英バークレイズ、仮想通貨トレーディング事業を検討

投資銀行のバークレイズは、仮想通貨のトレーディングデスクの開設を検討しているとのことです。ただし、現在は「顧客の関心度合いがどの程度のものなのか」について調査中とのこと。具体的な計画は定まっていません。

ただ、ヨーロッパの投資銀行で仮想通貨のトレーディングデスクの設置を検討しているところはバークレイズが初めてだということです。

「われわれはデジタル通貨空間の動向を常に注視しており、この市場のニーズと目的について顧客と対話を続けていく」
スロスビー氏は昨年9月、リスクの高い取引における何十億ドル相当もの資本を認めることで「商業の情熱」を復活させると述べた。

バークレイズの利益の要を作るのは投資部門です。
その投資部門でリスクの高い取引を成功させれば大きな利益が見込めます。

そのリスクの高い取引の候補の一つが、仮想通貨トレーディングなのです。

感染症モデルで仮想通貨市場を分析していたバークレイズ

ジョセフ・アベーテ氏率いるバークレイズアナリストチームによると、ビットコインは疫病に例えることができる

バークレイズはすでに仮想通貨に関心を示していました。
2017年に一気に火が付いたビットコインの価格変動を感染症モデルにたとえて分析を行っています。

バークレイズのモデルは、ビットコインの潜在的な投資家を「感染しやすい人」「感染した人」「免疫を持っている人」に分類しています。

周囲の人間に大金が転がり込むのを黙って見ているのが好きな人はいないため、ビットコインの価格上昇と共にこの「感染症」が口コミで広がると仮定しています。

「仮想通貨投資の投機的なフロスの局面に加え、恐らく価格のピークも過ぎた可能性があると考えている」とバークレイズのアナリストは述べた。

「今後2万ドルを回復することはないであろう」とも予想。
ひと段落した今だからこそ、機関投資家としては参入しやすいと考えているかもしれません。

仮想通貨トレーディングは「業績回復」への一手か

格下げ、社員の不適切支出、業績不振に苦しむバークレイズ

格下げ、社員の不適切支出、業績不振に苦しむバークレイズ

「初心に戻って」というのはとても聞こえがいいのですが、実は台所事情があまりよくないバークレイズ。
2016年、一気に業績が悪化したバークレイズ。
イギリスのEU離脱とともに、後述するリテール・リングフェンシング規制などにより、事業再編の費用の膨張などが影響したものと見られています。

ムーディーズによる格下げ

ムーディーズにより格下げが行われました。
リングフェンス規制によるバークレイズの費用膨張とそれにともなう業績不振が背景にあるもようです。
ただ、方向性としては「安定」とのこと。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4日、英銀バークレイズの長期発行体格付けと無担保優先債格付けについて、「Baa2」から投機的格付け(ジャンク級)を1段階上回る「Baa3」に引き下げたと発表した。
ムーディーズは、2019年1月から施行されるリングフェンシング規制が、バークレイズを含む少数の英大手銀グループに影響すると予想。
リングフェンシング規制(リングフェンス規制)とは

リングフェンシング規制(リングフェンス規制)とは

「リングフェンス規制」は2014年からイングランド銀行が導入準備を進めていた金融規制だ。
複数の事業を展開している国際大手銀行に対し、リテール部門と投資銀行部門の分離を義務づけることで、金融機関の破綻などのリスクを最低限にまで分散させる
新規制導入にともないバークレイズは新たな子会社、バークレー・サービシズを設立。これまで分離されていたリテール(小口金融)部門と投資銀行部門が統合される。

この他、インドと南アフリカの管理部門の統合や社名変更、人員削減などが含まれます。こういった再編プロジェクトのコストは10億ポンド(約1404億8245万円)に達したと言われています。

セキュリティ部門責任者による不適切支出

英銀バークレイズの元情報セキュリティー責任者、トロエルズ・オーティング氏は、個人的支出を銀行に請求したことが発覚し、退職勧告を受けて同行を去った。

ごくごく僅かな問題ではありますが、こういったコンプライアンス意識の低下は企業の業績や風潮に影響を与えます。

「物言う」投資家の標的に

英銀バークレイズが、アクティビスト投資家エドワード・ブラムソン氏の標的候補の一つになった。同氏のシャーボーン・インベスターズがバークレイズの議決権5.2%を取得した。

さらにアクティビスト投資家がバークレイズの株とデリバティブを購入しました。
アクティビスト投資家とは、日本で言うところの「物言う株主」のこと。

株式を一定数購入した上で、経営に提言したり、増配や株主還元要求を行ったりします。

企業価値向上につながることもありますが、それは株主次第です。経営陣としては「舵取りがしにくく」なることもあります。

ジェス・ステーリー最高経営責任者(CEO)が再建に力を入れる投資銀行部門の業績はまださえない。

この投資銀行部門の業績回復の手段として仮想通貨投資は魅力的に映るのかもしれません。

日本市場でも振るわないバークレイズ

日本市場でも振るわないバークレイズ

日本市場でも成績はあまり芳しくありません。

2016年、バークレイズは一時日本株からも撤退していました。
バークレイズ証券が金融庁に提出した資料によれば、2017年3月期の純損益は87億円の赤字。過去3年間で最大となりました。

オフィススペースを縮小したり、大幅なリストラを敢行するなどしてコスト削減に努力してきました。2017年夏になり、ようやく人員を少し増やすことが可能になりましたが、それでも他の日本の民間銀行や金融機関よりも業績は落ち込んでいます。

現在は回復傾向にありますが、それでも「好調」とは言いがたいバークレイズの業績。
ボラティリティが高く、かつ、熱病時期が過ぎて価格が落ち着いている今こそ、実はトレーディング事業参入のよい機会なのかもしれません。

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鈴木まゆ子 / 1262 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。