所得控除で節税!の続き

所得控除で節税!の続き

「仮想通貨の確定申告で節税」の続きです。今回は所得控除の後編となります。
所得控除の項目は多く、全部で12種類です。それもあってか、多くの人はざっくりしたイメージで控除項目を記入したりしなかったり…です。

一方、控除にはそれぞれ細かい税法条文がついています。単なるイメージで控除しているのではないのですね。きちんと根拠があるからこその控除です。

具体的な内容を見ずにやってしまうからこそ、節税もれやミスが発生しやすいとも言えます。

今回も、そんな節税ポイントについてのお話になります。

※これまでの「仮想通貨の節税方法」の記事※

所得控除について

今回は、前回に引き続き、所得控除について書いていきます。

勤労学生控除

バイトなどで稼いでいる学生さん向けだけど。。

バイトなどで稼いでいる学生さん向けだけど。。

最近多い仮想通貨投資家の中には大学生の姿もチラホラ。
その中には、この規定の適用対象になる人がいるかもしれません。

納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。
 勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。

(1) 給与所得などの勤労による所得があること

(2) 合計所得金額が65万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること

 例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。

(3) 特定の学校の学生、生徒であること

 この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。

イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

ここでいう「給与所得などの勤労による所得」とは、実際には、「自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得または雑所得」のことをいいます(所得税法第32条)。
また、「(1)の勤労に基づく所得以外の所得」は、その他の不動産所得、利子所得、配当所得、譲渡所得、一時所得、山林所得をいいます。

つまり、仮想通貨の投資だけで稼いでいる場合、「所得=総収入金額-必要経費」が65万円以下ならば、勤労所得控除が受けられることになります。

では、バイト代が別途ある場合はどうでしょうか。
ここで書いてあるのは、それぞれの所得額ではなく、合計所得金額ですので、バイトでの給与所得と仮想通貨投資による所得(雑所得)の合計が65万円以下でなくてはなりません。

バイト代が仮に年間100万円で仮想通貨投資による所得が30万円だとします。

1.給与所得

100万円ー65万円(※)=35万円

※100万円×40%=40万円<65万円  ∴65万円が所得控除
(参考URL:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1410.htm)

2.仮想通貨投資による雑所得

30万円

3.合計所得金額

35万円+30万円=65万円≦65万円   ∴勤労学生控除適用OK

このようにして考えていきます。

稼ぎすぎは親への迷惑がかかることも

稼ぎすぎは親への迷惑がかかることも

億り人になった学生さんは別ですが、そうでない方の場合は、一度適用可能かどうかを検討してみてもよいかもしれません。
ただ、以前の記事にも書きましたが、稼ぎすぎはかえってデメリットを生むこともあります。
特に、親御さんの扶養控除から外れることになるため、親御さんが税制上不利になることが予想されます。

投資も自分の人生も自己責任です。自己責任には周囲への配慮という点も含みます。

税法上のメリットを考えると同時に、親御さんと一度話し合いをきちんとすることをおススメします。

※学生の仮想通貨投資に関する過去記事※

配偶者控除、配偶者特別控除

また、「自分の妻が仮想通貨投資をしているんだけど、これで配偶者控除が外れたりしたらどうしよう」と考えるかたもいらっしゃるかもしれません。
よくある誤解が

「103万円を超えなきゃいいんでしょ?」なのですが。。。。

それはあくまでも給与所得(バイトやパート、正社員など)のハナシ。

仮想通貨は事業所得OR雑所得ですので、ちょっと事情が違います。

控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。

(2) 納税者と生計を一にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

※ 平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

ここでは「合計所得金額」が要となります。
給与でなぜ103万円がカギかというと、以下の算式があるからです。

103万円-65万円(給与所得控除、所得税法上の必要経費)=38万円 ∴給与所得額38万円(これしかないなら、これが合計所得金額)

38万円-38万円(基礎控除)=0円  ∴課税所得金額0円

つまり、給与所得が103万円以下ならば、自動的に課税所得金額が0円になり、課税の対象から外れます。

が、これはあくまでも給与所得だけの話。


他の所得は、それぞれの計算式があります。
事業所得と雑所得に至っては、総収入金額-必要経費=所得額として計算します。

仮に妻の仮想通貨投資による売却額と必要経費が以下だったとしましょう。


売却額:200万円

必要経費:
 取得価額 150万円
 書籍代   10万円
 その他経費 5万円

この場合の雑所得あるいは事業所得の計算式は次のようになります。

200万円-(150万円+10万円+5万円)=35万円

35万円≦38万円     ∴合計所得金額35万円、配偶者控除の適用アリ

給与所得とは異なる計算式となります。

配偶者控除がダメなら配偶者特別控除を検討

配偶者控除がダメなら配偶者特別控除を検討

「じゃあ、38万円超えたら税金のメリットまったくなくなるの?」

いいえ、そんなことはありません。
度合いは減りますが、メリットは多少なりとも享受できます。

次の規定があるからです↓↓↓

配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。
 なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。
配偶者特別控除を受けるための要件

(1) 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。

(2) 配偶者が、次の五つの要件すべてに当てはまること。

イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 他の人の扶養親族となっていないこと。
ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満(注)であること。

(注)平成30年分以後は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であることが要件になります。

配偶者特別控除の場合、納税者にも所得制限がかかります(なお平成30年以降は、配偶者控除であっても、納税者本人の所得制限がかかります)。

これらの条件に自分がクリアするかどうかをまず検討してみてくださいね。

※参考リンク※

また、奥さまご本人の稼ぎについては下記のような注意点があります。
ご参考までに、よろしかったらご覧くださいね↓↓↓

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

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こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。