仮想通貨で決済OKとしている個人事業主は意外と多い

仮想通貨で決済OKとしている個人事業主は意外と多い

今年はビットコインを始め仮想通貨高騰の1年でした。
そして、これと並行して、「仮想通貨決済OK」とする個人事業主さんも増加。

来年はもっと増えるかもしれません。


ここで気にしておきたいのが「売上の計算どうするの?」。

先日の国税庁FAQで前提としているのはあくまでも

「自分でお金出して仮想通貨買って、売ったり使ったり他の仮想通貨に変えたりしている人」や
「マイニングして自力で稼いでいる人」

の場合でした。
ざっくりしすぎて、「フリーランスが仮想通貨で売上建てた場合はどうしたらいい?」とかまでは言及していないのです。

仮想通貨での売上の処理方法

考え方は「外貨で売上建てたとき」と同じ

考え方は「外貨で売上建てたとき」と同じ

考え方のポイントですが、基本的には「外貨で売上もらったとき」と同じです。
つまり、受け取った日のレート(1単位当たりの時価)で計算します。

なぜかというと、「仮想通貨は金商法でいうところの金融商品ではないけれど、その存在に限りなく近いから」です。

ちなみに、事業所得での売上(総収入金額)の考え方は次の通りです↓↓↓

(1) 総収入金額

 総収入金額には、それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、次のようなものも含まれます。

イ 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額

ロ 商品を自家用に消費したり贈与した場合のその商品の価額

ハ 商品などの棚卸資産について損失を受けたことにより支払を受ける保険金や損害賠償金等

ニ 空箱や作業くずなどの売却代金

ホ 仕入割引やリベート収入

ここで特に注意したいのがイです。

つまり「日本円」以外で、事業対価としてもらったモノや権利も総収入金額に入ります。

ぶっちゃけ言うと、「サービスを行ってその対価として金の延べ棒もらったら、その金の延べ棒の時価を売上計上してね」ということです。

「ビットコインは日本円じゃないから計上しなくてOK」なわけではありません。

1:もらった仮想通貨をそのまま利確せず残しておいた場合

1:もらった仮想通貨をそのまま利確せず残しておいた場合

たとえば、サービスを提供して、もらった仮想通貨をそのまま残しておいた場合は次のように計算するのが妥当かと思われます。


例)コンサルしてその対価として1BTCもらった

コンサルした日:8月13日

対価を貰った日:12月1日

貰ったビットコイン:

8月13日時価…400,000円/BTC
12月1日時価…1,000,000円/BTC


この場合、発生主義(青色申告65万円控除、青色簡易簿記、白色申告)で計算するか、現金主義(白色申告・青色簡易簿記・青色現金主義)で計算するかによって計算処理方法が異なります。



【発生主義の場合】

8月13日(借方) 売掛金 400,000  (貸方) 売上  400,000
12月1日(借方) 仮想通貨 1,000,000 (貸方) 売掛金 400,000
                              仮想通貨差益 600,000

※発生主義では役務提供(この場合はコンサル完了)の時点で売上計上します。
そして実際入金した時に差損益を計上。
ちなみに、「売上」「仮想通貨差益(実際には「その他売上」「雑収入」になるかと)」のいずれも課税対象です。


【現金主義の場合】

12月1日(借方) 仮想通貨 1,000,000 (貸方) 売上 1,000,000
                              

現金主義の場合、ベースが現金出納帳や実際に入金した日に計上します。

2:利益確定した場合

2:利益確定した場合

利益確定した場合は、単純に

「(借方) 現金(または普通預金) ○○円(貸方)仮想通貨 ○○円」

となります。が、その場合も差額が発生するかと思います。
その仮想通貨が事業用であるか、それとも生活用であるかで異なります。

たとえば、上記の例で 12月8日に利確したとします。
12月8日時点での1BTCあたりの金額が2,000,000円だとしたら、計算は次のようになります。

【事業用の仮想通貨】


(借方) 現金 2,000,000円  (貸方) 仮想通貨 1,000,000
                        仮想通貨差益 1,000,000

【生活用の場合】

(借方) 事業主貸 1,000,000円 (貸方) 仮想通貨 1,000,000円

※この後、雑所得として仮想通貨の利確を計算していきます。


ちなみに、どちらの扱いにしたところで、もし事業に損失が出ている等ではない場合、課税金額は変わりません。
事業が赤字でかつ65万円控除が使えるのならば、事業所得として扱う方がよいでしょうね。
ただ、実際に税務調査に入られた場合は、「事業用仮想通貨であることの裏付け」を丁寧にみられていくことになるのではないでしょうか。

なお、この「事業主借」「事業主貸」は、個人事業主につきものの「生活費勘定科目」です。
経費の生活関連費との按分や、生活費にいくらいれたかなどのときによく使います。

ちなみに、事業用仮想通貨でプライベートの何かを買った場合には、次のような仕訳になるかと思います。

仮想通貨を決済として受け取った日:8月13日
                同日時価:40万円/BTC

プライベート費を0.5BTC支払った日:12月1日
               同日時価: 100万円/BTC



(借方) 事業主貸  500,000円 (借方) 仮想通貨   200,000円※
                         仮想通貨差益 300,000円

※400,000円×0.5BTC=200,000円

あるいは、先ほどの生活用と同じく先にプライベートに振り替えて、その後雑所得として申告するのもOKです。

2回以上の利確は原則移動平均法、ただし継続適用するなら総平均法もOK

2回以上の利確は原則移動平均法、ただし継続適用するなら総平均法もOK

個人事業主が決済で仮想通貨を受け取った場合、利確するのはおそらく2回以上になるケースが多いのではないかと思います。
仮想通貨そのものを日常生活で決済手段に使える場面はまだ少ないからです(増えてはいるけど)。

この場合、先日のFAQにのっとり、原則は移動平均法で計算することになります。
しかし、毎年継続適用するなら総平均法で計算するのもOKです。

↓↓↓↓参考リンク↓↓↓↓

めんどうだけど適切な確定申告を

めんどうだけど適切な確定申告を

仮想通貨は時価変動が激しいのが、確定申告の際のネックになるかと思います。
その都度の時価を算定するのが非常に面倒だからです。

そのため、なるべく早く、計算の準備(時価資料をそろえる、マメに帳簿をつけるなど)をしておくことをオススメします。

注意事項

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鈴木まゆ子 / 6552 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

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こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問についてお伝えしたいなと考えています。


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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。