発言が二転三転するゴールドマンサックス

発言が二転三転するゴールドマンサックス

多くの機関投資家がビットコインをはじめとする仮想通貨投資について積極発言をする中、投資銀行ゴールドマンサックスはスタンスが二転三転しています。

投資に関して積極発言をしたかと思えば、「静観する」姿勢を見せるなど。。。

また、そうは言いながらも、元GS投資家は億単位の利益を仮想通貨で稼ぎだしていたりします。

11月30日「GSにはまだビットコイン戦略は必要ない」

米ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は、同社はまだ仮想通貨ビットコイン戦略を必要とする段階ではないと述べ、ビットコインを価値貯蔵手段と考えていないことを明らかにした。
「1日に20%上下する動きは通貨という感覚ではなく、価値の貯蔵手段のようには感じられない」
「それが解決してさらに定着し、もっと価値の貯蔵手段のように取引され、20%も上下せず、流動性が備われば、われわれは乗り出す」

11月29日「ビットコインは『流動性のない金』」GS商品調査担当発言

Goldman’s Jeff Currie Says Bitcoin Is a Commodity - YouTube

出典:YouTube

そんな発言の1日前、GSの商品調査部門の責任者であるJeff Currie氏は「ビットコインはコモディティ(商品)だ」とし、ボラティリティは流動性が不足しているだけであって、本質的な存在価値は金と大して変わらないと答えています。

ちなみにこの頃、経済学者のステイグリッツ氏を始め、著名投資家や学者がこぞって「ビットコインはバブルだ」「非合法にすべきだ」発言があちこちで聞かれていました。

「仮想通貨ビットコインは、金に多くの点で類似する商品であり、投資家の不安に拍車を掛けているボラティリティーは流動性の不足に主に起因する」
「証券のような法的責任が本質的に付随していないという意味で、ビットコインは「金と大した違いはない」」

11月7日、ビットコイン高騰につき警告を発するGS

そして11月上旬、ビットコイン価格の急激な上昇について、GSのアナリストは投資家の強気に対して警告を発しています。

仮想通貨ビットコインは8000ドルに到達するかもしれないが、これが当面の高値になる可能性があると、ゴールドマン・サックス・グループのアナリストらは予想している。
シェバ・ジャファリ、ジャック・アブラモウィッツの両テクニカルアナリストは5日に配布したリポートで、この水準を超える上昇に賭けることに対してトレーダーに注意喚起した。

そして同じ頃、GSのCEOは静観発言をしています。

ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファインCEOはビットコインについてどう考えるべきか決めかねているが、現時点でこれを切り捨ててしまうことは望んでいない。
「その昔、5ドル金貨は5ドル分の金が含まれているから5ドルだったが、今の紙幣は中銀の権威を裏付けとしている。新世界では人々のコンセンサスを裏付けとした通貨もあるかもしれない」
「そして今では、紙切れが国家(フィアット)によってのみ担保され、政府がその価値をきめている。だが今後の新しい世界では、コンセンサスを利用した仕組みを通して、人々が合意のもと価値を決めるかもしれない。これは現在ソーシャルメディアで行われているようなことで、私自身にとっては馴染みのない世界だ」
 「あらゆる新しいものに対してそうであるように、(ビットコインに対して)一定の不快感はもっている。しかし長年の経験で学んだことだが、私が好きではないことがとてもうまくいくことがよくある」

「ビットコインに未来はある気がする。でも、まだ行動を起こしていいかどうかが分からないから静観中」といったところでしょうか。

このインタビューの前の10月、GSは仮想通貨関連事業に参入することを検討していると発表しました。

10月、仮想通貨関連業務への参入を検討__GS

米金融大手のゴールドマン・サックスがビットコインなど仮想通貨の関連業務への参入を検討している。ゴールドマンは「顧客の仮想通貨への関心が高まっていることへ対応し、こうした分野でどのようにサービスを提供するのが最善かを検討している」と話している。
検討は初期段階だとしている。将来的には仮想通貨の値動きを解説したり、顧客の注文を受けて売買を手がけたりするほか、買い手と売り手をつなげるマーケットメーカーの役割を担う可能性もある。

GSの二転三転の背後にあるもの

関心をもち、さらに将来性を感じながらも、静観姿勢を保ち続けるGS。
積極姿勢を見せるCMEやCBOE,JPモルガンとは一線を画します。
その背後には何があるのでしょうか。

背景1:既存市場で成績がた落ち

今年に入り、コモディティ(商品)と為替市場のボラティリティの低下を背景に、同社の債権部門も今年6月までの前半期の売上が前年比で21%下がるなど苦戦しており、ビットコインの激しい価格変動に魅力を感じている可能性もある。

