央銀行や政府の命令がどうであろうと、法を冒してでも生き延びる道を選びます。


イランが本来やるべきことは、民間仮想通貨禁止でも自国仮想通貨の発行でもなく、もしかしたら、旧態依然とした政治や経済の在り方への見直しなのかもしれません。

当サイトでは、売買に関してお勧めしているものではございません。資料としてご提供できる記事をお届けしております。ご自身でアクションを起こされる場合は、変更されているかもしれない情報を再度確認調査し、ご自身の判断での決断をお願いいたします。いかなる状況になろうとも、当サイトでは何ら責任をお取りすることはございませんことをご承知おきくださいますようお願いいたします。

【注意とお願い】無断転用・複写などされませんようお願いいたします。ご利用の場合は、当サイト名とURLのリンクを明記の上お願いいたします。

関連するまとめ

仮想通貨へ投資している人「たった3%」まだ成長余地あり|マネックスグループ最新調査結…

仮想通貨上位を見ていると、既に価格が上がっており「もう手が出せない」そんな感覚に追いやられてしまいますね。し…

仮想通貨まとめ編集部の志水 / 19266 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


ブログ「税理士がつぶやくおカネのカラクリ」(心理記事メインです)https://ameblo.jp/mayusuzu8/
Facebook:「おカネのカラクリ」または「税理士鈴木まゆ子事務所」
Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。