ベネズエラ政府、新法定通貨「ボリバル・ソベラノ」を仮想通貨ペトロと連動

10000%にもなろうかというハイパーインフレに苦しむベネズエラ。

今月17日、マドゥロ大統領は95%の通貨切り下げを発表しました。

政府は通貨切り下げと同時に通貨の単位を5桁外すデノミを行う他、新たな通貨「ボリバル・ソベラノ」の導入し、通貨の名称変更を実施とのことです。

この「ボリバル・ソベラノ」は、ベネズエラの仮想通貨「ペトロ」と連動しており、

財・サービスの通貨単位も給与や年金の支払いも”独自仮想通貨ペトロで”

これだけではありません。

新法定通貨そして独自仮想通貨の信頼を高めたいのでしょうか。

マドゥロ大統領は、テレビ演説で、給与や年金の支払い手段としてペトロを導入するだけではなく、モノやサービスの通貨単位をペトロにすると発表しました。

次の月曜(20日)からベネズエラは、ペトロの価格、つまりペトロの価値に根ざした第2の計算単位を使用する。
国の第2の計算単位となり、我が国の石油会社PDVSAではこの計算単位を使用することが義務となる
ペトロに基づいた新しい給料と価格の制度を導入することは、「労働者の収入の大幅な改善を意味」し、「最大小売価格が再び現れる」手助けになる

投資家からは批判と困惑が相次ぐ仮想通貨ペトロ

ただ、このベネズエラ政府の対応に投資家たちは困惑しているとのこと。

「ペトロ」は、ベネズエラの比較的小規模な油田で産出された原油の予想価格が連動する。

理論的に1「ペトロ」は1バーレルに等しくなるべきだ。

この他、「ほとんどの取引所に上場していない」「デジタル資産は貯蓄の手段としては不安定」、そして「ベネズエラの独自仮想通貨ペトロはアメリカ政府により保有が禁止されている」といった要素が、投資家から敬遠される要素となっています。

さらに、この政策についてハイパーインフレーションに詳しいジョン・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク教授は、次のように批判しています。

「これはベネズエラがよくやるゴマカシだ。ペトロの問題は、ペトロは詐欺であって取引すらされていないということだ」

さらに、イギリス紙インディペンデントによれば、仮想通貨の専門家であるフアン・ビリャベルデ氏は仮想通貨ペトロを次のようにバッサリ▼

ペトロは価値のないトークンであって、ベネズエラの税金を支払うために使えるようになるかどうか分からない

新政策もペトロもボリバル・ソベラノも無意味__国民は絶望と生き残りへ

マドゥロ大統領も起死回生を狙ってハイパーインフレをどうにか収束させたく、次々と新政策を打ち出すのでしょう。

しかし、「うまくいくはず」と信じているのは同大統領とその側近だけかもしれません。

ロイター通信では次のような批判が出ています。

マドゥロ大統領の政府は有能とは言えない。

そして、ベネズエラ国民も同政策を歓迎してはいないようです。

多くの一般労働者は、ハイパーインフレや深刻な食糧不足、当てにならない公共サービスを抱えたこの国がすぐに安定を取り戻すとは思っていない
「これはどれも効果がないと思う。マドゥロ(大統領)は物価が上昇しないと話している。だが発表の3日後には上昇していた」
「政府には私たちをこの悪夢から救い出す計画が何もないことが分かってきた。最悪だ」

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鈴木まゆ子 / 2167 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。