2年で6倍の規模になった中国のスマホ決済

2年で6倍の規模になった中国のスマホ決済

政府によって禁止されるまで、仮想通貨取引が全体の9割を占めていた中国人。その普及の度合いは「取引の半分を占める」と言われる今の日本とは比較にならないほどです。2014年には上海のカフェでビットコインATMが設置されました。
仮想通貨取引が禁じられた中国。では既存の商取引に収まるかと思いきや、すでにスマホ決済が消費活動のメインストリームとなっている模様です。

中国で「生活インフラ」として定着したスマートフォン(スマホ)決済。14億人の消費市場での決済は2年で6倍に増え、年間660兆円にも達した。
スマホ決済は人口13億7000万人の中国で、およそ8億人に達している。
スマホの普及率も、米メディアの2016年の調査では日本が39%であるのに対し、中国は58%。今や北京や上海で財布から現金を出して払っている人といえば、老人か外国人旅行者ばかりだ。
昨今では無人のコンビニや、レストランでの会計も「店員不要」で、自分でスマホ決済できる店さえ増えている。中国は大都市だけでなく内陸部でも、スマホ1台さえあれば、交通でも、食事でも、どんな支払いだって決済アプリで簡単にできてしまう「超キャッシュレス社会」に変貌してしまった。


屋台での数十円決済すらスマホ

屋台での数十円決済すらスマホ

レストランやコンビニだけではありません。
屋台でマントウを買ったときの数十円、数百円の決済すらスマホなのです。
スマホに表示したQRコードで決済を行います。

数年前なら「没有零钱(小銭がない)」で現金紙幣が断られた屋台。
今は、「完全没有现金(現金がまったくない)」で現金決済が断られるのです。

決済はアリペイかウィーチャット

決済はアリペイかウィーチャット

なお、決済手段はアリペイまたはウィーチャット(中国版LINE)です。
ウィーチャットはそのサービス内で、アリペイはアプリで決済を行います。

これらサービスは一部日本にも上陸しています。
ディスカウントストアのドン・キホーテでは、中国人観光客向けにウィーチャットペイを今年春に導入しました。

中国でフィンテックが急速に広まったワケ

日本でも数年前からスマホ決済サービスが登場してきています。金融の流れを変えるのではないかとまで言われていましたが、それでも2年で急成長した中国に決済率が追い抜かれてしまいました。

「スタートが早い方がより普及する」というイメージを駆逐した中国のフィンテック率。

なぜここまで中国でスマホ決済が広がったのでしょうか?
その背景には、単に「中国人は新し物好きで日本人は保守的」だけで片づけられない側面があります。

背景1:偽札横行が当たり前で現金が信用できない

背景の一つに「出回っている現金がそもそも信用できない」という問題があります。
日本以外の諸外国でも偽札は出回っているのですが、中国では3年前だと年に1000件、押収金額にして5億元分(日本円で約8億5千万円)の偽札事件がありました。

そのため、中国で商売する時は偽札識別機が欠かせません。
そのコストすら惜しい場合には「どうしたら目で偽札を判別できるか」というワザを磨くしかないのです。

そんな中、スマホで電子決済ができれば、そもそもその現金の真偽を判定する必要がなくなり、いつでもどこでも安心して商取引を行うことができます。

参考:日本の造幣技術はトップランク

参考:日本の造幣技術はトップランク

余談ですが、日本の造幣技術は世界トップランクです。
年間の偽札発見量も数千枚、一度発見されればたいていニュースになります。
独立行政法人国立印刷局によれば、日本の偽札発生割合が1だとするなら、ユーロは216、米ドル638、英ポンド1619です。

すかしなど偽造防止の仕組みが精緻であるため、なかなか偽造できないことで知られています。

背景2:社会インフラがお粗末

「中国はこれまであまりにも不便で、あらゆる面で遅れていたからこそ、ここまでスマホ決済が急速に発達した。既存のインフラがない、あるいはあっても不十分だったから、新しいサービスが普及する余地があって、その便利さにみんなが飛びついて爆発的にここまで広がったんです。つまり、中国の場合、スマホ自体が社会のインフラになったんですよ」

たとえば、中国の鉄道の券売機。
券売機によって「紙幣だけ」「コインだけ」「両方」と3種類に分かれています。
また数種類の中国紙幣があるにもかかわらず、使えたとしても2種類だけとか。

コインしか使えないのに紙幣の投入口があったり、コインを投入して反応がないと昭和の日本のテレビのようにガンガン叩かないと出てこない…など、日本では考えられないお粗末なインフラがあって当たり前の中国です。

