旅行業界がブロックチェーンに着目

金融や行政の分野でさらなる活用が見込まれるブロックチェーン。
物流もさることながら、旅行業界もブロックチェーンの活用に関心をもっています。

ルフトハンザやシティズンMホテルズといった旅行業界大手は新興企業と組み、大口法人顧客に対してブロックチェーンを使って仲介業者を通さずに団体予約をしてもらえないかという話を持ちかけている。

▼実際に、すでにブロックチェーン企業が旅行業界にプラットフォームを提案▼

旅行業界向けブロックチェーンを手掛ける企業の1つがスイスのワインディング・トゥリーだ。同社はルフトハンザやニュージーランド航空、シティズンMホテルズなどの大手と提携し、個人ではなく法人顧客を対象とするプラットフォームを構築している。
同社のプラットフォームは、航空便や客室に関する情報を統合するシステムに頼らずに、空席や空室の情報を顧客に開示できる仕組みを提供。そのため航空会社やホテルは、システムの利用手数料支払いを回避できる。

ブロックチェーンを活用することで、ホテルや航空会社はそれまで仲介業者に払うコストを圧縮することができます。
メリットはそれだけではありません。

旅行者にとっての「安心」「安全」「スピード」といったプラス面があります▼

ブロックチェーンを使うとどうなるか|顧客としての「皮膚感覚」は

ブロックチェーンはデータが一元的に管理されるのではなく分散型台帳として開放されるため、旅行提供会社と顧客を直接結び付ける新たなプラットフォームを構築する機会が提供される。

ではここで、実際にブロックチェーンを使った場合、旅行がどのようになるかのイメージをみていきましょう。

旅行マネジメント企業 ATPI で商品開発および実装部門(スカンジナビア地域)の責任者を務めているTrond Vidar Bjorøy 氏がThe Bridgeに寄稿した記事を引用します。

ブロックチェーンのポイント①勝手に改ざんされない

情報はブロックチェーン上にあり、認証可能で改ざんされることがない。出張中の私にタッチポイントがあるサプライヤーは全て、必要な時に同一のデータベースに接続して私のデータにアクセスできる。
例えば、TMC は通常私の連絡先や旅行に際しての好みの情報を必要としている。一方、航空会社は予約認証のために私の身分を確認する必要がある。さらに入国審査では、パスポートもしくはビザの情報が必要だ。

ブロックチェーンのポイント②個人情報の持ち主がコントロールできる

ここで美しいのは、どのデータを、誰にそしていつシェアするか私自身が決定していることだ。
私は異なるデータを異なるサプライヤーにシェアすることができ、まさにその瞬間に、先方が必要としている情報を提示できる。スマート契約を活用して、台帳にコード化された条件付きロジックのように特別な許可を設定することもできる。それは、私の情報や文書に誰がいつアクセスできるかを定義付けすることだ。情報は私のウォレットにあり、必要な時にいつでも利用できる。ここでは、自由、プライバシー、セキュリティが美しく1つにまとまっている。

ブロックチェーンのポイント③他の組織に個人情報を左右されない

そして、私のビッグデータが会社のデータベースの中でふらふらと浮遊するようなことはない。私のデータはプライベートだ。実にありがたい。

▼参考:これも自己主権型IDと言えますね▼

ブロックチェーンのポイント⑤大幅なコスト圧縮

ホテルや航空会社側が仲介業者に払っていた手数料が引き下げになるということは、それが旅行代金に反映される可能性は大いにあります。
つまり、ブロックチェーンシステムの活用によって、「より海外へのハードルが低く」なるのです。

ブロックチェーン×旅行業=仲介業の手数料引き下げ、衰退か

ただし、ブロックチェーンによる効率化はいいことだけではありません。
これまで「便利でラクな旅」を提供してきた旅行仲介業者__エクスペディアなど__は、ブロックチェーンによってその存在が骨抜きにされることになります。

事実、仲介業者へ支払う手数料の引き下げも発表されました。

ホテルの宿泊予約で仲介業者へ支払われる手数料は最大で宿泊料の25%となる場合もあり、既に手数料の引き下げを巡る攻防が展開中だ。ホテル運営大手マリオットは今月、エクスペディアを皮切りにOTAへ支払う手数料を引き下げる方針を発表した。
ワインディング・トゥリーのマクシム・イズマイロフ最高経営責任者(CEO)は、仲介業者は新たな技術を踏まえて、手数料体系を見直すなどビジネスモデルを修正しなければならなくなると指摘。OTA各社は手数料率を現在の20─25%前後から5%程度に引き下げざるを得なくなる可能性があるとの見方を示した。

ブロックチェーン推進派は強気。
一方、既存の仲介業者側も負けてはいません。

「ブロックチェーンに我々の業務は代行」できないとしています↓↓

セイバーのディレクター、フィリップ・リケンズ氏は、複数の情報源を統合して予約を可能にする仕組みは、ブロックチェーンでは実現できないと主張した
トラベルポートのバイスプレジデント、トニー・ハード氏は、ブロックチェーンを使った取引は従来の手法ほど短時間で終わらないと指摘。「取引が確定するのに10分も待たなければならないのなら、リアルタイムの環境とはなり得ない」と疑問を呈する。
まとめ

まとめ

個人的な感想ですが、仲介業者側がいうところの「ブロックチェーンの問題」は遅かれ早かれ解決されるのではないか、と思います。
というのも、これまでの技術革新も「登場時点では不完全」でした。
実用化などにより、問題点が発覚、その都度改良し、今ある「スマホ」「タブレット」のような快適かつ便利な通信環境が整ったのです。

1年2年ではまだ結論は出ませんが、10年後はおそらくID管理は大きく変わっているでしょう。
そのとき、仲介業者が既存システムに固執していたらどうなるか?

現状を見つつも、今後への対策を考える必要はありそうです。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

個人だけでなく、国としても注目のアイテムなのが仮想通貨です。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。