メタップスのICO処理を巡り監査法人と長時間の議論

メタップスのICO処理を巡り監査法人と長時間の議論

仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)に関する会計処理問題が浮上している。
きっかけが15日に決算発表した、決済代行サービスなどを手掛けるメタップス。昨年ICOを実施したが、会計処理を巡り監査法人との協議が難航。深夜に決算を発表する異例の事態となった。
メタップスはICOで10億円調達

メタップスはICOで10億円調達

ICOとは、多くの方がご存知のように、自社でトークンを発行し、それをビットコインなどの仮想通貨で資金を調達する方法です。
株式などと違い、ルールがほとんどないため、現在新たな企業の資金調達方法として注目を集めています。

今回問題となったのは、メタップスがICOで調達した資金の処理方法なのです。

メタップスの場合、ICOで得た資金を貸借対照表(BS)上の負債として取得時価格で計上した。だが前例は少なく「どの勘定科目に計上するかを含め、見当がつかない」(公認会計士)との声もある。BS計上時の価格や、イーサリアムの値上がり益をいつ計上するかも問題となる。
仮想通貨の会計処理類型は2つ

仮想通貨の会計処理類型は2つ

今回テーマになっているものを含め、仮想通貨に関する会計処理は大きく分けて2系統に分けられます。

1つは、仮想通貨そのもの。
これは、普通に売買したり、モノを買ったり、あるいは他の仮想通貨とトレードしたり…というところです。
これは皆様もよくご存知、かつ確定申告で四苦八苦しているところでもあります。

もう1つが、ICO関係。
実は、こちらはまだ未解決なのです。ASBJも国税庁もいまだ方針については発表していません。

ICOによる資金調達の会計処理案

ICOによる会計処理案には3つ浮上しています。

1. 収益計上

独自のデジタルアセット(独自暗号通貨(トークン))を販売したと考えれば、トークンセールの名のとおり、会計上はセールス(売上)として認識。この場合、税務は課税です。
2. 負債計上

例えば「預託金」的な性質を持つ場合などであれば、会計上は負債として認識し、税務上も課税されないケースが出てくるのではないかと思います。

メタップスが最初行っていた会計処理はコレです。これが監査法人の目にとまり、長時間の議論にいたるまでになりました。

3. 資本計上

現行の法人税法第2条第16号、法人税法施行令第8条を読む限り、「資本等取引」に該当させることができないと思いますので、これは、少なくとも日本の税務では不可能だと思います。

資本計上は原則株式の発行がルールとなっています。ICOはあくまでもトークンであり、株式ではありません。したがって、資本計上という処理はありえません。

「負債」計上か「売上」計上か__処理方針の明確化が急がれる

「負債」計上か「売上」計上か__処理方針の明確化が急がれる

日経などで出ている情報には詳細までは書かれていませんでしたが、おそらくこの2つのいずれにするかで議論が行われていたのではないかと思われます。

売上にすれば、当然その分法人税は膨らみます。また、トークンは支払手段としての機能を持たないのでモノに過ぎません。
上場企業なら関係ないかもしれませんが、中小企業や個人事業主ならば、原則翌々年から消費税の課税対象者となる可能性もあります。


ちなみに、余談ですが、税務上であれば、トークン発行による資金調達は「雑収入」としての売上計上をするのが筋です。
というのも、トークンには返還義務がないからです。
また、トークンそのものは、先述の通り「モノ」にすぎず、支払手段ではないため、消費税の課税対象ともなります。

ともあれ、法律面、会計面、そして税務面でのICOの取扱いをどうするかについて解決が急がれるところです。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。