この背景には、ちょっと文化的な話になりますが、中国人と日本人の意識の差があるかと思います。
よく言われるのが「中国人は『実』をとり、日本人は『名』をとる」と言われます。

上記の鉄道券売機の例でいうなら、「インフラを全部変えるなら、売上に見合うコストをかけないと意味がない。しかし、全部の紙幣やコインに対応し、性能のいい機械を導入するとなると採算が合わない。だからやらない」というのが中国。
そして日本だったら、ユーザビリティ第一なので「コストが云々ではなく、消費者のニーズに応えなくては」と完ぺきに対応できる高性能な券売機を導入します。

背景3:そもそも国がアテにならない

これは中国という国を多少なりとも知っている方ならご存知かと思いますが…

中国国民の多くは、中国という国そのものを信用していません。

単に管理されているからという問題ではありません。
「管理され」そして「何をされるか分からない」というのが本音です。
そして「中国政府はウソつきだ」と感じている国民も少なくありません。


実際に、中国で普及しているシェアリングエコノミーの一つ、自転車のシェアサービスに中国が関与する旨のニュースが流れたことがありました。
シェアサービスを使っている顧客情報を中国政府がともに管理するというものです。

このときの中国国民たちの反応は・・・・↓↓

「やめておけばいいのに。政府こそ信用の最大の破壊者だ」
「国の信用システムだって?国を信用できるのか?」
「一番信用ならないのが某組織じゃないのか?」
「政府が介入してきたか。シェア自転車はもう終わりだな」
終わりに~フィンテックの急激な普及のウラは「不安」「恐怖」

終わりに~フィンテックの急激な普及のウラは「不安」「恐怖」

「日本はフィンテック普及の面で中国に立ち遅れている」

と経済関連のメディアではよく見かけます。
「現金崩壊」「現金の呪縛」という言葉も同じく見られます。


この言葉を見るだけだと「じゃあ日本は乗り遅れたダメな国なのか」と感じてしまうかもしれません。

そうではなく、既存の社会システムや技術、倫理観が優れているからこそ、フィンテックがそれほど普及しないのです。
言い換えると、「国内経済だけならそれほど困っていない」「なんだかんだ言いつつ、日本という国に信用を置いている」ということです。

ちょっと振り返ってみてください。
ここ1年、あなたの持っている1万円札が偽札かもしれない…と疑ったことはありますか?
おそらく、その懸念を意識したことすらないはずです。
なぜなら、「そもそもそんなものが出回るはずがない」と思っており、かつ、「もしあったとしてもレジか何かで反応して偽札を感知するはず」と感じているからです。

その無意識の作用こそ、実は日本という国への信用なのです。


逆に、中国は、その信用が日常にないからこそ、フィンテックに頼らざるを得なかった…といえます。
これはかつて中国人が取引の9割を占めた仮想通貨でも然り。
不安や恐怖が強いからこそ、生き残る手段として仮想通貨やスマホ決済を求めるのです。
「いざとなったら中国政府は私たちを守ってはくれない」___この思いがその根底にあります。


日本のこれからを考える際、そして経済ニュースを追う際、どうしても「いい」「わるい」だけで物事を判断しがちです。
しかし、元々自己肯定感の低い日本人、それだけだと自らが持っている価値を見失ってしまいます。
そして自己の文化にダメ出しをしていると、この先どうなりたいかも長期的なスパンで見えてこないのです。

「その根底にあるのは何か」までを探りつつ、物事の両面を意識しながら考えた上で、これからの日本のあるべき姿を模索できるようになれば…と感じます。

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鈴木まゆ子

税理士・ライター。


2017年の1年間、仮想通貨は”投機手段”として知られるようになりました。

しかし、本来は国や組織を通さない決済手段です。

そのため、経済や金融で危機を迎えている国々においては、「安全資産」のひとつとして注目されています。

何のバックグラウンドも持たないまま、人々の信用だけで「貨幣としての価値」を認められるようになった仮想通貨。
今後どうなっていくかをじっくり見守りたいと思っています。

こちらのサイトでは、その仮想通貨をめぐる社会情勢や素朴な疑問を中心にお伝えしていきます。


Twitter: mayu_suzu8


この他、ZUU Online, マネーの達人などで税務・会計を中心に解説しております。


2017年11月20日、TOKYO FM「クロノス・プラス」にて、仮想通貨関連について解説いたしました。