マドゥロ大統領は3日に国営テレビで、「ペトロ」という自国仮想通貨を導入することを発表しました。
ハイパーインフレや外貨不足などに困窮するベネズエラ。
既存の通貨「ボリバル」の価値が下落する一方、ビットコインへの需要が高まっています。
今回、大統領はその有用性に着目した模様です。

南米ベネズエラのニコラス・マデューロ大統領が3日、石油、天然ガス、ダイヤモンド等のコモディティ備蓄をベースとした官製仮想通貨「ペトロ」を発行すると発表した。
自国通貨ボリバルの下落が止まらない中で、仮想通貨「ビットコイン」のベネズエラ版を想定しているとみられる
ベネズエラは650%超のインフレ率

ベネズエラは650%超のインフレ率

ベネズエラは元々石油などを保有する資源大国です。
その石油による収入が主たる財政源でした。
しかし、2014年から始まる原油安により財政が悪化、対外債務が膨れ上がりました。
そして、積極的な経済政策を行わなかったがために、現在、経済破綻の一歩手前までに陥っています。
さらに、今年の夏から始まったトランプ政権による経済制裁で、現在インフレ率は650%超(IMF予測)。国内はデモなどで混乱し、国民は飢餓に陥っています。

↓↓↓参考:ベネズエラのこれまで(仮想通貨まとめ過去記事より)

14年夏に原油相場の下落が始まってから、ベネズエラ経済は衰退の一途をたどってきた。原油価格はだいたい10年ごとに高騰と暴落を繰り返す。だから現在の原油安も当分続くだろう。

マドゥロ大統領は、国家仮想通貨「ペトロ」で経済回復を一気に行う意気込みですが...現実はそう甘くはないようです。

経済は国内だけで回るのではありません。
商取引がグローバル化した現代、海外との輸出入など、経済的な関係が良好であること、そして利益が見込めることで、初めて国内も潤うのです。

しかし、現ベネズエラ政権はマドゥロ大統領の独裁政権です。
彼の独裁がベネズエラの民主主義を損なうと判断したトランプ政権は、マドゥロ大統領の米国内の資産の凍結や直接の取引を禁じるようになりました。

おそらく、大統領が交替しない限り、ベネズエラ経済の回復も見込めないでしょう。
通貨政策だけで切り抜けられるほど、ベネズエラの困窮は軽くはないのです。

極端な経済危機に対しては政策の選択肢などほとんどないものだ。大事なのは予算の均衡を実現すること。短期的に税収増は望めないから、歳出を削減する。決め手は物価補助金の撤廃だ。対外援助も切れば、政府の収支は均衡するかもしれない。
「仮想通貨政策で乗り越えられるか?」__懸念と本質

「仮想通貨政策で乗り越えられるか?」__懸念と本質

そして、既存通貨の信用が落ち、価値が下落しているからといって、新たに仮想通貨を導入したところで、経済がどうにかなる可能性はあまり高いとは言えません。

通貨は国家の信用度を表します。
それは仮想通貨であるか、現金であるかを問いません。
通貨政策がもし経済政策の役に立つとするなら、それは活動している経済をより活発化させ利便性を向上させるという点にあります。

そして、今回のベネズエラ仮想通貨政策は、かつてのソ連と同じ轍を踏む恐れがあります。
なぜかというと、「どちらも独裁国家だから」です。

どうやらベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領も、ソ連と同じ財政・金融政策に固執しているようだ。
ソ連政府は通貨ルーブルの法定平価を非現実的に高く設定しようとした。闇レートの5倍くらいの高さだった。目的は、国民に「豊かさ」の錯覚を抱かせることにあった。
だがそのためには食品などと同様に、外貨の購入に国費をつぎ込む必要があった。だから歳出が増えて財政赤字は膨張し、通貨の闇レートは急降下した。
やがて国民は闇レートこそ現実の相場だと思い知るようになる。91年12月、ついにソ連崩壊という時点で、ロシア人の月収は米ドル換算で平均6ドルという悲惨な状況だった。今のベネズエラもその方向に進んでいる。
国民はマイニングで急場をしのぐ

国民はマイニングで急場をしのぐ

そしておそらく国民も「自国の通貨には価値がない」ことは重々承知でしょう。
かりに仮想通貨を新規発行して、「これには価値がある」と独裁政権が主張したとしても、多くの国民はそれを信じないことと思われます。
もし、国家の信認が落ちていないのなら、国民は海外に逃亡したり、連日デモを起こしたりなどしないからです。

だからこそ、経済が困窮した対策として、マイニングで急場をしのごうとしているのです。
それは、ビットコインをはじめとする仮想通貨が国家通貨よりもはるかに信認がおける表れとも言えます。

外貨である米ドルを調達する方法も乏しく、ボリバルの価値が日に日に減価していくことに耐えかねもはや自国通貨への信頼をなくしたベネズエラの人びとは、ビットコインで日銭を稼ぐことに活路を見出しているようだ。ベネズエラの電気代には助成金が出ており、殆ど無料で電力を使用できる。

そして、誰も彼もがビットコインマイニングをするようになると、政府もこれを見とがめて取り締まるようになります。
すると、今度はイーサリアムマイニングへ。
ビットコインほど大掛かりなマイニングマシンを必要としないからです。

現在はイーサリアム(ETH)のマイナーが増えてきており、警察に見つからないように大掛かりなマイニングリグを設置せず、PCにグラフィックボードを挿して、普通のPCと見分けがつかないようにしているという。
まとめ|通貨政策の使いどころを見誤ってはいけない

まとめ|通貨政策の使いどころを見誤ってはいけない

今回のベネズエラの仮想通貨発行は、これまでお伝えしてきたスウェーデンや先進国諸国の国家独自の仮想通貨発行と一線を画すように感じます。
先進諸国は、偽金防止や発行コストの削減、さらに国民の経済生活の利便性の向上などが狙いでした。既存の通貨は、現金であろうと仮想通貨であろうと使われているのです。
今回のベネズエラについては、既存通貨の現金への信用が下落したから仮想通貨にしてイメージを一新しようとしているにすぎないように感じます。
裏付けは自国資源の石油や金、ダイヤモンドだ___と言われても、海外との輸出入がうまくいかず、かつ、対外債務が膨張している国の資源をどの国が積極的にほしがるでしょうか。
私見ですが、今回のベネズエラの通貨政策は、デノミネーションと類する、「国にとっては都合がいいけど国民にとってはありがた迷惑な」ものにしかならないのではないでしょうか。

ベネズエラ経済の根本解決が望まれるところです。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 2017 view

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鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。