ボラティリティとは資産価格の変動の激しさのことを言います。

価格変動が大きければ大きいほど、うまくコントロールできれば大きな利益を上げることができます。
しかし、既存市場はすでに規制がなされていることもあり、なかなか大きな利ザヤを稼ぐことは難しいものです。
株式に限って言うなら、10年かけて価格が3~5倍になるところが、仮想通貨では1年で10倍以上になることも珍しくはありません。

この価格変動の激しい仮想通貨市場に魅力を感じているのはGSの本音としてまず間違いなさそうです。

背景2:ホワイトハウスとの微妙な関係

ワシントン・ポストは、強欲なウォール街が政府と結託し、中間層を苦しめていると選挙キャンペーン中に厳しく批判したトランプ大統領が、ゴールドマン・サックス出身者をまた新たに起用したと報じました。これで5人目だとしています。
ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権の中枢にゴールドマン・サックス出身者が集中、ゴールドマン・サックスが政策に影響力を持ち、恩恵を受けるのではないかとの疑問が生まれたと解説しました。
トランプ政権にはGS出身者が多数

トランプ政権にはGS出身者が多数

現トランプ政権にはGS出身者が多いことが指摘されています。

財務長官にゴールドマン出身のスティーブン・ムニューチン氏。
国家経済会議(NEC)委員長にゲーリー・コーン前ゴールドマン社長、
首席戦略官にスティーブン・バノン氏、
大統領補佐官兼上級顧問(経済イニシアチブ担当)にディナ・パウエル氏。
バノン、パウエル両氏もゴールドマン出身です。

ホワイトハウスとの連携が強くなるということは、その分、GSが享受するメリットが大きいことにつながります
(ちなみに、アメリカの政財界の癒着っぷりは日本の比じゃありません。ロビイスト活動なくしてアメリカの政治は成り立たないくらいです)

↓↓参考:ホワイトハウスの問題点↓↓

ただし、これは今に始まったことではありません。
民主党政権であれ、共和党政権であれ、GSは常にホワイトハウスに関与してきました。

だからこそ、合衆国随一の投資銀行の地位を保持することができたのです。

歴代経営陣がホワイトハウスに深く突き刺さっているなど、ゴールドマン・サックス出身者によるビジネスネットワークは強固なものがあります。

ただし、メリットが多ければその分デメリットもあります。
GSの場合、「自由に自分たちの意志『だけ』で戦略や経営方針を決められない」という側面があるかと思われます。

その一つが、仮想通貨事業です。
仮想通貨の存在は、完全に民間の信認によるところであり、場合によっては国家通貨と相反する存在になることもあります。

それゆえか、FRBも仮想通貨の存在については難色を示しています。
自らが深くかかわっている政府が難色を占めているところで、「こちらは企業の都合で仮想通貨事業を開始します」とは安易に言えないでしょう。

米連邦準備制度理事会(FRB)のクオールズ副議長は11月30日、主要中央銀行が仮想通貨を決済手段として受け入れるのはまだだいぶ先だとの認識を示した。
銀行監督を担当する同副議長はビットコインのこうした激しい価格変動が特に金融システムに対して危険になり得ると指摘した。
政府や中銀の裏付けのない仮想通貨「ビットコイン」について米ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁は「非常に投機的だ」と述べ、決済手段として否定的な見方を示した。

元連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏も、将来的にビットコインは政府主導によりその発展が妨げられるとの考えを明かしています。
2013年には、ビットコインに対して前向きかつ歓迎的な発言をしていた同氏。
しかし、最近になって否定的発言を行っています。

ビットコインを含む仮想通貨が「第三の通貨」ではなく、「国家通貨にとって代わる脅威」と映ったからこそ、牽制するかのような発言をしたのかもしれません。

■まとめ■

GSが他の投資銀行や証券会社などと違うスタンスを見せるのは、企業としての欲と国家へのメンツの間でせめぎあっているからのようにうかがえます。
また、FRB当局者の経歴も、GSか学界かのいずれかになりがちです。
相矛盾するスタンスの中で、明確な発言をしにくいのが本音なのかもしれません。

逆に、ビットコインは第三の通貨でしかなく、ドルをしのぐ意図はないことが分かれば、GSも積極的に動く可能性があります。
どのみち、我々もこのGSとホワイトハウス、そしてFRBの動きを静観するほかないようです。

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仮想通貨まとめ編集部の志水 / 5525 view

鈴木まゆ子

税理士・ライター・心理セラピスト。


仮想通貨は現時点(2017年)では投資(というより投機)の手段として着目されています。
しかし、その基礎技術であるブロックチェーンを含め、今後AIとともに、人間の未来をより効率的に、かつ安心できる社会にしていく可能性のあるものではないかと思っています。

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2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。