米、仮想通貨の確定申告でパニック

米、仮想通貨の確定申告でパニック

アメリカの仮想通貨取引の確定申告が佳境を迎えています。
ただ、仮想通貨の計算方法をめぐってパニック状態になっている模様。

原因は米国IRS(日本の国税庁に相当)の指針が不明瞭なこと。
今日が米国の確定申告の期限なのですが、「義務だけ課されているけどどう計算したらいいかが分からない」という人が多いようです。

IRSは14年3月、仮想通貨が連邦税法上の「資産」にあたり、売買益だけでなく、給料として受け取った仮想通貨、仮想通貨による物・サービスの購入は課税対象になると通知した。

ちなみに、日本の場合、「仮想通貨で全額給与」という処置はアウト。
というのも、仮想通貨は「通貨」ではないからです。
定義が資金決済法でなされている程度なので、これまたグレーゾーンなのですが通貨でない以上「現物支給」にあたります。

そして日本では給与支払を「全額現物支給はNG」となっています。一部ならOKなのですが。

仮想通貨の分裂に伴う税務上の取り扱いや取得価格の算出方法は明記しておらず、申告にばらつきが生じると懸念される。

▼日本では明確にタックスアンサーで計算事例が公表されました▼

全体の譲渡益課税の20%が「仮想通貨売買益」の米国

米家計が17年に仮想通貨で手にした利益は920億ドル(約9兆8千億円)、納税額は250億ドルと推定される。すべての資産の譲渡益に対する納税額の約2割を占める

だからこそ、IRSの指針不明瞭で計算に悩む論点があります▼▼

原価の計算方法ひとつで混乱

原価の計算方法ひとつで混乱

今年確定申告をした人は分かるかと思いますが。。。

仮想通貨の売買を頻繁に繰り返している場合、「取得価格」をどう計算するかだけでもかなり違います。

先入れ先出し法なのか、後入れ先出法なのか、総平均法なのか、それとも移動平均法なのか、などなど。。。

これにより、原価も相当変わってきます。
また、会計の原則としては「一度採用した計算方法は次からも適用する」ことになっています。
損益計算に客観性や比較可能性を持たせること、税務面でみると「恣意的に所得額を低くしようとしないこと」が大事だからです。

しかし、日本と違い、米国IRSではこのような指針が出されていない模様。
そのため、こんな状況が出てくるとも言われています▼

バティージャ公認会計士は、算出方法で納税額に30万ドル(約3200万円)ほどの違いが出る例もあるという。
指針が不明瞭なため「納税者がより高い税を負担する例も多い」
不明瞭だからこそ「より保守的な計算方法を」

不明瞭だからこそ「より保守的な計算方法を」

だからといって「自分に都合のいい方法」を選択する人はあまりいない模様。
むしろ、あえて「保守的に」「高い税金になるよう」計算するケースが多いようです▼

妥当な節税方法でも、IRSとの紛争リスクを恐れ、税負担の高い保守的な方法をとる納税者が多いという。

仮想通貨取引の申告は「0.04%」とも

譲渡益20%の仮想通貨売買なのに、申告率は0.04%!?

譲渡益20%の仮想通貨売買なのに、申告率は0.04%!?

申告する人が保守的に、より高く譲渡益を計算する一方、「申告する人そのもの」で考えると、実はごく一部しか確定申告していないのではないか、とも言われています↓↓

確定申告期間が始まったばかりの18年2月の時点で、クレジット・カルマは25万人中100人、つまり確定申告を済ませた人のわずか0.04%が仮想通貨の売却益を申告した

背景には「確実な計算」「キャッシュの確保」か、それとも「リスクテイク」か

ただ、0.04%の申告率、というのはあくまでも2月の時点での話。
現時点は相当違ってきているかと思います。

早々に確定申告書を出せないのは日本の投資家も同じでした。
理由もまた、日本の確定申告で苦しむ仮想通貨投資家と似ています▼

「仮想通貨で得た利益を申告する際の煩雑さが知れ渡っているので、確定申告をする側は期限の直前まで申告を延ばさざるを得ない可能性が十分にある」
キャピタルゲイン税を支払うため現金を手元に置く必要に迫られた投資家が、仮想通貨を売却した

ちゃんと正確に所得計算をして納税したい、キャッシュも用意しなくては・・・・。


その気持ちは日米ともに同じです。

ただ、もう一つの可能性を示唆する声もあります。
それは、「無申告」「過少申告」もあるのではないか、という懸念です。

なぜかというと、投資家という存在自体がそもそもリスクテイクするからこそであり、「税」という社会的拘束力の強い場面においてもその傾向は変わらないだろうと考えるからです▼

「仮想通貨に関わる人々の大半は、相当高いリスクでも許容する傾向がある」

まとめ:法整備が急がれる一方、課税強化の傾向は強まる見込み

IRSは課税逃れを摘発する姿勢を強める。16年には米大手仮想通貨交換業者のコインベースに顧客情報の開示を要請。同社はこの3月、約1万4000人分の顧客情報をIRSに開示した。

今後、日本でも、税務当局が、アメリカと同じように仮想通貨交換業者に顧客リストや資産状況の提示を求めていく可能性は十分にあります。
税務調査は表面的には「任意」となっていますが、実質的にはよほどのことがない限り、拒否することは不可能です。

日本もタックスアンサーで計算過程などの明示が行われましたが、それでも混乱が生じました。
今後、更なる法整備が必要とされています。

と、同時に、「脱税」の手段ともなりやすいのが仮想通貨の現状です。
今後より一層、徴税漏れを防ぐべく、税務当局が目を光らせるのは日米ともに十分考えられます。

▼仮想通貨と税務当局の関係についてはこの記事を参考にしてくださいね▼

当サイトでは、売買に関してお勧めしているものではございません。資料としてご提供できる記事をお届けしております。ご自身でアクションを起こされる場合は、変更されているかもしれない情報を再度確認調査し、ご自身の判断での決断をお願いいたします。いかなる状況になろうとも、当サイトでは何ら責任をお取りすることはございませんことをご承知おきくださいますようお願いいたします。

関連するまとめ

ドイツ国民30%「仮想通貨に関心あり」|”確立された金融から自由になりたい”が最多、…

ドイツのPostbankが3100人のドイツ人対象に行った調査の結果、約30%が仮想通貨に関心があることがわ…

鈴木まゆ子 / 1303 view

関連するキーワード

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


ブログ「税理士がつぶやくおカネのカラクリ」(心理記事メインです)https://ameblo.jp/mayusuzu8/
Facebook:「おカネのカラクリ」または「税理士鈴木まゆ子事務所」
Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。